私たちの生活の身近な存在である医療機関や薬局ですが、ほとんどが健康保険が使える保険医療機関や保険薬局です。
これらは厚生労働大臣に指定の受けたものになり、指定を受けていなければ健康保険は使えず、かかった費用は全額自己負担ということになります。
社労士試験では、これら保険医療機関などがどのように指定を受けているのかについて出題されていますので見ていくことにしましょう。
最初の問題は、厚生労働大臣が保険医療機関などの指定を行うときの相談先が論点になっています。
厚生労働大臣は厚生労働省のトップですが、保険医療の専門家ではありませんので指定をする際には誰かに相談することになっているのです。。。
保険医療機関や保険薬局の指定をするときの諮問先は?
(平成29年問5E)
厚生労働大臣は、保険医療機関若しくは保険薬局の指定を行おうとするとき、若しくはその指定を取り消そうとするとき、又は保険医若しくは保険薬剤師の登録を取り消そうとするときは、政令で定めるところにより、地方社会保険医療協議会に諮問するものとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
「諮問」というのは、一定の機関などに意見を求めるという意味ですが、
厚生労働大臣は、保険医療機関や保険薬局の指定をするときや、指定の取り消しをするとき、
保険医や保険薬剤師の登録を取り消すときは、
地方社会保険医療協議会に諮問することになっています。
ちなみに、保険医や保険薬剤師の登録をするときは、地方社会保険医療協議会に諮問する必要がありません。
とはいっても、保険医療機関などが指定の申請をしてきたとしても、そもそも指定ができないときがあります。
厚生労働大臣が保険医療機関などの指定をしない要件とは
(令和元年問7ア)
厚生労働大臣は、保険医療機関又は保険薬局の指定の申請があった場合において、当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が、健康保険法その他国民の保健医療に関する法律で、政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるときは、その指定をしないことができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
保険医療機関や保険薬局の指定の申請があったときに、その開設者などが、健康保険法といった法律によって罰金の刑に処せられ、
その執行を終わり、または執行を受けることがなくなるまでの者であるときは、厚生労働大臣は指定をしないことができます。
また、こういった類のものでいうと、
「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなるまでの者であるとき」
も同様です。
他にも、
「保険医療機関または保険薬局の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないもの」
などがあります。
では、次の問題を読んでみましょう。
これをする目的は一体何なのでしょうか?
保険医療機関などの申請と社会保険料の納付状況
(令和2年問8B)
厚生労働大臣は、保険医療機関若しくは保険薬局又は指定訪問看護事業者の指定に関し必要があると認めるときは、当該指定に係る開設者若しくは管理者又は申請者の社会保険料の納付状況につき、当該社会保険料を徴収する者に対し、必要な書類の閲覧又は資料の提供を求めることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
厚生労働大臣は、社会保険料を徴収する者に対して、社会保険料の納付状況について資料の提供などを求めることができるのですが、
なぜこんなことをするのかというと、指定にかかる開設者や管理者などが、社会保険料について滞納処分を受けたにも関わらず、
正当な理由がないのに3ヶ月以上引き続き滞納している場合は、指定をしないことができるためです。
なので、厚生労働大臣は保険医療機関などの指定をするかどうか、納付状況を見るということですね。
さて、保険医療機関や保険薬局がその指定の申請をすることができるということは、逆に指定を辞退することもできることになっています。
次の問題で、保険医療機関などについて指定の辞退や、登録の抹消についての論点を確認しましょう。
保険医療機関などが指定を辞退するときのタイムリミット
(平成29年問7B)
保険医療機関又は保険薬局は、14日以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができ、保険医又は保険薬剤師は、14日以上の予告期間を設けて、その登録の抹消を求めることができる。
解説
解答:誤り
保険医療機関又は保険薬局が、指定の辞退や登録の抹消をするときは、14日以上ではなく、「1月以上」の予告期間を設ける必要があります。
では最後に、保険医療機関や保険薬局の指定の効力について見ておきましょう。
保険医療機関などの指定には期限があるのですが、いつまでなのでしょうか。
指定の期限はいつまで?
(平成29年問3E)
保険医療機関又は保険薬局の指定は、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により、厚生労働大臣が行い、指定の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失う。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
保険医療機関や保険薬局の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときはその効力を失います。
なので、効力がなくなるまでに指定の申請をする必要があるのですが、すべての保険医療機関や保険薬局が申請してたら、
申請する方も申請を受ける方も大変なので、個人開業の保険医療機関や保険薬局については、
効力がなくなる6ヶ月前から3ヶ月前までに別段の申出がない場合は、指定の申請があったとみなされます。
ただし、個人開業の保険医療機関といっても、病院や病床を有する診療所は対象外です。
ちなみに、保険医や保険薬剤師の登録については有効期間の規定はありません。
今回のポイント
- 厚生労働大臣は、保険医療機関や保険薬局の指定をするときや、指定の取り消しをするとき、保険医や保険薬剤師の登録を取り消すときは、地方社会保険医療協議会に諮問することになっています。
- 保険医療機関や保険薬局の指定の申請があったときに、その開設者などが、健康保険法といった法律によって罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなるまでの者であるときは、厚生労働大臣は指定をしないことができます。
- 厚生労働大臣は、社会保険料を徴収する者に対して、社会保険料の納付状況について資料の提供などを求めることができます。なぜなら、指定にかかる開設者や管理者などが、社会保険料について滞納処分を受けたにも関わらず、正当な理由がないのに3ヶ月以上引き続き滞納している場合は、指定をしないことができるためです。
- 保険医療機関又は保険薬局が、指定の辞退や登録の抹消をするときは、14日以上ではなく、「1月以上」の予告期間を設ける必要があります。
- 保険医療機関や保険薬局の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときはその効力を失います。
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