労災保険に適用される労働者となるための基準は、労働基準法の労働者に準じているので、
- 適用事業に使用されているもの
- 賃金を支払われているもの
ということになります。
なので、お給料をもらっていても、働いている職場が適用事業でなければ労災保険が適用されません。
では、「適用事業にならない事業」にはどんなものがあるのか見てみましょう。
「国の直営事業」は適用事業になりますか?
(平成29年問4D)
労災保険法は、国の直営事業で働く労働者には適用されない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
労災保険法での適用事業の定義をチェックしましょう。
法3条
① この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。
② 前項の規定にかかわらず、国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法(昭和22年法律第49号)別表第1に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない。
となっています。
問題文の根拠は②の規定ですね。
ちなみに、労働基準法別表1はどんなものか参考資料をご紹介しますのでご確認ください。
いわゆる「現業」といわれる事業のことで、「現業で非常勤の地方公務員」の方は労災保険の適用になります。
参考資料:労働基準法別表第1
ここで、ちょっと視点を変えた過去問を見ておきましょう。
「非現業」の国家公務員は労災保険の適用になる?
(平成29年問4C)
労災保険法は、非現業の一般職の国家公務員に適用される。
解説
解答:誤
官公署の事業で、「非」現業の国家公務員の場合は、労災保険法の適用がなされません。
先述したとおり、労災保険の適用を受けるためには、まず「現業」の事業でなければなりません。
ですので、問題文の場合は、労災保険は適用されません。
では、現業とはどんな業種で出題されているのかをみてみましょう。
(平成29年問4A)
労災保険法は、市の経営する水道事業の非常勤職員には適用されない。
解説
解答:誤
市の経営する水道事業の非常勤職員は、労災保険が適用されます。
先ほどの、労働基準法別表1の、
「1 物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)」
にあたります。
ただ、別表1に載っているもの全てを暗記する必要はありません。
たとえば、市役所などの庁舎で業務をしている人々は「非現業」のイメージで、それ以外の事業は現業ということで社労士試験では判断できると思います。
さて、唐突ですが船員の場合はどうなるのでしょう。
先述の規定を思い出しながら問題を確認しましょう。
船員法上の船員はどうなる?
(平成26年問7E)
船員法上の船員については労災保険法は適用されない。
解説
解答:誤
船員法上の船員は、もちろん労災保険法が適用されます。
健康保険法を勉強した後に、労災保険法の復習をしていると、「あれ?どうだったかな?」と思うかもしれません。
彼らには船員保険がありますからね。
今は、労災保険のお話しかしていませんので、間違うことはないと思いますが、学習を進めていると、知識がごっちゃになることがありますので、整理をしておくといいですね。
最後に、ちょっとひねった過去問になるのですが、落ち着いて要件を思い出せば大丈夫です。
雇用契約を締結していないということは、、、?
(平成28年問1A)
障害者総合支援法に基づく就労継続支援を行う事業場と雇用契約を締結せずに就労の機会の提供を受ける障害者には、基本的には労災保険法が適用されない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
雇用契約を締結していないということは、賃金が支払われておらず労働基準法上の労働者ではないと思われますので、労災保険法上の労働者にも該当しないということになります。
ですから問題文のようなケースは労災保険が適用されないということになります。
今回のポイント
◆労災保険に適用される労働者となるための基準は、労働基準法の労働者に準じているので、
- 適用事業に使用されているもの
- 賃金を支払われているもの
ということになります。
◆労災保険法での適用事業の定義は、
法3条
① この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。
② 前項の規定にかかわらず、国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法(昭和22年法律第49号)別表第1に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない。
となっています。
◆雇用契約を締結していないということは、賃金が支払われておらず労働基準法上の労働者ではないと思われますので、労災保険法上の労働者にも該当しないということになります。
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