過去問

「社労士試験 労基法 使用者の定義について明確にイメージできますか?」過去問・労基-70

労基法では、労働条件が非常に重要な要素になりますが、労働条件を決めるのは使用者労働者です。(現実的には使用者が決めることが圧倒的に多いですが)

その使用者とはどういう定義になっているのかを押さえておくことも労基法を勉強する上で、とても大切ですのでこの記事を読んでいただき、参考にしていただけましたら幸いです。

それでは早速見ていきましょう。

1問目の過去問では使用者の定義について、労基法でどのように定められているのかが問われています。

一見正しそうな感じがするのですが、果たして正解なのでしょうか、、、?

 

使用者の定義

(平成24年問4D)

労働基準法に定める「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をする管理監督者以上の者をいう。

 

解説

解答:誤り

使用者の定義として労基法第10条には、

事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」

とありますので、問題文のように「管理監督者以上の者」とはなっていません。

ちなみに、管理監督者というのは、部長や工場長など労働条件の決定その他労務管理について「経営者と一体的な立場にある者」となっています。

一方、使用者の定義では、「事業主のために行為をするすべての者」となっていますので、管理監督者の定義よりも広い感じがしますね。

では、使用者の定義についてもう一問見ておきますね。

次の問題では、ある法律の定義とすり替わっていますので読んでみましょう。

 

使用者の定義 その2

(平成26年問1E)

労働基準法にいう「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいうと定義されている。

 

解説

解答:誤り

問題文にある、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」という定義は労働契約法のものですから誤りです。

せっかくなので、労働者の定義も比べてみましょう。

労基法:職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者

労働契約法:使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者

となっていますので、合わせて押さえておきましょう。

さて、次は使用者の定義に入っている「事業主」の考え方について見ておきましょう。

下の問題では、個人企業と株式会社について問われていますので確認していきますね。

 

「事業主」の考え方

(令和2年問1A)

「事業主」とは、その事業の経営の経営主体をいい、個人企業にあってはその企業主個人、株式会社の場合は、その代表取締役をいう。

 

解説

解答:誤り

事業主は、株式会社の場合は「法人そのもの」指しますので誤りです。

問題文にあるように、事業主は、その事業の経営主体を指しますので、個人企業の場合は、企業主個人で、法人であれば法人そのもののことを言います。

ちなみに、法人の代表者については、「事業の経営担当者」の方に当てはまりますね。

ということで、使用者の定義について具体的な事例で問われている過去問を見てみましょう。

先ほどまで見てきた定義を頭の隅に置きながら問題文を読んでいきますね。

 

使用者であるかどうかの判断基準

(令和2年問1C)

事業における業務を行うための体制としていくつかの課が設置され、課が所掌する日常業務の大半が課長権限で行われていれば、課長がたまたま事業主等の上位者から権限外の事項について命令を受けて単にその命令を部下に伝達しただけであっても、その伝達は課長が使用者として行ったこととされる。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、課長さんは使用者とはなりません。

もう一度使用者の定義を確認しましょう。

「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」

つまり、日常業務について課長に権限があったとしても、労働者に関する事項、たとえば採用や懲戒などについての権限がなく、

上司からの命令の伝達係である場合は使用者とは認められません

では最後に使用者の定義についての具体的事例についてもう一問見ておきましょう。

こちらの問題では、下請負人が事業主になり得るのか、という論点になっています。

下請負人と聞くと事業主というイメージにつながりにくいかもしれませんが、偏見を持たずに問題文を読んでみましょう。

 

下請負人は使用者になり得るか

(令和2年問1D)

下請負人が、その雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するとともに、当該業務を自己の業務として相手方(注文主)から独立して処理するものである限り、注文主と請負関係にあると認められるから、自然人である下請負人が、たとえ作業に従事することがあっても、労働基準法第9条の労働者ではなく、同法第10条にいう事業主である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

まず、下請負人は、注文主と請負関係にあるので、使用者と労働者の関係ではありません。

また、下請負人には自分で雇用した労働者がいますので、その労働者にとって下請負人は使用者ということになります。

このように、持っている知識を使って問題文を検証していけば正解にたどり着ける可能性は高くなりますので、

基本事項を繰り返し頭にすり込んで知識を知恵に変えていきましょう

 

今回のポイント

  • 使用者の定義として労基法第10条には、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」と定められています。
  • 事業主は、その事業の経営主体を指しますので、個人企業の場合は、企業主個人で、法人であれば法人そのもののことを言います。
  • 日常業務について管理職の人に権限があったとしても、労働者に関する事項、たとえば採用や懲戒などについての権限がなく、上司からの命令の伝達係である場合は使用者とは認められません。
  • 下請負人であっても、注文主と請負関係にあり、使用者と労働者の関係になく、下請負人に自分で雇用した労働者がいるのであれば、その労働者にとって下請負人は使用者ということになります。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

模試の復習で優先すべきは、「半分以上の人が正解している問題」です。

本試験でもそうですが、多くの人が正解している基本問題をとりこぼさないことが合格への近道だからです。

基本知識を自分のものにできれば先は明るいです(^^)

 

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