過去問

「社労士試験 労働に関する一般常識 労働契約法 安全配慮義務を理解しましょう」過去問・労一-24

労働契約法第5条に使用者に対する「安全配慮義務」についての規定があります。

今のご時世、働き方改革が進行中ですから、使用者への安全配慮義務はますます必要になってくるでしょう。

社労士試験でも、条文ベースや判例からと色々な角度で出題されていますので、これを機に見ておきましょう。

では最初の問題に入っていきますね。

この過去問は、条文ベースからの出題になっていて、使用者の安全配慮義務とはどういうものなのかが問われていますので確認していきますね。

 

安全配慮義務はどのように規定されているか

(平成24年問1B)

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、問題文は労働契約法第5条の文言そのままです。

使用者は、労働者に賃金を支払うことだけが義務なのではなく、労働者の安全を守るための配慮をすることが求められているわけですね。

条文の中に、「労働契約に伴い」とありますが、労働者への安全配慮について労働契約への記載が必要なのでしょうか。

次の問題で確認してみましょう。

 

労働契約に安全配慮義務の規定は必須?

(平成30年問3イ)

使用者は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、安全配慮義務を負う。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

使用者は、労働契約に安全配慮への取り決めを記載しなくても、当たり前のこととして労働者への安全配慮義務を負うことになります。

一般的に労働者は、使用者側が用意した労働環境で仕事をするわけで、使用者は労働者の安全を確保できる環境を整えることが当たり前だ、ということですね。

これは、わざわざ労働契約に「〇〇をします」と書くまでもないわけです。

ちなみに、労働者への安全配慮義務に対する判例について、陸上自衛隊事件(最高裁昭和50年2月25日)や川義事件(最高裁昭和59年4月10日)が代表的なものですので、興味のある方は調べてみてくださいね。

さて、使用者が労働者への安全配慮義務を負っていることは分かりましたが、何をすれば義務を果たしたと言えるのでしょうか。

一定の基準が定められているのでしょうか。

 

使用者が安全の措置として求められていること

(平成28年問1ア)

労働契約法第5条は労働者の安全への配慮を定めているが、その内容は、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではないが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働環境は、それぞれ異なるものなので、一口に安全配慮義務といっても「これをすれば大丈夫」というものではなく、

職種や仕事の内容、仕事をする場所などの状況によって、それぞれ必要な配慮をすることが求められているというわけです。

なので、安全への配慮は、身体だけではなく、心の安全を守ることにも及びます。

ではここで、労働者の心身の安全を守ることについて取り扱った判例を見てみましょう。

次の問題では、まだ記憶に新しい電通事件を取り扱った問題になっていますので読んでいくことにしましょう。

 

安全配慮義務について判例は?

(平成25年問1B)

使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

長時間労働が続いて、疲労や心理的負荷などが過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なうリスクがあることは周知のところとなっています。

なので、使用者は疲労や心理的負荷によって労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意をする義務がある、としています。

ただ、労働契約法上の「使用者」とは、「使用する労働者に賃金を支払うもの」となっていますが、

安全配慮義務については、使用者に代わって指揮監督の権限を持っている者にも注意義務があるとしています。

では最後に、判例をもう一つ見ておきましょう。

こちらの問題は、東芝うつ病事件を基に安全配慮義務について問われています。

使用者がどの程度の注意力を持って労働者の安全を配慮しなければならないのかが論点になっていますので見てみましょう。

 

安全配慮義務について判例は? その2

(平成27年問2B)

使用者は、労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の悪化が看取される場合には、神経科の医院への通院、その診断に係る病名、神経症に適応のある薬剤の処方など労働者の精神的健康に関する情報については労働者本人からの積極的な申告が期待し難いことを前提とした上で、必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるものというべきであるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

使用者は、労働者本人からの積極的な申告が期待しにくいことを分かった上で、必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるとしています。

労働基準法、労働契約法などの法律上の話で言えば、労働者と使用者は対等の立場であることが謳われていますが、現実的にはそうはいきません。

労働者側から使用者へ主張をするのは、お給料を支払われている立場上なかなか難しいものです。

なので、この判決にあるように、労働者から何も言ってこなかったとしても、使用者の方が労働者の体調を気遣う必要があるのですね。

 

今回のポイント

  • 使用者は、労働契約に伴い労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとされています。
  • 使用者は、労働契約に安全配慮への取り決めを記載しなくても、当たり前のこととして労働者への安全配慮義務を負うことになります。
  • 労働環境は、それぞれ異なるものなので、一口に安全配慮義務といっても「これをすれば大丈夫」というものではなく、職種や仕事の内容、仕事をする場所などの状況によって、それぞれ必要な配慮をすることが求められているというわけです。
  • 長時間労働が続いて、疲労や心理的負荷などが過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なうリスクがあることは周知のところとなっていますので、使用者は疲労や心理的負荷によって労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意をする義務がある、としています。
  • 使用者は、労働者本人からの積極的な申告が期待しにくいことを分かった上で、必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるとしています。

 

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