今回は、徴収法から滞納に関する措置について出題された過去問を集めてみました。
労働保険料を滞納すると、政府から督促がかかるのと、利子として延滞金がかかることがあります。
これらの督促や延滞金にまつわる論点が色々とありますので社労士試験でも何度か出題されています。
滞納に関する措置がどのような仕組みになっているのか、もう一度確認しましょう。
それでは、早速問題に入っていきますね。
1問目は、「徴収金」の考え方が問われています。
徴収法における徴収金がどのように定義されているのか見ていきましょう。
徴収金の範囲とは
(令和元年雇用問8B)
労働保険徴収法第27条第3項に定める「労働保険料その他この法律の規定による徴収金」には、法定納期限までに納付すべき概算保険料、法定納期限までに納付すべき確定保険料及びその確定不足額等のほか、追徴金や認定決定に係る確定保険料及び確定不足額も含まれる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
「労働保険料その他この法律の規定による徴収金」の「徴収金」というのは、政府が集めるお金のことですから、
概算保険料や確定保険料はもちろん、労働保険料を滞納したことで発生する追徴金なども含まれます。
で、この徴収金を納付しないとどうなるかというと、最終的に政府は
「国税滞納処分の例によって、これを処分する」
ことになります。
つまり、財産を差し押さえるということですね。
では、お話を少し戻しますが、徴収金が納付されないと、政府は期限を指定して督促をすることになります。
督促をするということは、延滞金という名の利子がつくことになるのですが、
所定の期限までに徴収金を納付すれば延滞金がかからないのです。
その所定の期限というのはいつなのでしょうか。
延滞金がかからないのはいつまで?
(平成29年雇用問9A)
事業主が労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金を法定納期限までに納付せず督促状が発せられた場合でも、当該事業主が督促状に指定された期限までに当該徴収金を完納したときは、延滞金は徴収されない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
督促状を受け取った後でも、督促状に書かれている期限までに徴収金を完納すれば、延滞金はかかりません。
ちなみに、督促状で設定されている納期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日と決められています。
ただ、上記の場合以外でも延滞金がかからないケースがあります。
それはどういうことなのか、次の問題で確認しましょう。
延滞金がかからない金額とは
(令和元年雇用問8D)
延滞金は、労働保険料の額が1,000円未満であるとき又は延滞金の額が100円未満であるときは、徴収されない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
延滞金は、
- 労働保険料の額が1,000円未満であるとき または
- 延滞金の額が100円未満であるとき
は徴収されません。
たとえば、確定保険料が500円の場合であったり、延滞金を計算したときに100円未満の額である場合、延滞金は徴収されないということですね。
また、そもそも延滞金がかからない種類の徴収金もあったりします。
延滞金の対象外になる徴収金ですが、ヒントは、延滞金は労働保険料にかかるという点です。
延滞金の対象外となるものは
(平成29年雇用問9C)
認定決定された確定保険料に対しては追徴金が徴収されるが、滞納した場合には、この追徴金を含めた額に対して延滞金が徴収される。
解説
解答:誤り
追徴金に対しては、延滞金はかかりません。
追徴金は、確定保険料や印紙保険料が認定決定を受けたときにペナルティとして課せられるものです。
延滞金は労働保険料にかかるものなので、追徴金に延滞金はかかりません。
では最後に、延滞金の額について見てみましょう。
まず、延滞金はどの期間についてかかるものなのか、そして延滞金の額はどのように決まるのかを次の問題で確認しますね。
延滞金の額が決定される仕組み
(令和元年雇用問8E)
政府は、労働保険料の督促をしたときは、労働保険料の額につき年14.6%の割合で、督促状で指定した期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数により計算した延滞金を徴収する。
解説
解答:誤り
延滞金がかかる期間は、督促状で指定した期限の翌日からではなく、
- 「納期限の翌日」からその完納または財産差押えの日の前日までの期間
となっています。
延滞金の額については問題文の通りで、原則としては、
- 年14.6%で、納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については年7.3%
となっているのですが、当分の間は、
延滞税特例基準割合が年7.3パーセントの割合に満たない場合には、
- 年14.6パーセントの割合については、延滞税特例基準割合に年7.3パーセントの割合を加算した割合とし、
- 年7.3パーセントの割合については延滞税特例基準割合に年1パーセントの割合を加算した割合(もし加算した割合が年7.3パーセントの割合を超える場合は、年7.3パーセント)
ということになっています。
ちょっとややこしいですが、原則と当分の間の措置を区別して押さえるようにしましょう。
今回のポイント
- 労働保険料その他この法律の規定による徴収金」の「徴収金」は、概算保険料や確定保険料はもちろん、労働保険料を滞納したことで発生する追徴金なども含まれます。
- 督促状を受け取った後でも、督促状に書かれている期限までに徴収金を完納すれば、延滞金はかかりません。
- 延滞金は、
- 労働保険料の額が1,000円未満であるとき または
- 延滞金の額が100円未満であるとき
は徴収されません。
- 追徴金に対しては、延滞金はかかりません。
- 延滞金がかかる期間は、督促状で指定した期限の翌日からではなく、「納期限の翌日」からその完納または財産差押えの日の前日までの期間となっています。
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