安衛法に規定されている健康診断には、一般健康診断や特殊健康診断、都道府県労働局長が指示する臨時の健康診断など様々な種類があります。
また、一般健康診断には、雇入れ時や定期、特定業務の健康診断などがあったりするので、混乱してしまいますね。
こんな場合は、簡単でいいので、マインドマップなどを使いながら自分の手で書いてみると理解度が目に見えるのでオススメです。
あくまで確認のために行うものなので、あまり時間をかけすぎないようにしましょう。笑
それでは最初の問題に進んでみたいと思います。
この問題は、健康診断を受診している時間に賃金が発生するのかということが論点になっていますが、
健康診断の種類によって考え方が違うようですので見てみましょう。
健康診断を受けている間の時間は賃金が発生する?
(平成27年問10オ)
健康診断の受診に要した時間に対する賃金の支払について、労働者一般に対し行われるいわゆる一般健康診断の受診に要した時間については当然には事業者の負担すべきものとされていないが、特定の有害な業務に従事する労働者に対し行われるいわゆる特殊健康診断の実施に要する時間については労働時間と解されているので、事業者の負担すべきものとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
一般健康診断と特殊健康診断では、健康診断の受診に要した時間に対する賃金の考え方が違っています。
一般健康診断の場合は、業務遂行に関連して行われるものではないので、受診に要した時間についての賃金は事業者が当然に負担するものではありません。
ただ、労働者が健康で働くことは事業の運営に必要なことなので、受診に要した時間分の賃金を事業者が負担することが望ましい、とされています。
一方、特殊健康診断の場合は、業務自体が労働者にとって有害な業務になりますから、業務の遂行に当然関係してきますので、所定労働時間内に実施されるべきで、受診に要した時間についても賃金が発生します。
なのでもし、法定労働時間外に行われた場合は割増賃金も発生するということですね。
さて、次はいわゆるフルタイムの正社員ではない短時間労働者への健康診断の実施について見てみましょう。
フルタイムの正社員(=通常の労働者)と比較してどの程度の所定労働時間があれば一般健康診断を実施する必要があるのでしょうか。
1週間の所定労働時間数と健康診断の実施
(令和元年問10C)
期間の定めのない労働契約により使用される短時間労働者に対する一般健康診断の実施義務は、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上の場合に課せられているが、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者に対しても実施することが望ましいとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
比較するのは、1週間の労働時間数で、短時間労働者の労働時間数が通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上であれば実施する義務があります。
また、2分の1以上である短時間労働者にも一般健康診断を実施することが望ましいということになっています。
ちなみに、有期契約労働者の場合は、1年以上働くことになっている場合は、一般健康診断の対象となっています。
では、次は産業医が論点になっている過去問を見てみましょう。
産業医は、業種にかかわらず常時50人以上の労働者を使用する事業場に選任する義務がありますが、
常時50人以上の労働者の健康診断というと結構大変そうです。
なので、検診機関に委任することもできるのですが、その際の規定がどうなっているのか見てみましょう。
産業医は健康診断とどのように関わるのか
(令和元年問10D)
産業医が選任されている事業場で法定の健康診断を行う場合は、産業医が自ら行うか、又は産業医が実施の管理者となって健診機関に委託しなければならない。
解説
解答:誤り
産業医が選任されている事業場で健康診断を行う場合、産業医が自分で行うか、検診機関に委託することもできますが、
管理者になる必要はありません。
ただ、健康診断の実施結果については責任を持つ必要があり、たとえば定期健康診断結果報告書には産業医の記名が必要です。
次は、特定健康診断について見てみましょう。
特定健康診断というのは、特定業務に従事する労働者に対して配置替えや6月以内ごとに行うものです。
それでは、その特定業務には何があるのか確認しましょう。
6月以内ごとに健康診断を行うべき業務とは
(平成27年問10イ)
事業者は、深夜業を含む業務に常時従事する労働者については、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、労働安全衛生規則に定める項目について健康診断を実施しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、深夜業を含む業務は特定業務になります。
深夜業を「含む」業務なので、夜勤専門の人だけでなく、たまに夜勤をする人も特定業務ということになりますね。
また、特定業務には、他に坑内業務や「強烈な騒音」を発する場所で行う業務、「粉末を著しく飛散」する場所で行う業務などが対象になっています。
こういった業務が特定業務なんだということをイメージしておいて次の問題を読んでみましょう。
6月以内ごとに健康診断を行うべき業務とは その2
(平成27年問10ウ)
事業者は、高さ10メートル以上の高所での作業に従事する労働者については、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、労働安全衛生規則に定める項目について健康診断を実施しなければならない。
解説
解答:誤り
高所での作業は特定業務とはなっていません。
先ほど挙げた業務は、そこに居続けるだけで健康に良くない環境のイメージがありますが、
高所での作業は、(高所恐怖症の私にはできませんが)そこにいるだけで健康に害を及ぼすものではないですね。
なので、特定業務の対象になっていないのです。
ちなみに、特殊健康診断の対象になっているのは、放射線業務であったり高圧室内業務、潜水業務などが対象になっています。
今回のポイント
- 一般健康診断の場合は、業務遂行に関連して行われるものではないので、受診に要した時間についての賃金は事業者が当然に負担するものではありませんが、賃金を事業者が負担することが望ましい、とされています。
- 一方、特殊健康診断の場合は、受診に要した時間について賃金が発生します。
- 1週間の所定労働時間数について、短時間労働者の労働時間数が通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上であれば実施する義務があります。また、2分の1以上である短時間労働者にも一般健康診断を実施することが望ましいということになっています。
- 産業医が選任されている事業場で健康診断を行う場合、産業医が自分で行うか、検診機関に委託することもできますが、管理者になる必要はありません。
- 特定業務の健康診断は、深夜業を含む業務の他に坑内業務や「強烈な騒音」を発する場所で行う業務、「粉末を著しく飛散」する場所で行う業務などが対象になっています。
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