障害(補償)給付の一番の目玉は、併合と加重かと思います。
社労士試験ではよく出題されている項目なので、重点的に押さえたいところですが、
基本が大切なことには変わりありませんので、流れをきちんと理解しておくことが大切です。
この時期(6月)以降はテキスト読みも需要になってくるので、読みながら流れを見ておくと良いと思います。
それでは最初の問題を見てみましょう。
この問題では、障害給付が論点になっています。
障害給付の等級がどのように定められているのか見ていきましょう。
障害給付と障害補償給付
(平成24年問2A)
障害給付を支給すべき身体障害の障害等級は、障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級と同じく、厚生労働省令で定める障害等級表に定めるところによる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
業務災害によって支給される障害補償給付の障害等級は別表第1に定められるところによりますが、
通勤災害で支給される障害給付もそれに準じて定められています。
つまり、どちらも給付の内容は同じということですね。
では、次は「加重」について見てみましょう。
加重というのは、すでに身体障害のあった人が、負傷または疾病により同一の部位について障害の程度を加重した場合の措置のことです。
前の障害等級よりも重くなってしまった時の措置になるのですが、どのような内容になっているのでしょうか。
加重の場合の給付方法
(平成30年問6C)
既に業務災害による障害補償年金を受ける者が、新たな業務災害により同一の部位について身体障害の程度を加重した場合には、現在の障害の該当する障害等級に応ずる障害補償年金の額から、既存の障害の該当する障害等級に応ずる障害補償年金の額を差し引いた額の障害補償年金が支給され、その差額の年金とともに、既存の障害に係る従前の障害補償年金も継続して支給される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
加重の場合、加重後の障害等級の給付が行われるのではなく、
年金の場合は「既存の障害の給付」と、「加重後の障害の給付は既存の給付を差し引いた差額」が合わせて支給される形になります。
というのも、既存の障害と加重後の障害では、給付の算定のもととなる平均賃金が異なっていることがあるので、
既存の障害と加重後の障害は区別するために、加重後の障害は全額支給せずに、既存の障害の差額を支給することになっています。
一時金の場合は、加重後の給付から既存の給付を差し引いた額が支給される形になります。
では、この加重について取り扱った事例問題を見てみましょう。
加重の事例問題
(令和2年問5A)
障害等級認定基準についての行政通知によれば、既に右示指の用を廃していた(障害等級第12級の9、障害補償給付の額は給付基礎日額の156日分) 者が、新たに同一示指を亡失した場合には、現存する身体障害に係る障害等級は第11級の6(障害補償給付の額は給付基礎日額の223日分)となるが、この場合の障害補償給付の額は、給付基礎日額の67日分である。(問題文を再構成しています)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
既存の障害補償給付の額が、給付基礎日額の156日分で、加重後の額が223日分となりますので、
223日分から156日分を差し引いた67日分の一時金が支給されることになります。
さて、次は、「併合」について見てみたいとおもいます。
併合は、身体障害が2つ以上ある時に、重い方の障害を引き上げたりする措置ですが、
一見、それぞれ別の障害に見えるけど、実は一方の障害から派生したものの場合、併合が行われるのか、
というのが次の事例問題になっていますので読んでみましょう。
機能障害から派生した神経症状の取り扱いは?
(平成25年問2D)
業務災害による身体の部位の機能障害と、そこから派生した神経症状が、医学的にみて一個の病像と把握される場合には、当該機能障害と神経症状を包括して一個の身体障害と評価し、その等級は重い方の障害等級による。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
2つの障害があって、それが医学的に見て一つの症状と見られる場合は、併合で重い方の障害等級を引き上げず、一つの身体障害として重い方の障害等級が採用されることになります。
では最後に、障害(補償)給付を受けている原因となっているケガや病気が再発した場合、障害(補償)年金がどうなるのか確認しておきましょう。
「再発」した場合、障害補償年金は?
(平成30年問6D)
同一の負傷又は疾病が再発した場合には、その療養の期間中は、障害補償年金の受給権は消滅する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
障害(補償)給付は、治ゆしていることが支給要件になっていますので、
再発して療養することになった場合は、障害(補償)年金の受給権は消滅します。
なので、再び療養(補償)給付や、休業(補償)給付、傷病(補償)年金が支給される可能性があります。
今回のポイント
- 業務災害によって支給される障害補償給付の障害等級は別表第1に定められるところによりますが、通勤災害で支給される障害給付もそれに準じて定められています。
- 加重は、加重後の障害等級の給付が行われるのではなく、年金の場合は「既存の障害の給付」と、「加重後の障害の給付は既存の給付を差し引いた差額」が合わせて支給される形になり、一時金の場合は、加重後の給付から既存の給付を差し引いた額が支給される形になります。
- 2つの障害があって、それが医学的に見て一つの症状と見られる場合は、併合はされず、一つの身体障害として重い方の障害等級が採用されることになります。
- 障害(補償)給付は、治ゆしていることが支給要件になっていますので、再発して療養することになった場合は、障害(補償)年金の受給権は消滅します。
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「知ってる」と「理解してる」は別のステージです。
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それは知識を使いこなすものではないからです。
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