安衛法の安全衛生管理体制は、総括安全衛生管理者をはじめさまざまな役職が出てきますので、
それぞれの要件を押さえるのが大変ですよね。
そんな時は、一つ一つの要件を勉強したら、あとは一つの知識から連想で思い出してみるのもいいです。
たとえば、総括安全衛生管理者の選任についての人数要件はこうだけど、衛生管理者はどうだったかな、みたいな感じです。
このようにお互いの知識を連携できるようになると、どんどん知識が定着していくのでオススメです。
それでは早速問題に入っていきましょう。
1問目は、総括安全衛生管理者になるために必要な資格について問われていますので見ていきますね。
総括安全衛生管理者になるための資格とは?
(平成24年問9A)
常時120人の労働者を使用する清掃業の事業場の事業者は、総括安全衛生管理者を選任する義務があるが、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者であれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を総括安全衛生管理者に選任し、当該事業場の労働災害を防止するため必要な業務を統括管理させることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
まず、総括安全衛生管理者を選任するべき事業場ですが、
「林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 → 労働者数100人以上」
ですね。
で、総括安全衛生管理者になるべき人については、特定の資格が必要なわけではありませんが、
その事業場を実質的に統括管理する権限や責任がある人にする必要があります。
(ここで、安全管理者や衛生管理者になるために必要な資格についても、お手持ちのテキストで確認してみてくださいね。)
総括安全衛生管理者の仕事は、安全管理者や衛生管理者などの指揮をすることなので、
ただの冠だけでは労働者の安全を守れないですからね。
で、事業者は選任する事由が発生してから14日以内に総括安全衛生管理者を選任する必要があり、
選任したときは、遅滞なく所轄労基署長に報告しなければなりません。
総括安全衛生管理者はそれほど重要な役割を担っているわけですが、
もし、「この人では、、、」というような事態になった時はどうなるのでしょう。
次の問題を見てみましょう。
都道府県労働局長が総括安全衛生管理者を解任?
(平成26年問9ア)
都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、総括安全衛生管理者の解任を命ずることができる。
解説
解答:誤り
都道府県労働局長は、事業者に対して、総括安全衛生管理者の解任を命ずることができるわけではなく、
総括安全衛生管理者の業務の執行について勧告することができます。
この勧告は、他の同じ業種で同じ規模の事業場と比べて労働災害の発生率が高い場合に、
それが総括安全衛生管理者の業務の執行が不適切であると考えられる場合に行われます。
ちなみに、安全管理者や衛生管理者に対しては、「労基署長」が増員や解任を命ずることができますので区別しておきましょう。
さて、次は衛生管理者について見てみましょう。
衛生管理者の選任にも人数要件がありますが、それに加えて次の問題では資格についても問われていますので確認していきますね。
衛生管理者に必要な資格とは
(平成24年問9C)
常時60人の労働者を使用する製造業の事業場の事業者は、衛生管理者を選任する義務があるが、第二種衛生管理者免許を有する当該事業場の労働者であれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を衛生管理者に選任し、当該事業場の衛生に係る技術的事項を管理させることができる。
解説
解答:誤り
製造業の場合は、第2種衛生管理者免許以外の資格を持つ者から選任しなければなりません。
衛生管理者には、次の資格を持つものから選任する必要があります。
- 第1種衛生管理者免許
- 第2種衛生管理者免許
- 衛生工学衛生管理者免許
- 医師・歯科医師
- 労働衛生コンサルタント
で、第1種衛生管理者免許はすべての業種の事業場において衛生管理者となることができますが、
第2種衛生管理者免許の場合は、有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場にしか衛生管理者を選任することができません。
つまり、製造業や建設業、農林水産業など比較的労働災害が多いと見込まれる業種の事業場では、第2種衛生管理者免許を持つ者を衛生管理者にすることができないのです。
で、衛生管理者の場合は、業種に関係なく常時50人以上の労働者を使用している事業場で「選任」する必要がありますが、
一定の要件を満たす事業場では、もっぱら衛生管理者としての仕事をしてもらう「専任」の衛生管理者をおく必要があるのです。
この一定の要件とはどのようなものなのか確認しましょう。
衛生管理者の専任要件
(平成26年問9エ)
事業者は、常時1,000人を超える労働者を使用する事業場にあっては、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
衛生管理者を「専任」する必要のある事業場は、
- 常時1000人を超える労働者を使用する事業場
- 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働など一定の有害業務に常時30人以上の労働者を従事させる場合
となっています。
坑内労働など一定の有害業務というのは、労働基準法で「2時間を超えて時間外労働をさせることができない業務」のことを指します。
ここに深夜業が入っていないことを意識しておきたいですね。
深夜業を含む常時500人以上の労働者が関係するのは、産業医の「専属」に関する要件でしたね。
では最後に、この産業医に関する過去問を見ておきましょう。
この問題では、巡視の頻度が論点になっていますのでチェックしていきますね。
産業医の巡視頻度は?
(平成23年問8C)
常時60人の労働者を使用する自動車整備業の事業場においては産業医を選任しなければならないが、産業医は原則として少なくとも毎年1回作業場等を巡視しなければならない。
解説
解答:誤り
産業医の巡視頻度は、毎年1回ではなく、「少なくとも毎月1回」となっています。
ただし、所定の情報提供を受けていて事業主の同意がある場合は「少なくとも2月に1回」で大丈夫です。
ちなみに、衛生管理者の巡視頻度は「少なくとも毎週1回」で、安全管理者に巡視頻度は規定されていませんでしたね。
今回のポイント
- 総括安全衛生管理者を選任するべき事業場は、「林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 → 労働者数100人以上」ですが、総括安全衛生管理者になるために特定の資格が必要なわけではありません。
- 都道府県労働局長は、事業者に対して、総括安全衛生管理者の業務の執行について勧告することができます。
- 第2種衛生管理者免許の場合は、有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場にしか衛生管理者を選任することができません。(第1種衛生管理者免許はすべての事業場で選任することができます)
- 衛生管理者を「専任」する必要のある事業場は、
- 常時1000人を超える労働者を使用する事業場
- 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働など一定の有害業務に常時30人以上の労働者を従事させる場合
となっています。
- 産業医の巡視頻度は、「少なくとも毎月1回」となっていて、所定の情報提供を受けていて事業主の同意がある場合は「少なくとも2月に1回」で大丈夫です。
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