労働契約法で、就業規則が変わったときの労働条件の変更についてのお話を別の記事でお話しさせて戴きました。
しかし、そもそも就業規則と労働契約の関係はどうなっているのか、についても社労士試験で問われていますので確認しておきましょう。
労働条件が就業規則と違うんですけど?
(平成26年問1B)
就業規則で定める基準と異なる労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は、就業規則で定める基準によるとされている。
解説
解答:誤
「就業規則で定める基準と異なる労働条件」ではなく、「就業規則で定める基準に達しない労働条件」です。
問題文の規定にしてしまうと、労働条件が就業規則よりも有利な場合でも、就業規則の基準に下げられてしまうことになります。
ですので、就業規則に合わせるのは、労働条件が就業規則よりも悪い場合ですね。
では次の問題です。
あまりありがたくない話かもしれませんが、出向についての問題です。
同意を得ないままの在籍出向ってアリ?
(平成28年問1ウ)
いわゆる在籍出向においては、就業規則に業務上の必要によって社外勤務をさせることがある旨の規定があり、さらに、労働協約に社外勤務の定義、出向期間、出向中の社員の地位、賃金、退職金その他の労働条件や処遇等に関して出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられているという事情の下であっても、使用者は、当該労働者の個別的同意を得ることなしに出向命令を発令することができないとするのが、最高裁判所の判例である。
解説
解答:誤
問題文の場合は、個別の同意を得なくても出向を命ずることができます。
これは、会社側が出向命令の権利を濫用しているのかどうか、ということで裁判になったようです。
問題文では、就業規則に規定があり、労働協約にも詳細な規定がなされていますので、権利の濫用には当たらず、在籍出向をさせるのに、個別の同意は必要ないとされています。
今回のポイント
- 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は、就業規則で定める基準によるとされています。
- 在籍出向については、就業規則に規定があり、労働協約にも詳細な規定がなされている場合、権利の濫用には当たらず、個別の同意は必要ないとされています。
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