過去問

「社労士試験 徴収法 5分で再確認!概算保険料の延納の要件」過去問・徴-72

今回は概算保険料の延納について見ていきたいと思います。

延納は、継続事業と有期事業の違い、金額の要件や事務組合への委託などいろいろな要素が絡み合っていますので、

ややこしいですが、本試験で的確に対応するためにも、繰り返し復習をして身体に擦り込んでしまいましょう

それでは過去問を見ていきたいと思います。

1問目は、継続事業で事務処理を事務組合に委託している場合の延納要件について問われています。

事務組合に委託している場合、延納と概算保険料額の関係はどうなっていたでしょうか?

 

事務組合に委託している場合の延納

(平成29年労災問10オ)

労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている事業についての事業主は、納付すべき概算保険料の額が20万円(労災保険に係る保険関係又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、10万円)以上(当該保険年度において10月1日以降に保険関係が成立したものを除く。)となる場合であれば、労働保険徴収法に定める申請をすることにより、その概算保険料を延納することができる。

 

解説

解答:誤り

継続事業で事務組合に委託している場合は、概算保険料の額に関係なく延納をすることができるので誤りです。

事務組合に委託していない場合は、概算保険料の額が40万円以上の場合に延納できます。

ただし、10月1日以降に保険関係が成立したものは除かれます。

ちなみに、有期事業であっても、事務組合に委託していれば概算保険料の額に関わらず延納でき、

委託していない場合は概算保険料の額が75万円以上であれば延納できます。

ただ、事業の全期間が6月以内のものは延納の対象外です。

それでは、継続事業が延納した場合の納期限について見ていきましょう。

延納した納期限については実際の日付を使って出題されることがありますので、どんな形で出題されているのか確認しましょう。

 

継続事業が延納した場合の納期限

(平成27年雇用問9D)

概算保険料について延納が認められ、前保険年度より保険関係が引き続く継続事業(一括有期事業を含む。)の事業主の4月1日から7月31日までの期分の概算保険料の納期限は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合であっても、7月10日とされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

4月1日〜7月31日までの第1期の概算保険料の納期限は、事務組合への委託の有無を問わず7月10日が納期限になっています。

残りの2期については、事務組合に委託をしていると、

  • 第2期(8〜11月):10月31日 →11月14日
  • 第3期(12〜翌3月):1月31日 →2月14日

と納期限が延長されます。

それでは、年度の途中に保険関係が成立した場合の延納について見てみましょう。

 

継続事業が延納した場合の納期限 その2

(令和2年雇用問8A)

概算保険料について延納できる要件を満たす継続事業の事業主が、7月1日に保険関係が成立した事業について保険料の延納を希望する場合、2回に分けて納付することができ、最初の期分の納付期限は8月20日となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

継続事業の保険関係が成立した場合、概算保険料の納付は、成立してから50日以内に納付するのが原則です。

これは、延納する場合でも同様で、第1回目の納付は、保険関係が成立してから50日以内です。

延納の回数については、7月に成立した場合は第2期と合体するので、2回となります。

ちなみに、4月1日〜5月31日の間に保険関係が成立した場合は、延納の回数は3回となります。

さて、次は有期事業について見てみましょう。

次の問題では、年度の途中に保険関係が成立しているのですが、納期限と延納の回数はどうなっているでしょうか。

 

有期事業が延納した場合の納期限

(令和2年雇用問8B)

概算保険料について延納できる要件を満たす有期事業(一括有期事業を除く。)の事業主が、6月1日に保険関係が成立した事業について保険料の延納を希望する場合、11月30日までが第1期となり、最初の期分の納付期限は6月21日となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

有期事業の場合、概算保険料の納期限は、成立してから20日以内に納付する規定になっています。

また、延納の回数については、保険関係成立の日から期末までの日数が2月以内の場合は次の期と合体するので、問題文のケースであれば、延納の回数は2回となります。

では最後に、有期事業と事務組合への委託の関係について確認しておきましょう。

継続事業の場合、第1期の納期限は7月10日ですが、有期事業の場合はどうなっているでしょうか。

 

有期事業が延納した場合の納期限 その2

(平成27年雇用問9E)

概算保険料について延納が認められている有期事業(一括有期事業を除く。)の事業主の4月1日から7月31日までの期分の概算保険料の納期限は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合であっても、3月31日とされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

有期事業の場合、4月1日〜7月31日までの第1期の概算保険料の納期限は「3月31日」で、事務組合に委託している場合でも延長されることはありません。

これは、他の期についても同様です。

 

今回のポイント

  • 事務組合に委託している場合は、継続事業、有期事業ともに概算保険料の額に関係なく延納をすることができます。
  • 4月1日〜7月31日までの第1期の概算保険料の納期限は、事務組合への委託の有無を問わず7月10日が納期限になっています。
  • 継続事業の保険関係が成立した場合、概算保険料の納付は、延納していても、第1回目は成立してから50日以内に納付する必要があります。
  • 有期事業の場合、概算保険料の納期限は、成立してから20日以内に納付する規定になっています。
  • 有期事業の場合、4月1日〜7月31日までの第1期の概算保険料の納期限は「3月31日」で、事務組合に委託している場合でも延長されることはありません。

 

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