今回は、合意分割について見ていきたいと思います。
厚生年金で離婚に絡むものは、合意分割と3号分割があるわけですが、
まずは手順を追いながら整理していくのがいいですね。
合意分割であれば、第1号改定者と第2号改定者の定義、標準報酬の按分割合について合意に至らなかった場合の取り扱い、
標準報酬がどのように按分されるのか、離婚時みなし被保険者期間の効果、といった感じですね。
流れが分かってくると理解も進みますからオススメですよ。
それでは、最初の問題に入っていきましょう。
1問目は、合意分割をするときに標準報酬の按分割合について合意できなかった場合にどうするのか、ということが問われていますので見ていきますね。
合意分割で按分割合について合意に至らなかったら、、、?
(平成27年問10C)
離婚等をした場合に当事者が行う標準報酬の改定又は決定の請求について、請求すべき按分割合の合意のための協議が調わないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
離婚等をするときに、標準報酬の案分割合について、双方が合意しているのが理想ですが、
合意に至らない場合は、家庭裁判所が按分割合を定めることができます。
家庭裁判所への申立ては、どちらか一方だけで大丈夫です。
ちなみに、この合意分割は、平成19年4月1日前に離婚等をした者については適用されません。
では、改定された標準報酬は、どの時点から効力が発生するのでしょうか。
次の問題で確認しましょう。
合意分割の効力はいつから?
(平成28年問9C)
厚生年金保険法第78条の6第1項及び第2項の規定によるいわゆる合意分割により改定され、又は決定された標準報酬は、その改定又は決定に係る標準報酬改定請求のあった日から将来に向かってのみその効力を有する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
ポイントは、合意分割が改定された日からではなく、標準報酬改定請求のあった日から将来に向かって効力を有するということですね。
また、標準報酬改定請求のあった日より前について年金額がさかのぼって改定されることもありません。
で、合意分割によって、被保険者期間が増えた方の人を第2号改定者と言いますが、
もともとは、もう一方の第1号改定者の被保険者期間の分が増えた形になっています。
この、第1号改定者から移動してきて増えた部分を「離婚時みなし被保険者期間」と言います。
この離婚時みなし被保険者期間によって第2号改定者にどのような効果があるのか見ていきましょう。
次の問題では、特別支給の老齢厚生年金について問われていますので確認していきますね。
離婚時みなし被保険者期間と特別支給の老齢厚生年金
(平成29年問6C)
離婚時みなし被保険者期間は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算の基礎とはされない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
離婚時みなし被保険者期間は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分には反映されず、報酬比例の部分の計算に反映されます。
定額部分は、年金制度でいうところの老齢基礎年金にあたる部分ですから、そちらには加算しないということですね。
では、老齢基礎年金の話が出たところで、振替加算と離婚時みなし被保険者期間の関係についてみて見ましょう。
振替加算は、厚生年金の被保険者期間が240月以上あると支給停止になりますが、
もし離婚時みなし被保険者期間を加算することによって240月以上になる場合はどうなるのでしょうか。
離婚時みなし被保険者期間は振替加算にどんな影響を及ぼすか
(平成24年問5ウ)
離婚時における厚生年金保険の保険料納付記録の分割について、離婚時みなし被保険者期間及び被扶養配偶者みなし被保険者期間に関して、振替加算の支給停止要件(配偶者自身の厚生年金保険の被保険者期間240月以上)となる被保険者期間は、みなし被保険者期間が含まれる。(問題文を再構成しています)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
離婚時みなし被保険者期間は、振替加算の支給停止要件である240月の計算に含まれます。
ということは、振替加算だけでなく、加給年金額も支給されなくなるわけですね。
では最後に、離婚時みなし被保険者期間を得たことによって老齢厚生年金の受給権を取得した方が、不幸にも亡くなった場合に、遺族へ遺族厚生年金が支給されるのか、ということを確認しましょう。
もともとは、離婚時みなし被保険者期間によって老齢厚生年金の受給権を得た方なのですが、遺族厚生年金の支給になるのでしょうか。
離婚時みなし被保険者期間を有することで遺族厚生年金が?
(平成28年問3ウ)
国民年金の第1号被保険者期間のみを有していた者が、離婚時みなし被保険者期間を有するに至ったことにより老齢厚生年金の受給権を取得した後に死亡した場合、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。なお、保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間とを合算した期間が25年以上であるものとする。(問題文を再構成しています)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
老齢厚生年金の受給権者が亡くなった場合、遺族厚生年金の支給要件は、保険料納付済期間などを合算した期間が25年以上あることが必要ですが、
それに該当していれば、離婚時みなし被保険者期間を有することで老齢厚生年金の受給権者が亡くなった場合でも遺族厚生年金は支給されます。
今回のポイント
- 離婚等をするときに、標準報酬の案分割合について、双方が合意しているのが理想ですが、合意に至らない場合は、家庭裁判所が按分割合を定めることができます。
- 改定や決定された標準報酬は、、標準報酬改定請求のあった日から将来に向かって効力を有します。
- 離婚時みなし被保険者期間は、老齢厚生年金の報酬比例の部分の計算に反映されます。
- 離婚時みなし被保険者期間は、加給年金額や振替加算の支給停止要件である240月の計算に含まれます。
- 遺族厚生年金の長期要件に該当していれば、離婚時みなし被保険者期間を有することで老齢厚生年金の受給権者が亡くなった場合でも遺族厚生年金は支給されます。
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