過去問

「社労士試験 労災保険法 傷病(補償)年金で問われる要点とは」過去問・労災-69

傷病(補償)年金は、ケガや病気で療養が始まると、まず休業(補償)給付が支給され、

療養が続いて1年6ヶ月経過して一定の障害の状態にあれば傷病(補償)年金が支給されることになります。

もし治ゆして障害の状態にあれば障害(補償)給付となりますから、ちょうど療養の中間にある給付といえそうですね。

この傷病(補償)年金は、他の給付と比較していろいろ特徴がありますからその部分を意識すると理解が進みますので試してみてくださいね。

それでは最初の問題を見てみましょう。

この過去問では傷病補償年金の支給要件について問われていますが、

障害の程度が論点になっていますので確認していきましょう。

 

傷病補償年金の支給要件

(平成29年問2B)

傷病補償年金の支給要件について、障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定するものとされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

傷病(補償)年金が支給されるためには、療養開始後、1年6ヶ月経ったときに一定の傷病等級に該当している必要があり、その障害の程度は6ヶ月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定されます。

この傷病(補償)年金のキーワードは、上記の「1年6ヶ月」と負傷または疾病が「治っていない」ことです。

それでは次の問題に進みましょう。

傷病(補償)年金と併給できる保険給付について見ていきたいと思います。

傷病(補償)年金と併給できるもの、できないものを確認していきましょう。

 

傷病補償年金と併給できるのは?

(平成24年問3C)

療養補償給付は、傷病補償年金と併給される場合がある。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

傷病補償年金は、負傷または疾病が治っていない状態で支給されるので、治療中ということで療養補償給付と併給できます

まだ治ゆしていないのに療養補償給付と併給できないとなるとかなり困りますよね。

では逆に傷病補償年金と併給できない給付には何があるのか確認しますね。

 

傷病補償年金と併給できないもの

(平成30年問5C)

休業補償給付と傷病補償年金は、併給されることはない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

傷病補償年金は、休業補償給付とは併給できません

傷病補償年金と休業補償給付は、どちらも、仕事ができずに休んでいる間の生活費の補償が目的なので、

併給はできず、どちらか一方だけの支給ということになります。

なので、療養開始後は休業補償給付が支給され、1年6ヶ月が経過して一定の障害の状態にあれば労基署長が傷病補償年金の支給決定を行います。

傷病補償年金の支給は、労働者の申請ではなく、労基署長が決定するということも傷病補償年金の特徴ですね。

では、労働者の障害の程度に変化があって傷病等級も別の等級になる場合の労基署長が行うことについて、次の問題を見てみましょう。

 

障害の程度に変更があった場合、労基署長は、、、

(平成29年問2D)

傷病補償年金を受ける労働者の障害の程度に変更があり、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、所轄労働基準監督署長は、裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。

 

解説

解答:誤り

傷病補償年金の傷病等級について、他の傷病等級に該当することになった場合、

労基署長は、職権で傷病補償年金の変更についての決定を行いますので、労基署長の裁量で行われるわけではありません。

でも、どうやって労働者の障害の程度の変更がわかるかというと、労働者から毎年1回行われる定期報告書や、傷病の状態の変更に関する届出があるからです。

で、これらの届出によって障害の程度が軽くなって傷病等級に該当しなくなったとしたら、傷病(補償)年金を受ける権利がなくなってしまいます。

では、傷病(補償)年金を受けられなくなった労働者の生活費はどうなるのでしょうか?

 

傷病補償年金を受けられなくなったらどうする?

(平成29年問2C)

傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、厚生労働省令で定める傷病等級に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の受給権は消滅するが、なお療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

傷病補償年金の受給権が消滅しても、療養のため労働できないため賃金を受けられない場合は、休業補償給付を請求することができます

傷病補償年金の支給は労基署長が決定していましたが、休業補償給付は労働者が申請するということを再度押さえておきましょう。

 

今回のポイント

  • 傷病(補償)年金が支給されるためには、療養開始後、1年6ヶ月経ったときに一定の傷病等級に該当している必要があり、その障害の程度は6ヶ月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定されます。
  • 傷病補償年金は、負傷または疾病が治っていない状態で支給されるので、治療中ということで療養補償給付と併給できます
  • 傷病補償年金は、休業補償給付とは併給できません
  • 傷病補償年金の傷病等級について、他の傷病等級に該当することになった場合、労基署長は、職権で傷病補償年金の変更についての決定を行います
  • 傷病補償年金の受給権が消滅しても、療養のため労働できないため賃金を受けられない場合は、休業補償給付を請求することができます

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

ある問題で何度も間違うものってありますよね。

そんな時は「問題→解答」だけではなく、問題文の意図を考えて見ましょう。

どんな知識を求めているのか、どうやって引っ掛けようとしているのかなど、

違う視点からアプローチしてみるといいですね♫

 

各科目の勉強法の記事をまとめました

労働基準法から一般常識までの全科目の勉強法の記事をまとめましたのでぜひご覧ください

リンク「社労士試験 独学合格法 各科目の勉強方法の記事をまとめました!」

 

科目ごとにまとめて記事を見ることができます!

スマホでご覧になっていただいている場合は、一番下までスクロールすると、科目名が並んでいますのでご覧になりたい科目をタップいただくと、その科目だけの記事を見ることができます。

もしくは、一番右上の三本線(メニューになっています)をタップしていただいて科目名を表示させる方法もあります。

ぜひご活用ください!

関連記事

  1. 「社労士試験 労基法 賃金保障の基本のき」過去問・労基-77

  2. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 雇用保険法 基本手当の受給資格…

  3. 「社労士試験 雇用保険法 基本手当の受給資格要件」雇-186

  4. 「社労士試験 労災保険法 二次健康診断等給付(特定保健指導)」労災-1…

  5. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 労災保険法 遺族(補償)等年金…

  6. 「社労士試験 雇用保険法 5分で読める!教育訓練給付のキモ」過去問・雇…

  7. 「社労士試験 労基法 事例問題で読み解く割増賃金の計算方法」過去問・労…

  8. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 雇用保険法 基本手当の受給期間…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。