今回は不服申し立てということで、審査請求と再審査請求などについて取り扱った過去問を見ていきたいと思います。
ここで大切になるのは、その流れです。
審査請求から再審査請求へはどのように移行していくのか、提起はどのように関わっているのかを整理していくと良いかと思います。
それでは最初の問題に入っていきましょう。
この問題では、国民年金原簿の請求に対する決定に不服があった場合に審査請求の対象となるのかが問われていますので見ていきましょう。
国民年金原簿の訂正の請求は審査請求の対象?
(平成28年問4エ)
厚生労働大臣は、国民年金原簿の訂正の請求について、当該訂正請求に係る国民年金原簿の訂正をする旨又は訂正をしない旨を決定しなければならないが、その決定を受けた者が、その決定に不服があるときは、社会保険審査官に対して審査請求をすることができる。
解説
解答:誤り
審査請求は、被保険者の資格や給付、保険料などの処分に不服があるときにできるのですが、国民年金原簿の訂正についての請求についての決定に不服があっても「社会保険審査官」への審査請求の対象になっていません。
ちなみに、決定に不服がある場合は、行政不服審査法に基づいて、決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、「厚生労働大臣」に対して審査請求をすることができます。
これは厚生労働省のリーフレットにありますので、ご興味がありましたらご自由にご参考になさってくださいね。
(最後の方のQ &Aに記載があります)
参考記事:年金記録訂正手続きのあらまし
では、次は脱退一時金と審査請求について確認しましょう。
脱退一時金の処分に不服があった場合、もちろん審査請求はできるのですが、
「どこへ」審査請求するのか、が特徴的です。
脱退一時金について不服がある場合の審査請求先は
(令和元年問6A)
脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求することができるが、当該審査請求は時効の完成猶予及び更新に関しては裁判上の請求とみなされる。(問題文を一部補正しています)
解説
解答:誤り
脱退一時金に関する処分に不服がある時は、社会保険審査官にではなく「社会保険審査会」に対して審査請求を行います。
審査請求が、時効の完成猶予及び更新に関しては裁判上の請求とみなされる、という部分は正しいです。
脱退一時金の請求は外国人が外国から行うものなので、社会保険審査会が一括して行うということなんでしょうね。
しかし、審査請求をしたものの、社会保険審査官が決定してくれなかったときはどうすればいいのでしょう。
いつまでも待ってないといけないのでしょうか?
次の問題で確認しましょう。
審査請求したのに決定がなかったら、、、
(平成30年問4A)
給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)について、社会保険審査官に対して審査請求をした場合において、審査請求をした日から2か月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
審査請求をした日から2か月以内に決定がないときは、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができますので、
再審査請求か提訴のどちらかに進むことができます。
では、次は再審査請求について見てみましょう。
次の問題では、再審査請求をいつまでにする必要があるのかが論点になっています。
ポイントは、「どの時点から」、「いつまでに」ですね。
再審査請求の申請期限
(平成27年問3E)
保険料その他国民年金法の規定による徴収金に関する処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができるが、当該再審査請求は、社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して30日以内にしなければならない。ただし、正当な事由によりこの期間内に再審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでない。
解説
解答:誤り
再審査請求は、社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して30日以内ではなく、2月以内にする必要があり、
「2月を経過」したときは、再審査請求をすることができません。
ただ、正当な理由があって期限内に再審査請求ができなかったことを疎明したときはその限りではありません。
ちなみに、再審査請求も文書だけでなく、口頭でも可能です。
ということで最後に、提起についての問題を見ておきましょう。
提起はどのタイミングで行うことができるのでしょうか。
審査請求のあと?それとも再審査請求のあと?
提起をする場合の要件
(平成29年問6B)
厚生労働大臣が行った年金給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
解説
解答:誤り
提起というのは、訴訟を提起するということで、訴状を裁判所に提出することを言いますが、
提起は、再審査請求ではなく、審査請求に対する決定を経たあとに行うことができますので、
再審査請求の裁決後でなければ提起できないわけではありません。
今回のポイント
- 審査請求は、被保険者の資格や給付、保険料などの処分に不服があるときにできるのですが、国民年金原簿の訂正についての請求についての決定に不服があっても「社会保険審査官」への審査請求の対象になっておらず、厚生労働大臣へ審査請求をすることになります。
- 脱退一時金に関する処分に不服がある時は、「社会保険審査会」に対して審査請求を行います。
- 審査請求をした日から2か月以内に決定がないときは、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができますので、再審査請求か提訴のどちらかに進むことができます。
- 再審査請求は、社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して30日以内ではなく、「2月を経過」したときは、再審査請求をすることができません。
- 提起は、審査請求に対する決定を経たあとに行うことができます。
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