「社労士試験 労基法 自然と身につく労働条件の取扱メソッド」過去問・労基-55

今回は、労働基準法から「労働条件の取扱」を論点にした過去問を集めてみました。

一口に労働条件といっても範囲が広いので、この記事は、労基法第2条の「労働条件の決定」、法3条「均等待遇」、法7条の「公民権行使の保障」について出題された社労士試験の過去問に絞りました。

これらの条文に書いてあることは、労基法の基本的な考え方なので、社労士試験にもよく出題されます

なので、何度も繰り返し勉強することでしっかりと理解できるようにしたいですね。

最初の問題は、労働条件の決定についての過去問です。

労働条件がどのように決定されるべきか、が論点になっていますので確認しましょう。

 

労働条件はどのようにして決定される?

(平成28年問1イ)

労働基準法第2条第1項により、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」ため、労働組合が組織されている事業場では、労働条件は必ず団体交渉によって決定しなければならない。

 

解説

解答:誤

労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」の部分はそのとおりですが、

労働組合があるからといって必ず団体交渉で労働条件を決定しなければならないわけではありません

こちらは、法2条が根拠になっているので見てみましょう。

(労働条件の決定)
法2条
1 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

2項に「労働協約」とありますが、使用者と労働組合で交わした労働協約をお互いに守ろうね、と定められているに過ぎないということですね。

ちなみに、法2条の規定は訓示規定なので、違反をしても罰則はありません

では、法3条の均等待遇についての過去問を確認したいと思います。

こちらの均等待遇については、社労士試験で色々と形を変えて出題されていますので、どういう規定になっているのかを見ていくことにしましょう。

 

労基法3条で禁止している事項とは?

(平成23年問1A)

労働基準法第3条は、法の下の平等を定めた日本国憲法第14条と同じ事由で、人種、信条、性別、社会的身分又は門地を理由とした労働条件の差別的取扱を禁止している。

 

解説

解答:誤

労基法第3条では、「国籍、信条または社会的身分」に限って差別的取扱を禁止しているので、日本国憲法第14条とは異なっています。

で、上記を理由として何について差別的取扱を禁じているのかというと、賃金や労働時間その他の労働条件を指しています。

つまり、法3条では、

使用者は、労働者の国籍信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

と定めているんですね。

もう少し法3条で問われている論点を掘り下げてみましょう。

次の過去問では、法3条の「国籍」の解釈についての問題になっています。

 

労基法3条で定めた「国籍」の取り扱い

(令和2年問4A)

労働基準法第3条に定める「国籍」を理由とする差別の禁止は、主として日本人労働者と日本国籍をもたない外国人労働者との取扱いに関するものであり、そこには無国籍者や二重国籍者も含まれる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

国籍というのは、国民である資格のことを指すのですが、労基法で問題になるのは、

日本国籍を持つ労働者(いわゆる日本人)と日本国籍のない労働者(外国人労働者)についての差別的取り扱いとなり、

もっというと、国籍が差別の理由になるということは、無国籍者や二重国籍者も含まれる、ということになります。

では、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由にして、賃金や労働時間などの労働条件について差別的取り扱いを禁じているということですが、

この「労働条件」というのは、どこまでの範囲を指すのでしょうか。

次の過去問を見てみましょう。

 

労働条件の範囲とは?

(平成30年問4イ)

労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。

 

解説

解答:誤

解雇についても、法3条でいうところの「労働条件」に該当します。

問題文にあるように、解雇の意思表示そのものは労働条件とは言えないのですが、

就業規則などで解雇の基準や理由が規定されているのであれば、労働条件になるということになります。

なので、法3条の労働条件は、賃金や労働時間をはじめ職場における労働者の待遇の一切を指します

さて、最後に法7条の「公民権行使の保障」についての取扱を確認したいと思います。

この規定は、たとえば労働時間中に選挙に行くことを労働者が請求したときは、使用者は拒むことができない(請求された時刻を変更することはできる)のですが、次の過去問の場合はどうなるのでしょうか。。。

 

 

公民権行使の趣旨

(平成23年問1C)

公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に付する旨の就業規則条項は、公民権行使の保障を定めた労働基準法第7条の趣旨に反し、無効のものと解すべきであるとするのが最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

こちらは、十和田観光電鉄事件という、最高裁判例からの出題なのですが、ある従業員の方が市議会議員選挙に立候補し、当選しました。

この方は、会社の許可を得ないで立候補して当選しましたので、会社側はこの方を懲戒解雇しました。

議員になった方は、懲戒解雇を不服として提訴したのですが、判決は次のようになりました。

市議会議員になったことにより、会社の業務ができなくなったことを理由として普通解雇にするのは仕方ないとしても

労基法7条で公民権行使を保障している趣旨から判断すると、懲戒解雇はやりすぎです、ということになり、

懲戒解雇を含む懲戒処分を行うことは許されない、ということになり、懲戒解雇は無効となったのです。

懲戒解雇ということになると、退職金も出ませんし、解雇された人の名誉にも関わりますから、普通解雇との差は大きいですよね。

 

今回のポイント

  • 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである、と規定されていますが、労働組合があるからといって、全てそこで決定するということではありません。
  • 労基法3条では、使用者は、労働者の国籍信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
  • 労基法3条にある、国籍を理由とする差別とは、日本国籍を持つ労働者(いわゆる日本人)と日本国籍のない労働者(外国人労働者)についての差別的取り扱いとなり、無国籍者や二重国籍者も含まれます。
  • 法3条の労働条件は、賃金や労働時間をはじめ職場における労働者の待遇の一切を指しており、解雇の意思表示も同様です。
  • 法7条の「公民権行使の保障」は、たとえば労働時間中に選挙に行くことを労働者が請求したときは、使用者は拒むことができない、という内容で、もし議員などの公職に当選し、その職務をすることになり、会社の業務ができなくなったときに、普通解雇はやむを得ないとしても懲戒解雇は無効になるという判決が出ています。

 

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