過去問

「健康保険法 早わかり!家族療養費のツボはこれ!」過去問・健保-43

家族療養費は、被保険者の療養よりもややこしいイメージがありますね。

というのも、家族療養費が誰に支給されるのか、家族療養費がカバーするのはどの療養なのか、など要件がいろいろありますために大変なイメージがありますね。

ただ、要件自体は複雑なものではありませんので、丁寧に押さえていくようにしましょう。

 

家族療養費は誰に支給される?

(平成26年問5ウ)

被扶養者が保険医療機関等において、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、被保険者に対して家族療養費が支給される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

家族療養費は「被保険者」に対して支給されます。

また、家族療養費は、「評価療養、患者申出療養又は選定療養」といった保険外併用療養費対象になっています。

では、家族療養費がカバーしている療養の範囲をチェックしてみましょう。

 

家族療養費の範囲は?

(令和元年問2B)

67歳の被扶養者が保険医療機関である病院の療養病床に入院し、療養の給付と併せて生活療養を受けた場合、被保険者に対して入院時生活療養費が支給される。

 

解説

解答:誤

「入院時生活療養費」が支給されるのではなく、「家族療養費」が支給される形になります。

家族療養費の範囲は、

  •  療養の給付
  • 入院時食事療養費
  • 入院時生活療養費
  • 保険外併用療養費
  • 療養費

の5つで、それらは家族療養費として支給されることになります。

では次は家族療養費として支給される「額」についてみてみましょう。

どうやら年齢によって家族療養費の額が違うようです。

 

6歳までの家族に対する家族療養費の額

(平成30年問10D)

被扶養者が6歳に達する日以後の最初の3月31日以前である場合、家族療養費の額は、当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)につき算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)に100分の90を乗じて得た額である。

 

解説

解答:誤

被扶養者が6歳に達する日以後の最初の3月31日以前である場合の家族療養費は、療養の費用の「100分の90」ではなく「100分の80」となります。

ちなみに、家族療養費の額は、

  • 被扶養者が6歳に達する日以後の最初の3月31日以前の場合 → 100分の80
  • 被扶養者が6歳に達する日以後の最初の3月31日の翌日以後であって70歳に達する日の属する月以前の場合 → 100分の70
  • 被扶養者(下の被扶養者を除く。)が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合 → 100分の80
  • 一定以上所得者である被保険者」の被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合 → 100分の70

というようになっています。

で、上記に「一定以上所得者」とありますが、「収入」を論点にした問題がありますので見ておきましょう。

要件を混同しないように気をつけてみましょう。

 

家族療養費と被保険者の収入の関係は?

(平成29年問8C)

68歳の被保険者で、その者の厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円を超えるとき、その被扶養者で72歳の者に係る健康保険法第110条第2項第1号に定める家族療養費の給付割合は70%である。

 

解説

解答:誤

被保険者が70歳未満の場合、「一定以上所得者」の要件は関係ないので、問題文の場合の家族療養費の給付割合は「70%」ではなく、「80%」となります。

「一定所得者」が関係するのは「70歳以上の被保険者」です。(2021年1月3日更新)

「被保険者が変わった時の家族療養費の取り扱い

(平成28年問9ア)

疾病により療養の給付を受けていた被保険者が疾病のため退職し被保険者資格を喪失した。その後この者は、健康保険の被保険者である父親の被扶養者になった。この場合、被扶養者になる前に発病した当該疾病に関しては、父親に対し家族療養費の支給は行われない。

 

解説

解答:誤

父親の被扶養者になる前に発病した傷病に関しても、被保険者である父親に対して家族療養費が支給されます。

これは、家族療養費に限らず、療養の給付でも同じ考え方が適用されています。

というのは、被保険者の資格取得前の傷病に対しても、被保険者の資格取得が適正であれば保険給付がなされるので、上記の家族療養費と同じですね。

 

今回のポイント

  • 家族療養費は「被保険者」に対して支給されます。
  • 家族療養費の範囲は、

    •  療養の給付
    • 入院時食事療養費
    • 入院時生活療養費
    • 保険外併用療養費
    • 療養費

    の5つで、それらは家族療養費として支給されることになります。

  • 家族療養費の額は、

    • 被扶養者が6歳に達する日以後の最初の3月31日以前の場合 → 100分の80
    • 被扶養者が6歳に達する日以後の最初の3月31日の翌日以後であって70歳に達する日の属する月以前の場合 → 100分の70
    • 被扶養者(下の被扶養者を除く。)が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合 → 100分の80
    • 一定以上所得者である被保険者」の被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合 → 100分の70

    というようになっています。

 

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