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【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 労基法 労働条件の原則、用語の定義」過去問・労基-78

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なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。

なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。

今回は、労基法から労働条件の原則用語の定義について見てみたいと思います。

用語の定義を理解することで、この法律の考え方が分かりますので、過去問を読んでいきましょう。

最初の問題は、「労働条件」について問われている問題です。

労働基準法では、労働条件についてどのように定めているのでしょうか。

 

労基法で定めている労働条件とは

(平成25年問5B)

労働基準法は労働条件の最低基準を定めたものであり、この最低基準が標準とならないように、同法は、この最低基準を理由として労働条件を低下させることを禁止し、その向上を図るように努めることを労働関係の当事者に義務づけている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労基法で定めている労働条件は、最低基準なので、労基法で規定している基準に満たないものは無効となりますし、

もともと労基法以上の基準で運用していたものを、労基法の基準に引き下げることも禁止しています。

たとえば、労働時間が7時間の事業場で、労基法の基準である8時間に変更することが考えられます。

ちなみに、上記の規定は労基法1条第2項ですが、訓示規定のため違反をしても罰則はありません。

では次に、労働条件とはどのようなことを指すのかについて見てみましょう。

一般的には、お給料や労働時間などが頭に浮かびますが、範囲がどこまで及ぶのか次の問題を読んでみましょう。

 

労働条件の範囲

(平成25年問5A)

労働基準法第1条にいう「労働条件」とは、賃金、労働時間、解雇、災害補償等の基本的な労働条件を指し、安全衛生、寄宿舎に関する条件は含まない。

 

解説

解答:誤り

労基法第1条でいうところの労働条件は、安全衛生や寄宿舎に関する条件も含みますので誤りです。

こちらの労働条件は、労働者の職場における一切の待遇を指します。

なので、賃金や労働時間、解雇などだけでなく、安全衛生や寄宿舎に関するものもすべて含まれるわけです。

さて、次は「事業」について見てみたいと思います。

事業というのは、一般的に労働者が働く場所であり、使用者が経営しているものですね。

ここで問題になるのは、労基法の指す事業が、企業全体のことを指すのかどうかということになりますが、どのように規定されているのでしょうか。

 

「事業」の定義

(平成26年問1D)

労働基準法第9条にいう「事業」とは、経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものであって、場所的観念によって決定されるべきものではない。

 

解説

解答:誤り

事業とは、全事業を指称するものではなく、「場所的観念によって決定されるべきもの」なので誤りです。

事業は、工場や事務所、店舗といった一定の場所で業として継続的に行われているものをいいますが、

原則としては場所的観念によって一つの事業として決められます。

なので、同じ会社であっても、違う場所にあれば労基法上は、別々の事業ということになります。

では、いよいよ「労働者」の定義について見ておきましょう。

労基法で労働者というと、どのような規定になっているのでしょうか。

 

労基法でいうところの「労働者」とは

(平成23年問1D)

労働基準法に定める「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいい、この定義に該当する場合には、いかなる形態の家事使用人にも労働基準法が適用される。

 

解説

解答:誤り

いかなる形態の家事使用人にも労働基準法が適用されるということではないので問題文は誤りです。

まず、労基法でいうところの労働者は、

「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」

を指しますが、

原則として、同居の親族のみを使用する事業や、家事使用人については対象外となっています。

ただ、家事使用人といっても、たとえば家事代行サービスの会社に雇われて、会社の指揮命令のもとで家事を行う場合については労働者と認められます。

では最後に、「使用者」の定義について確認しましょう。

一口に使用者といっても、対象がぼやけていてどこまでの範囲を指すのか分かりませんので、下の問題で見てみましょう。

 

「使用者」の考え方

(平成24年問4D)

労働基準法に定める「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をする管理監督者以上の者をいう。

 

解説

解答:誤り

労働基準法での使用者は、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、

事業主のために行為をする管理監督者以上の者ではなく、「事業主のために行為をするすべての者」のことをいいます。

ちなみに、事業主は、その事業の経営の主体のことを指していて、個人企業の場合は企業主、法人であれば法人そのものをいいます。

で、事業の経営担当者は、法人の代表者ということになりますね。

 

今回のポイント

  • 労基法で定めている労働条件は、最低基準なので、労基法で規定している基準に満たないものは無効となり、もともと労基法以上の基準で運用していたものを、労基法の基準に引き下げることも禁止しています。
  • 労基法第1条の労働条件は、労働者の職場における一切の待遇を指します。
  • 事業とは、全事業を指称するものではなく、「場所的観念によって決定されるべきもの」とされています。
  • 労基法でいうところの労働者は「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」となっています。
  • 労働基準法での使用者は、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者のことをいいます。

 

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