過去問

「社労士試験 雇用保険法 通則は横断学習の宝庫?」過去問・雇-66

一口に「通則」としましたが、今回の内容は、受給権の保護未支給の失業等給付の請求不正受給について取り上げていますので一つ一つ見ていきましょう。

これらは、他の科目にも規定されているものもありますので横断学習をしてみるのもいいですね。

それでは最初の問題に入っていきましょう。

1問目は受給権の保護が論点になっていますが、受給権の保護に対象になるのはどんなものか思い出しながら読んでみてくださいね。

 

基本手当を受ける権利を譲り渡すことはできる?

(平成29年問1B)

基本手当の受給資格者は、基本手当を受ける権利を契約により譲り渡すことができる。

 

解説

解答:誤り

基本手当の受給資格は、譲り渡すことができません。

規定では、

失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」(法11条・受給権の保護)

となっています。

失業等給付には、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付があり、基本手当は求職者給付でしたね。

となると、育児休業給付は失業等給付から独立しましたが、どうなるのでしょうか。

育児休業給付の場合、上記の規定については準用するとなっています(法61条の6)ので、

育児休業給付も譲渡や担保、差し押さえはできません。

では、法11条について扱った問題をもう一つ見てみましょう。

ポイントは、やはり失業等給付の範囲をきちんと押さえられているか、ですね。

 

教育訓練給付を担保に?

(平成23年問7C)

教育訓練給付の支給を受ける権利は、他人に譲り渡し、又は担保に供することができない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

教育訓練給付は、失業等給付に入っていますので、譲渡などはできません。

ちなみに、失業等給付に入っていない雇用保険二事業の場合、たとえば雇用調整助成金は受給権の保護の対象外ということになりますね。

それでは次は、未支給の失業等給付の請求について見てみましょう。

次の問題では、未支給の失業等給付について、自己の名で請求できる遺族の範囲と順序について問われていますので確認していきますね。

 

未支給の失業等給付を受ける者の範囲と順位

(平成29年問1D)

失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その未支給の失業等給付の支給を受けるべき者(その死亡した者と死亡の当時生計を同じくしていた者に限る。)の順位は、その死亡した者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹の順序による。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

未支給の失業等給付の支給を受けるべき者の順位は、配偶者子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹の順番になっています。

(育児休業給付も同様です。)

ただ、亡くなった方と死亡の当時、生計を同じくしていることが条件です。

また、配偶者については、事実婚を含みます。

で、この未支給分の請求については、他の科目でも出てきますので横断学習をオススメします。

たとえば、労災保険法の場合、遺族補償年金などの場合、上記のようなものではなく、「他の遺族」と規定されていますし、

年金科目であれば上記の遺族以外に「三親等内の遺族」も対象になってきますので、この機会に確認してみてくださいね。

ということで、次は不正受給について見ていきますね。

下の問題は、不正受給した時の返還とペナルティが論点になっていますが、雇用保険の場合、ペナルティのルールが独特でしたね。

 

失業等給付を不正に受給したら、、、

(平成29年問1C)

偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

不正受給のポイントは、

  1. 支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができる
  2. 不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる

となっていて、「1」と「2」を合わせて、いわゆる「3倍返し」といわれていますね。

では最後に、不正行為をしたのが失業等給付を受けた本人だけでなく、不正に手を貸した者がいる場合の規定について見ておきますね。

 

失業等給付を不正に受給したら、、、その2

(平成27年問4ウ)

指定教育訓練実施者が偽りの届出をしたために、教育訓練給付が不当に支給された場合、政府は、当該教育訓練実施者に対し、当該教育訓練給付の支給を受けた者と連帯して同給付の返還をするよう命ずることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

問題文では指定教育訓練実施者について記載されていますが、連帯責任の対象になるのは、事業主、職業紹介事業者など、募集情報等提供事業を行う者も含まれています。

これらの事業主などが、偽りの届出や報告などをしたことで失業等給付が支給されたときは、失業等給付を受けた人と連帯して返還とペナルティの納付をすることになります。

 

今回のポイント

  • 失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができないと規定されていますが、育児休業給付にも準用されます。
  • 未支給の失業等給付の支給を受けるべき者の順位は、配偶者子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹の順番になっていて、亡くなった方と死亡の当時、生計を同じくしていることが条件です。
  • 不正受給のポイントは、
    1. 支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができる
    2. 不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる

    となっています。

  • 事業主、職業紹介事業者など、募集情報等提供事業、指定教育訓練実施者が、偽りの届出や報告などをしたことで失業等給付が支給されたときは、失業等給付を受けた人と連帯して返還とペナルティの納付をすることになります。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

この時期になってくると、他の受験生の進捗が気になるかもしれません。

でも、成長スピードは人それぞれですからそれは無意味です。

昨日の自分より少しでも前進できたかを確認できれば充分です。

本試験日だけを見据えて突っ走りましょう!

 

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