このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今回は、労働基準法から「賃金の保障」について見てみたいと思います。
労働者が実際に働いた時間に応じて、使用者が賃金を支払うのは当然として、
もし、会社側の都合で休業になって仕事ができなかったり、出来高制で契約したものの賃金が微々たるものになってしまったりすると、労働者の生活に支障が出てしまいます。
そこで労基法では、休業手当や出来高制の保障給について規定していますので、どのようなものか見てみましょう。
労基法と民法の関係
(令和3年問4A)
本条(26条)は、債権者の責に帰すべき事由によって債務を履行することができない場合、債務者は反対給付を受ける権利を失わないとする民法の一般原則では労働者の生活保障について不十分である事実にかんがみ、強行法規で平均賃金の100分の60までを保障しようとする趣旨の規定であるが、賃金債権を全額確保しうる民法の規定を排除する点において、労働者にとって不利なものになっている。(問題文に一部補足しています)
解説
解答:誤り
労基法26条の規定は、民法の規定を排除しているわけではありませんので、労働者に不利というわけではありません。
民法536条第2項では、会社側が会社側の責任で労働者に働く環境を与えることができない場合、労働者側は賃金を全額請求することができますが、
会社側が賃金の支払いを拒否した場合、裁判で決着をつけることになるケースも出てきます。
しかし、労基法26条は、所定の要件に該当すれば労基署が労基法違反の疑いで行政指導をことができますから、労働者にとってはセーフティーネットのような存在ですね。
なので、労基法26条は労働者にとって不利なわけではありません。
ちなみに、労基法26条では使用者の責について民法よりも広く定義しているので、カバーしている範囲が広いとも言えます。
さて、次は休業手当の支給義務が発生する日について見てみましょう。
それには「休業」の対象になる日を明確にしておく必要がありますので、下の問題を読んでみましょう。
休業手当の対象となる日
(平成29年問6E)
労働基準法第26条に定める休業手当は、同条に係る休業期間中において、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、支給する義務は生じない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
休業手当は、労働日だったところを「休業させた日」に支給するものなので、もともと休日で労働日ではない日に休業手当を支給する義務はありません。
なので、就業規則や労働契約書などで休日が指定されている日については休業手当の支給の対象外となります。
で、就業規則に休業について一方的に規定していて労基法の基準に達していない場合はどうなるのでしょうか。
下の問題で確認してみましょう。
休業について就業規則に定めた内容についての妥当性
(令和3年問4C)
就業規則で「会社の業務の都合によって必要と認めたときは本人を休職扱いとすることがある」と規定し、更に当該休職者に対しその休職期間中の賃金は月額の2分の1を支給する旨規定することは違法ではないので、その規定に従って賃金を支給する限りにおいては、使用者に本条(26条)の休業手当の支払義務は生じない。(問題文に一部補足しています)
解説
解答:誤り
問題文の場合、休業手当の支払義務が生じるので誤りです。
労基法26条では、「使用者の責」に帰すべき事由による休業については、
平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならないことが明記されているので、
就業規則で勝手に法を下回る基準を規定しても無効になります。
さて、最後に出来高制の保障給による賃金の保障について見ておきましょう。
出来高制での賃金は、一般的な時給や月給の場合と違って、結果によって賃金額が左右される分、不安定と言えます。
なので、労基法では出来高払制の保障給についても規定しています。
どのようなルールになっているのか見てみましょう。
出来高払制の保障給の趣旨
(平成26年問4E)
いわゆる出来高払制の保障給を定めた労働基準法第27条の趣旨は、月給等の定額給制度ではなく、出来高払制で使用している労働者について、その出来高や成果に応じた賃金の支払を保障しようとすることにある。
解説
解答:誤り
出来高払制で労働者を使用する場合、使用者は成果などではなく、「労働時間」に応じて一定額の賃金の保障をしなければならないと労基法では規定しています。
具体的には、行政解釈によると平均賃金の6割程度が妥当だとしています。
今回のポイント
- 民法536条第2項では、会社側が会社側の責任で労働者に働く環境を与えることができない場合、労働者側は賃金を全額請求することができますが、裁判で決着をつけることになる場合もあります。しかし、労基法26条は、所定の要件に該当すれば労基署が労基法違反の疑いで行政指導をことができますから、労働者にとってはセーフティーネットのような存在です。
- 休業手当は、もともと休日で労働日ではない日に休業手当を支給する義務はありません。
- 労基法26条では、「使用者の責」に帰すべき事由による休業については、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならないことが明記されているので、就業規則で勝手に法を下回る基準を規定しても無効になります。
- 出来高払制で労働者を使用する場合、使用者は成果などではなく、「労働時間」に応じて一定額の賃金の保障をしなければならないと労基法では規定しています。
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