未支給の年金の取り扱いについて、社労士試験ではいろいろな角度から出題されています。
相続人と絡めたものや、実際に何月分の未支給年金の請求となるのか、などちょっと面食らうものもあります。
そういったものに慣れておくためにも問題演習を繰り返しておくと良いと思います。
最初の問題は、未支給の年金は誰が受け取る権利があるのか、という論点から始めていきましょう。
未支給の年金は相続?
(平成28年問5C)
年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その未支給の年金については相続人に相続される。
解説
解答:誤
未支給の年金は「相続人に相続」されるのではなく、所定の親族が自己の名前で請求することができます。
その所定の親族とは、
「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族で、受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの」
ということになります。
では、たとえば受給権者の「子」など同順位の親族が2人以上いた時の取り扱いはどうなるのでしょうか。
「子」のそれぞれが請求するのでしょうか??
同順位の人が2人以上いるときは、、、
(平成24年問8C)
未支給の年金を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
たとえば「子」の1人が自分の名前で未支給の年金を請求した時は、残る「子」を含めた全員のためにその全額について請求したことになり、年金が支給された時は、他の親族全員に対して支給されたものとみなされます。
ということで、一つの未支給年金の案件に対しては1人の遺族とやりとりをする、ということですね。
では具体的に未支給の年金を請求する場合に、どの月の年金が「未支給」ということになるのか、下の老齢基礎年金を例に見てみましょう。
実際に請求できるのはどの月の年金?
(平成29年問9A)
老齢基礎年金の支給を受けている者が平成29年2月27日に死亡した場合、未支給年金請求者は、死亡した者に支給すべき年金でまだその者に支給されていない同年1月分と2月分の年金を未支給年金として請求することができる。なお、死亡日前の直近の年金支払日において、当該受給権者に支払うべき年金で支払われていないものはないものとする。
解説
解答:誤
問題文の場合、「同年1月分と2月分の年金」ではなく、「同年2月分の年金」を未支給年金として請求することになります。
どういうことかというと、
「年金給付は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う」
というルールになっています。
で、問題文のケースでは、平成29年2月15日に前年12月分と今年1月分の老齢基礎年金が支払われていることになります。
受給権者が亡くなったのは2月27日なので、残された未支給の年金は「2月分」ということになります。
なので、未支給年金の請求者は「2月分」を請求することができる、ということですね。
さて次の問題は、「そもそも老齢基礎年金の裁定を受けていない」場合、未支給の年金として請求できるのか、という論点になっています。
老齢基礎年金の受給手続きすらしていない状態でも請求できるのでしょうか。。。
裁定を受けていない老齢基礎年金も未支給年金の対象?
(平成29年問9E)
65歳に達したときに老齢基礎年金の受給資格を満たしていたが、裁定を受けていなかった68歳の夫が死亡した場合、生計を同じくしていた65歳の妻は、夫が受け取るはずであった老齢基礎年金を未支給年金として受給することができる。この場合、夫が受け取るはずであった老齢基礎年金は、妻自身の名で請求し、夫が65歳に達した日の属する月の翌月分から死亡月の分までの受け取るはずであった年金を受け取ることになる。
解説
解答:正
問題文のとおりで、老齢基礎年金の裁定請求をしていなくても、未支給の年金として妻が自己の名で請求をすることができます。
また、年金の支給は、「支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終わる」ことになっていますので、
夫が65歳に達した日の属する月の翌月分から死亡月の分までの年金を請求して受け取ることができます。
では最後に遺族基礎年金特有の過去問を見ておきましょう。
遺族基礎年金を受け取っていた継母が亡くなった場合に、亡くなった被保険者の「子」が未支給の年金を受け取ることができるのかどうかが問われています。
継母と「子」は正式な子どもではないですが、果たしてどうなるのでしょうか。。。
継母が亡くなった場合の未支給年金の行方
(平成25年問1D)
遺族基礎年金の受給権者である妻が死亡した場合の未支給の年金について、妻の死亡の当時、当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となっていた被保険者又は被保険者であった者の子は、当該妻と養子縁組をしていなくても、未支給の年金の支給を請求することができる子とみなされる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
問題文の場合、「妻」と「子」との間で養子縁組をしていなくても、「子」は未支給の年金を請求することができます。
今回のポイント
- 未支給の年金は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族で、受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが自己の名前で請求することができます。
- 未支給の年金を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなされます。
- 年金給付は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払うことになっています。
- 問題文のとおりで、老齢基礎年金の裁定請求をしていなくても、未支給の年金として妻が自己の名で請求をすることができます。
- 遺族基礎年金の受給権者である妻が死亡した場合の未支給の年金については、「妻」と「子」との間で養子縁組をしていなくても、「子」は未支給の年金を請求することができます。
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