「労災保険法 通勤災害の事例問題に対する考え方のコツはこれ!」過去問・労災-42

労災保険法といえば事例問題がよく出るイメージありませんか?

「〇〇の場合は業務災害に該当する」みたいな。

そういった事例問題に対してどのように対処していけばいいのでしょうか。

まずはテキストに載っている原則を押さえた上で、過去問などで問題演習を繰り返すことで、

「あ、そういうふうに考えるんだ」

とコツが掴めてくるようになるので大丈夫です。

今回は通勤災害の事例問題を集めてみました。

通勤災害というと、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡」のことですが、

通勤による

がポイントになっていて、どんな場合が当てはまるのかというと、

通勤に通常伴う危険が具体化」したことを指します。

どういうことかというと、

普段通勤してたら実際に起こりそうなこと

ですね。

では、過去問では「通勤に通常伴う危険」がどんな場合に該当するのか見ていきましょう。

 

寝坊して遅刻した時は通勤にならない??

(平成24年問1A)

寝過ごしにより就業場所に遅刻した場合は、通勤に該当することはない。

 

解説

解答:誤

寝過ごして遅刻した場合も遅刻に該当します。

つまり、寝過ごしてしまったり、逆にラッシュを避けるために早く家を出ることについては、通常の出勤時間から見て多少の時間の前後はあったとしても、会社に向かっているのであれば通勤になるのです。

ただ、出勤は午後からなのに、朝から家を出るというように出勤と見るにはあまりにも時間がかけ離れている場合は通勤とはみなされません。

それでは次は単身赴任者に関する通勤のお話です。

普段生活してる単身赴任先の家からの通勤ではなく、帰省の関係で家族がいる家と職場を行き来することもあり得ますよね。

このように、帰省先の家が通勤として認められるための条件を確認しましょう。

 

単身赴任者が、家族のいる自宅から通勤する場合の条件とは

(平成25年問7A)

転任等のやむを得ない事情のために同居していた配偶者と別居して単身で生活する者や家庭生活の維持という観点から自宅を本人の生活の本拠地とみなし得る合理的な理由のある独身者にとっての家族の住む家屋については、当該家屋と就業の場所との間を往復する行為に反復・継続性が認められるときは住居と認めて差し支えないが、「反復・継続性」とは、おおむね2か月に1回以上の往復行為又は移動がある場合に認められる。

 

解説

解答:誤

問題文最後の「2か月に1回以上」ではなく、「1か月に1回以上」が正解です。

帰省先の家が通勤として認められるには、「反復・継続性」があることがカギになるのですが、それを判断するための基準として、おおむね毎月1回以上の往復行為又は移動がある、ということが条件になっています。

ちなみに、問題文に「転任」という言葉が出ていますが、これは令和2年の選択式で問題になっていましたね。

このように、過去に出題された択一式の問題から選択式の問題が出題されることもありますので、過去問演習の繰り返しは大事ですね。

さて、次はいよいよ事例問題に入っていくことにしましょう。

帰宅しているときに強盗にあってケガをした場合、通勤災害になるのでしょうか。。。

冒頭に述べた、「普段通勤してたら実際に起こりそうなこと」を頭に浮かべながら考えてみましょう。

 

帰宅途中に強盗にあったら通勤災害?

(平成28年問3A)

商店が閉店した後は人通りがなくなる地下街入口付近の暗いところで、勤務先からの帰宅途中に、暴漢に後頭部を殴打され財布をとられたキャバレー勤務の労働者が負った後頭部の裂傷は、通勤災害と認められる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

会社から家へ帰る途中に強盗にあう、というのはニュースなどでも時々見かけますから「実際に起こりそうなこと」になりますよね。

被害にあった方が通勤ルートから外れているわけでなく、強盗犯とも何の関係もないのであれば、通勤災害になり得ます。

先ほど、「強盗犯とも何の関係もないのであれば」と書きましたが、ケガをした原因が別のところにあると事情は変わってきます。

次の問題を見てみましょう。

 

ケンカをしかけてケガしたらどう?

(平成25年問7E)

通勤の途中で怨恨をもってけんかをしかけて負傷した場合、通勤災害と認められる。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は通勤災害になりません。

同じ通勤途中とは言っても、前の問題と違い、自分でケンカをふっかけてケガをしているわけですから「自業自得」ですよね。

なので、通勤とは何の関係もありませんから通勤災害にも該当しないわけです。

では最後に、通勤災害に該当しないケースにはどんなことがあるのか下の過去問で確認しましょう。

 

労働組合の会合の帰りに事故にあった場合は、、、

(平成27年問3D)

業務終了後に、労働組合の執行委員である労働者が、事業場内で開催された賃金引上げのための労使協議会に6時間ほど出席した後、帰宅途上で交通事故にあった場合、通勤災害とは認められない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、通勤災害とは認められません。

問題となるのは「6時間」という会議の長さです。

基本的に、労働組合の会合は業務とは別のものと扱われるので、業務そのものとしては認められません

ただ、それほど長時間でないのであれば、通常はそういった会合に出席した後に自宅に帰る場合は通勤として認められるのですが、

「6時間」ともなると、会合の前の業務終了時間から時間が相当経過しているので、その後の帰宅は通勤にならない、ということです。

実務の場合は判断の分かれ目というのはそれぞれのケースで判断されるのでしょうが、社労士試験においてはあまり深く追求しても意味がないので、

問題の正誤を判断するニュアンスを掴んでいただければ十分かと思います。

 

今回のポイント

  • 通勤災害というと、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡」のことですが、「通勤による」というのは、「通勤に通常伴う危険が具体化」したことを指し、平たくいうと、「普段通勤してたら実際に起こりそうなこと」ということになります。
  • 寝過ごしてしまったり、逆にラッシュを避けるために早く家を出ることについては、通常の出勤時間から見て多少の時間の前後はあったとしても、会社に向かっているのであれば通勤になります。
  • 帰省先の家が通勤として認められるには、「反復・継続性」があることがカギになるのですが、それを判断するための基準として、おおむね毎月1回以上の往復行為又は移動がある、ということが条件になっています。

 

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