このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今回は、徴収法から「有期事業の一括」について見てみたいと思います。
有期事業というのは、建設工事のように事業の期間の範囲が決まっていて、必ず終了する事業のことですね。
建設会社がいくつもの工事を抱えている場合、それぞれの事業について保険関係の成立と廃止、保険料の納付などをしていたら手続きが大変なので、有期事業を一括する制度になっています。
ではまず、有期事業が一括される事業の対象について見ていくことにしましょう。
有期事業の一括の対象となる事業
(平成28年労災問8A)
有期事業の一括の対象は、それぞれの事業が、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業であり、又は土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業とされている。
解説
解答:誤り
有期事業の一括の対象となるのは、建設の事業と立木の伐採の事業ですが、農林の事業は対象外です。
ちなみに、有期事業の一括は労災保険にかかる保険関係が対象となっているので、雇用保険は関係ありません。
では、建設の事業と立木の伐採の事業で有期事業であれば、すべて一括の対象となるのでしょうか?
次の問題で確認しましょう。
有期事業が一括されるための要件
(平成28年労災問8B)
有期事業の一括の対象となる事業に共通する要件として、それぞれの事業の規模が、労働保険徴収法による概算保険料を算定することとした場合における当該保険料の額が160万円未満であり、かつ期間中に使用する労働者数が常態として30人未満であることとされている。
解説
解答:誤り
有期事業の一括の対象となる要件として、建設の事業と立木の伐採の事業に共通しているのは、
「概算保険料が160万円未満」であるという点のみで、労働者数は要件に入っていません。
で、建設の事業の場合は、上記に加えて「請負金額が1億8千万円未満」であることが要件となっていて、
立木の伐採の事業では「素材の見込生産量が1,000立方メートル未満」であることが条件です。
逆にいうと、上記の要件を満たさないと、有期事業であっても一括されず、独立した事業として扱われるということになりますね。
ということで、有期事業の一括の要件を満たしたら、行政への申請をする必要があるのかどうかについて見てみましょう。
有期事業の一括は申請が必要?
(平成24年労災問8D)
有期事業の一括は法律上一定の要件に該当する場合には当然に行われるものであり、事業主からの申請、都道府県労働局長による承認は不要である。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
有期事業の一括は、法律上、当然に行われるので申請は必要なく、以前は一括有期事業開始届という形で労基署に提出していましたが、現在ではそれも廃止になりました。
ちなみに、継続事業を一括する場合は、厚生労働大臣の認可を受けることになっています。
では、有期事業が一括されることで得られる効果にはどんなものがあるのでしょうか。
下の問題で確認しましょう。
有期事業の一括の効果
(平成30年労災問8D)
2以上の有期事業が労働保険徴収法による有期事業の一括の対象になると、それらの事業が一括されて一の事業として労働保険徴収法が適用され、原則としてその全体が継続事業として取り扱われることになる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
有期事業が一括されると、全体が継続事業として取り扱われるため、
それぞれの有期事業の開始、終了ごとに保険料の納付や精算をしなくて良くなり、
有期事業が連続しているかぎり、年1回の概算保険料の納付と確定保険料の精算だけで済むので手続きが楽になります。
ただ、それぞれの有期事業の保険料の精算は必要になるので、一括有期事業報告書という形で行うのですが、
その方法を最後に見ておきましょう。
一括有期事業報告書の提出方法
(平成23年雇用問9C)
一括有期事業報告書は、前年度中又は保険関係が消滅した日までに終了又は廃止したそれぞれの一括された事業の明細を報告するものであり、確定保険料申告書の提出に加え、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
一括有期事業報告書は、確定保険料の申告書の提出と一緒に行うので、保険関係が消滅したときか、6月から7月10日までの年度更新の際に提出することになります。
参考までに一括有期事業報告書のリンクを貼っておきますので、ご自由にご参考になさってくださいね。
今回のポイント
- 有期事業の一括の対象となるのは、建設の事業と立木の伐採の事業です。
- 有期事業の一括の対象となる要件として、建設の事業と立木の伐採の事業に共通しているのは、「概算保険料が160万円未満」であるという点です。
- 有期事業の一括は、法律上、当然に行われるので申請は必要はありません。
- 有期事業が一括されると、全体が継続事業として取り扱われるため、有期事業が連続しているかぎり、保険料の手続きは年1回の概算保険料の納付と確定保険料の精算だけで済むので楽になります。
- 一括有期事業報告書は、確定保険料の申告書の提出と一緒に行うので、保険関係が消滅したときか、6月から7月10日までの年度更新の際に提出することになります。
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