社会保険審査官及び社会保険審査会法は、令和2年に大問で出題されていますが、出題頻度がそれほど高いわけではありません。
しかしながら、ちょこちょこ忘れたころに出題されていますので、この記事でサラッと確認していただけましたらと思います。
それでは過去問に入っていくことにしましょう。
1問目は、審査請求の方法が論点になっています。
審査請求をするときは文書で行うのでしょうか??
審査請求はどうやってする?
(令和2年問9A)
審査請求は、政令の定めるところにより、文書のみならず口頭でもすることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
審査請求は、文書または口頭ですることができます。
ちなみに、審査請求は代理人によってすることもできます。
では、審査請求を取り下げる場合を見てみましょう。
取り下げも口頭でできるのでしょうか?
審査請求を取り下げるには
(令和2年問9D)
審査請求人は、社会保険審査官の決定があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。審査請求の取下げは、文書のみならず口頭でもすることができる。
解説
解答:誤り
審査請求を取り下げる場合は文書でしなければならず、口頭はNGです。
で、代理人による審査請求の取り下げは、特別の委任を受けた場合に限りすることができます。
審査請求への入り口は緩いですが、取り下げのハードルは高いイメージですね。
で、健康保険法や厚生年金法、国民年金法などについて審査請求を行う場合、社会保険審査官に対して行いますが、
社会保険審査官はどんな人がなっているのでしょうか。
次の問題で確認しましょう。
社会保険審査官は誰がやる?
(平成29年問6A)
社会保険審査官は、人格が高潔であって、社会保障に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命することとされている。
解説
解答:誤り
「人格が高潔であって、社会保障に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者」というのは、社会保険審査会の委員長や委員を任命する際の規定で、
社会保険審査官の場合は、厚生労働省の職員のうちから、厚生労働大臣が命ずることになっています。
このように社労士試験では、論点をすり替えて出題されることが多いですので、きちんと整理することが必要ですね。
さて、次は審査請求をすることができる「期間」について見てみましょう。
下の過去問は文章が長いですが、キーワードは「数字」です。
審査請求の期限
(平成24年問9A)
審査請求は、健康保険等の被保険者若しくは加入員の資格、標準報酬若しくは保険給付、標準給与、年金たる給付若しくは一時金たる給付又は国民年金の保険料その他国民年金法の規定による徴収金若しくは年金給付遅延加算金支給法第6条第1項の規定による徴収金(給付遅延特別加算金に係るものに限る。)に関する処分があったことを知った日から起算して30日以内にしなければならない。ただし、正当な事由によりこの期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでない。
解説
解答:誤り
処分があったことを知った日の翌日から起算して30日以内ではなく、「3月」を経過したときは審査請求をすることができません。
また、原処分があった日の翌日から「2年」を経過したときは審査請求をすることができません。
ちなみに、原処分というのは、審査請求をしようと思ったきっかけになった処分のことですね。
では最後に、社会保険審査会の審理について、これが公開されるのか、それとも非公開なのかについて見ておきましょう。
社会保険審査会というのは、社会保険審査官の決定に不服があるときに再審査請求を受ける組織ですが、
健康保険法の保険料や、国民年金法の脱退一時金の場合は社会保険審査会に審査請求します。
で、この社会保険審査会で審理が行われるわけですが、公開について問われている過去問がありますので確認しますね。
社会保険審査会は非公開??
(平成29年問6D)
社会保険審査会の審理は、原則として非公開とされる。ただし、当事者の申立があったときは、公開することができる。
解説
解答:誤り
社会保険審査会の審理は、原則として「公開しなければなりません」が、当事者の申立があったときは公開しないことができます。
問題文は全て逆ですね。
社会保険審査会は、委員長と委員の5人で組織され、委員長や委員は、先ほどの問題にもありましたように、
「人格が高潔であって、社会保障に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者」
のうちから、両議院の同意を得て厚生労働大臣が任命しますが、任期は3年です。
今回のポイント
- 審査請求は、文書または口頭ですることができます。
- 審査請求を取り下げる場合は文書でしなければならず、口頭はNGです。
- 社会保険審査官の場合は、厚生労働省の職員のうちから、厚生労働大臣が命ずることになっています。
- 審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して「3月」を経過したときはすることができません。
- 社会保険審査会の審理は、原則として「公開しなければなりません」が、当事者の申立があったときは公開しないことができます。
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