過去問

「社労士試験 徴収法 保険関係の消滅で押さえるべきポイント」過去問・徴-66

保険関係は、事業の廃止や暫定任意適用事業をやめるときに消滅しますが、

社労士試験では、保険関係が消滅するタイミングや必要とされる手続きなど色々な角度で問われています。

これらの論点を一つずつ整理しながら理解していくようにしましょう。

それでは最初の問題に入っていきましょう。

この問題では、保険関係が消滅するタイミングについて問われています。

保険関係はどのタイミングで消滅するのでしょうか。

 

事業を廃止した場合、保険関係はいつなくなる?

(平成29年労災問9A)

労働保険の保険関係が成立している事業の事業主は、当該事業を廃止したときは、当該事業に係る保険関係廃止届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならず、この保険関係廃止届が受理された日の翌日に、当該事業に係る労働保険の保険関係が消滅する。

 

解説

解答:誤り

労働保険の保険関係は、保険関係廃止届を提出することで消滅するわけではありません。

保険関係は、事業が廃止されたり終了したときに、その翌日に消滅しますので、届出が要件になっているわけではありません。

では、この事業の廃止についてもう少し深く見てみましょう。

廃止といっても、たとえばお店の営業をやめた日になるのか、それとも他の要件があるのか基準がありそうです。

ということで、その基準について問われた過去問を見ておきましょう。

 

事業を廃止した場合、保険関係はいつなくなる? その2

(平成26年雇用問8A)

保険関係の成立している事業は、その事業の廃止又は終了の日の翌日に、その事業についての保険関係は法律上当然に消滅するが、例えば法人の場合、その法人が解散したからといって直ちにその事業が廃止されたことにはならず、特別の事情がない限りその清算結了の日の翌日に保険関係が消滅するとされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

保険関係は、法人の場合は清算結了の日の翌日に消滅します。

清算というのは、会社の資産の整理ということになりますので、清算業務に従業員が行うことも十分にあり得ますから、清算が終わった段階で保険関係も消滅するということですね。

さて、事業を廃止したときに、労働保険の手続きとしてしなければならないことについて次の問題で確認しましょう。

 

事業を廃止した場合の手続き

(平成23年労災問9C)

労災保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業を廃止した場合に、既に納付した概算保険料の額と確定保険料の額が同一で、納付すべき確定保険料がないときは、確定保険料申告書を提出する必要はないが、保険関係消滅申請書を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。

 

解説

解答:誤り

事業の廃止や終了によって保険関係が消滅するときは、確定保険料申告書を提出することで、保険料の精算をする必要があります。

ちなみに、問題文にある保険関係消滅申請書は、暫定任意適用事業を消滅させるときに使うもので、事業の廃止に使うものではありません。

では、暫定任意適用事業の保険関係を消滅させるときの要件について見てみましょう。

これは、事業主の意思だけで行うことはできず、労働者の同意も必要なわけですが、

労働者の同意について、労災保険と雇用保険で違いはあるのでしょうか?

 

暫定任意適用事業の消滅要件とは

(平成29年労災問9E)

労働保険の保険関係が成立している暫定任意適用事業の事業主は、その保険関係の消滅の申請を行うことができるが、労災保険暫定任意適用事業と雇用保険暫定任意適用事業で、その申請要件に違いはない。

 

解説

解答:誤り

暫定任意適用事業消滅について、労災保険では、「過半数の」労働者の同意が必要となり、雇用保険は「4分の3以上」の同意が必要なので、申請要件に違いがあります。

また、労災保険の場合は、保険関係が成立してから1年が経過している必要があり、特別保険料が徴収される場合は、その徴収期間を経過していなければなりません。

労災保険の方が、色々と要件がありますので、お手持ちのテキストでご確認なさってみてくださいね。

では最後に、暫定任意適用事業の消滅の申請をするときに、労働者から同意を得たことを行政に証明しなければならないのかどうかを確認しましょう。

 

労働者の同意を得たことについて証明が必要?

(令和元年労災問10エ)

労災保険に係る保険関係が成立している労災保険暫定任意適用事業の事業主が、労災保険に係る保険関係の消滅を申請する場合、保険関係消滅申請書に労働者の同意を得たことを証明することができる書類を添付する必要はない。

 

解説

解答:誤り

労災保険の暫定任意適用事業を消滅させるときは、労働者の過半数の同意が必要ですが、

保険関係消滅申請書に労働者の同意を得たことを証明することができる書類を添付することになっています。

暫定任意適用事業を消滅させるのに労働者の同意が要件になっている以上、やはりそれを証明する必要はありますよね。

 

今回のポイント

  • 保険関係は、事業が廃止されたり終了したときに、その翌日に消滅しますので、届出が要件になっているわけではありません。
  • 保険関係は、法人の場合は清算結了の日の翌日に消滅します。
  • 事業の廃止や終了によって保険関係が消滅するときは、確定保険料申告書を提出することで、保険料の精算をする必要があります。
  • 暫定任意適用事業消滅について、労災保険では、「過半数の」労働者の同意が必要となり、雇用保険は「4分の3以上」の同意が必要です。
  • 暫定任意適用事業を消滅させるときは、保険関係消滅申請書に労働者の同意を得たことを証明することができる書類を添付することになっています。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

今の社労士試験では「テキスト読み」が必ず必要となってきます。

ですが、効率よくテキストを押さえるには、問題演習を繰り返して重要事項を熟知することが早道なのです。

まだ3か月弱あります。大丈夫です❗️

 

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