基本手当の「受給期間」については「延長」、「所定給付日数」の場合は「特定受給資格者」など色々と要件が絡んでいてややこしいですよね。
ややこしい分、社労士試験でも出題数の多い分野の一つになってしまっていますので、スルーしたくてもできないのが悩みどころです。
こういった要件がたくさんある分野については、問題演習だけしていても論点に漏れができやすいので、問題演習と合わせてテキスト通読をするのが効果的です。
できればチェックペン(古いですかね?苦笑)を使って、用語を思い出しながら確認できると最強だと思います。
では一つずつ見ていくことにしましょう。
定年後の受給延長に再延長はできる?
(平成28年問4D)
定年に達したことで基本手当の受給期間の延長が認められた場合、疾病又は負傷等の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない日があるときでも受給期間はさらに延長されることはない。
解説
解答:誤
問題文の場合は、「受給期間をさらに延長されます」。
60歳以上の定年に達したことを理由にした受給期間の延長については、1年を限度とすることができますが、
疾病又は負傷などの理由によって引き続き30日以上職業に就くことができない日がある場合は、「さらに」受給期間の延長ができ、最大4年まで延ばすことができます。
こちらの受給期間の延長は、定年の場合でなくても、妊娠や出産、育児などで引き続き30日以上職業に就くことができない場合でも同じですね。
さて、基本手当の受給期間は一般的には離職の日の翌日から1年間になりますが、公共職業安定所に求職の申込をしたからといってすぐに基本手当をもらえるわけではありません。
そうです、7日間の待期があるのです。
次は待期の定義について取り扱った過去問になりますので確認していきましょう。
待期の定義
(平成23年問2E)
受給資格者が基準日後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日が通算して5日の時点で安定した職業に就いて被保険者となった場合、その5日について基本手当が支給されることはない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
待期は求職の申込みをした日以後において、失業している日が通算して7日間ですが、その7日のうちに就職した場合は基本手当は支給されません。
言いかえると、基本手当がもらえるのは、7日間の待期期間のあと、ということになります。
で、この「待期」にはもう一つ大切な定義があります。
それを次の問題でチェックしましょう。
待期と病気の関係は?
(平成26年問2オ)
受給資格者が求職の申込みをした日の翌日から3日間、疾病により職業に就くことができなくなったときは、他の要件を満たす限り、当該求職の申込をした日の11日目から基本手当が支給される。
解説
解答:誤
基本手当が支給されるのは、求職の申込をした「8日目」から支給されますので、「11日目」というのは誤りです。
というのも、7日の待期期間は失業していることが前提ですが、「疾病又は負傷のため職業に就くことができない日」も失業に含まれます。
なので、問題文の場合は、求職の申し込みをした翌日から8日目から基本手当が支給されることになります。
さて、次は単純に暗記ものになるのですが、所定給付日数についての問題を見ておきましょう。
最初からすべてを覚えようとすると大変ですので、一般の受給資格者や、就職困難者の所定給付日数から手をつけ始めるといいでしょう。
就職困難者の所定給付日数
(平成30年問4イ)
算定基礎期間が1年未満の就職が困難な者に係る基本手当の所定給付日数は150日である。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
「就職困難者」で「算定基礎期間が1年未満」の場合の所定給付日数は「年齢に関わらず150日」です。
「1年以上」になると、
- 「45歳未満」 → 「300日」
- 「45歳以上65歳未満」 → 「360日」
となります。
この所定給付日数は覚えるのは大変ですが、出題されたら確実に得点できますので、本試験日までには自分のものにしておきたいですね。
では最後に所定給付日数に影響を及ぼす特定受給資格者の定義を取り扱った問題を確認しましょう。
特定受給資格者の定義は、大きく分けて「倒産」と「解雇」がありますが、それぞれに要件がたくさん規定されています。
「賃金の額を3で除して得た額を上回る額が支払期日までに支払われなかった」
など数字に関する要件も多いですので丁寧に押さえていくようにしたいですね。
それでは特定受給資格者について見てみましょう。
特定受給資格者の定義
(平成26年問1A)
事業主が健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったことで健康障害の生ずるおそれがあるとして離職した者は、当該離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば、他の要件を満たす限り、基本手当を受給することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
特定受給資格者の定義の一つとして、
「事業主が健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったこと」
を理由にして離職した場合は特定受給資格者になり、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば、基本手当を受給することができます。
今回のポイント
- 60歳以上の定年に達したことを理由にした受給期間の延長については、1年を限度とすることができますが、疾病又は負傷などの理由によって引き続き30日以上職業に就くことができない日がある場合は、「さらに」受給期間の延長ができ、最大4年まで延ばすことができます。
- 待期は求職の申込みをした日以後において、失業している日が通算して7日間ですが、その7日のうちに就職した場合は基本手当は支給されません。
- 7日の待期期間は失業していることが前提ですが、「疾病又は負傷のため職業に就くことができない日」も失業に含まれます。
- 「就職困難者」で「算定基礎期間が1年未満」の場合の所定給付日数は「年齢に関わらず150日」です。
- 特定受給資格者の定義は、大きく分けて「倒産」と「解雇」があります。
- 特定受給資格者の定義の一つとして、「事業主が健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったこと」を理由にして離職した場合は特定受給資格者になり、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば、基本手当を受給することができます。
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