時効や書類の保存については、他の科目でも出てくる論点になっていますので、これを機に合わせて復習をしておくのもいいですね。
たとえば、労基法での賃金の請求権の時効であったり、国民年金法における年金給付の時効などを見ておくと、
横断学習によって記憶のネットワークをつなげるきっかけにもなりますからオススメです。
それでは、過去問の方に入っていくことにしましょう。
1問目は、時効の考え方が論点になっています。
「◯の時から◯年間」という視点で見ていきましょう。
徴収法における時効の考え方
(平成28年雇用問10ア)
労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金を徴収する権利は、国税通則法第72条第1項の規定により、5年を経過したときは時効によって消滅する。
解説
解答:誤り
労働保険料などの徴収金は、問題文のような規定にはなっておらず、
「労働保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、またはその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する」
となっています。
徴収法で問われる事項は2年しかないので覚えやすいですね。
ただ、「行使することができる時から2年」であって、「権利を行使することができることを知った時から2年」ではないことを意識しておきましょう。
では、次は時効の更新について確認しましょう。
時効の更新というのは、あることをすると時効がリセットされて、またゼロからスタートすることを意味するのですが、
この時効の更新の効力が生じる行動とはどんなものでしょうか。
何をすれば時効の更新の効力を生じるのか
(令和2年雇用問10A)
労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金を納付しない者に対して政府が行う督促は時効の更新の効力を生ずるが、政府が行う徴収金の徴収の告知は時効の更新の効力を生じない。
解説
解答:誤り
徴収金の徴収の督促だけでなく、告知も時効の更新の効力が生じます。
告知というのは一般的に、「知らせる」とか「通知」するといった意味になりますので、督促よりもニュアンスは軽いですね。
そんな告知でも時効の更新の効力があるということになります。
たとえば、認定決定された確定保険料は納入告知書で行われますが、こういったものでも時効の更新の効力があるということになりますね。
で、もし時効が完成してしまったら、政府が徴収金を徴収する権利がなくなってしまうわけですが、
もし、納付する側の者が、時効を過ぎても納付したいと意思表示した場合は、時効を無視して納付することができるのでしょうか。
次の問題を見てみましょう。
時効が成立したら労働保険料の納付はできない?
(平成25年雇用問10A) 特例納付
政府が労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅するとされているが、この時効には援用を要せず、また、その利益を放棄することができないとされているので、時効成立後に納付義務者がその時効による利益を放棄して徴収金を納付する意思を有しても、政府はその徴収権を行使できない。(問題文を一部補正しています)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
時効が成立した後に、納付義務者が納付をしようとしても、政府側の徴収権が消滅してしまっているので、政府は徴収権を使うことができません。
そこまでして納付義務者が納付を希望する理由があるのかどうかは知りませんが、規定上はそのようになっているということですね。
さて、次は書類の保存期間について見てみましょう。
徴収法で出てくる書類には特徴がありましたね。
どのようになっているのか、下の問題を読んでいきましょう。
書類の保存期間は何年?
(平成23年雇用問10D)
事業主若しくは事業主であった者又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体は、労働保険徴収法又は労働保険徴収法施行規則による書類を、その完結の日から5年間保存しなければならない。
解説
解答:誤り
徴収法での書類の保存期間は、5年ではなく、基本的に3年間で雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿は4年間となっています。
徴収法の書類の保存期間には、2種類あるということをまず押さえておくようにしましょう。
では最後に立入検査について確認しておきましょう。
行政庁は、事業主や労働保険事務組合のところに行って立入検査ができるのですが、
その際に帳簿書類を調べることになります。
この帳簿書類について、行政庁がどこまで検査できるのか次の問題で問われていますので見てみましょう。
行政が行う検査の対象になる書類
(平成28年雇用問10オ)
厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長又は公共職業安定所長が労働保険徴収法の施行のため必要があると認めるときに、その職員に行わせる検査の対象となる帳簿書類は、労働保険徴収法及び労働保険徴収法施行規則の規定による帳簿書類に限られず、賃金台帳、労働者名簿等も含む。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
行政庁の職員が検査できる書類は、徴収法関連の書類だけでなく、賃金台帳や労働者名簿などの書類も含まれます。
概算保険料や確定保険料などの金額の根拠になっているのは労働者の賃金ですから、
それを記録している賃金台帳なども検査の対象になっているというのは自然な感じはしますね。
今回のポイント
- 徴収法での徴収金を徴収したり、またはその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年です。
- 徴収金の徴収の督促だけでなく、告知も時効の更新の効力が生じます。
- 時効が成立した後に、納付義務者が時効の利益を放棄して納付をしようとしても、政府側の徴収権が消滅してしまっているので、政府は徴収権を使うことができません。
- 徴収法での書類の保存期間は、5年ではなく、基本的に3年間で雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿は4年間となっています。
- 行政庁の職員が検査できる書類は、徴収法関連の書類だけでなく、賃金台帳や労働者名簿などの書類も含まれます。
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