過去問

「社労士試験 労災保険法 雑則で問われていることは」過去問・労災-61

今回は労災保険法の「雑則」について取り上げたいと思います。

ここでは、所轄都道府県労働局長や所轄労働基準監督署長が、

保険給付を受ける者や事業主、医師に対して行う命令について、また罰則について一部取り上げていますので

ご参考になれば嬉しいです。

では最初の問題に入っていきましょう。

この過去問では、「派遣」の事業主について行政側が必要な命令をすることができるのかが論点になっていますので見ていきますね。

 

派遣先の事業主に対して必要な報告を命ずることはできる?

(平成26年問5E)

所轄都道府県労働局長又は所轄労働基準監督署長は、派遣先事業主に対して、労災保険法の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働局長や労基署長は、派遣の事業主に対して文書の提出や出頭を求めることができます。

派遣先に文書の提出や出頭を求めるということは、派遣先で業務災害があったケースが思い浮かびますね。

派遣労働者は、派遣元に雇われていますが、派遣先から指揮命令を受けて仕事をしているわけで、

その派遣先で業務災害が起こったとしたら、やはり派遣先からも文書の提出や出頭はしてもらう必要が出てきそうですね。

では次は、保険給付を受ける人に対して医師の受診命令について問われた過去問があります。

ひょっとすると「ん?」と思うことがあるかもしれませんが読んでみましょう。

 

保険給付を受ける人に対して受診を命令できる?

(平成23年問7C)改正

行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

保険給付に関して必要があると認めるとき、行政庁は、保険給付を受ける者に対して指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができますが、

この保険給付には、遺族補償年金などを含みます。

障害(補償)年金なら受診命令があるのもわかりますが、

遺族補償年金などで考えられるのは、一定の障害のある遺族がいる場合に受給資格者になるかどうか判断する場合ですね。

指定する医師というのは、行政庁が指定する医師ということでしょうから、公正に判断するためのものなのでしょうね。

この、医師に関する命令なのですが、先ほどは保険給付を受ける者に対して医師の診断を受けなさい、というものでした。

下の問題では、医師そのものへの命令が論点になっています。

どういうことなのでしょう。

 

医師に対して報告を命ずることは、、、?

(平成30年問3E)

行政庁は、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)の診療を担当した医師その他の者に対して、その行った診療に関する事項について、報告を命ずることはできない。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、保険給付を受ける者の診療を担当した医師などに報告を命ずることができます。

つまり、行政庁は保険給付を受ける者に対して、指定する医師の診断を受けることを命令することができますし、

もし、すでに医師の診断を受けたのであれば、診療担当の医師に報告や診療録などの書類の提示を命ずることもできるわけです。

これは、先ほどと同じように、遺族補償年金などの保険給付のケースも含みます。

さて、次は行政側に規定されたルールについて見ておきましょう。

行政庁の職員が事業場に立ち入って検査する場合に、どのようなことが定められているのでしょうか。

 

行政庁の職員が事業場に立ち入るときの決まりは?

(平成30年問3D)

行政庁は、労災保険法の施行に必要な限度において、当該職員に、適用事業の事業場に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができ、立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

適用事業の事業場で立入検査をする職員は、身分を示す証明書を携帯したうえ、提示する必要があります。

それはそうですよね。

自分の身分の証明をせずに事業場に立ち入るなんてことがまかり通ったら大変です。笑

で、行政庁の職員が立入検査をしていると、事業主に質問をすることが出てきたりします。

もし、質問されたことに対してウソを言ってしまった場合、罰則がどうなっているのか最後に確認しておきましょう。

 

もし虚偽の陳述をしたら、、、

(令和2年問4エ)

行政庁が労災保険法の施行に必要な限度において、当該職員に身分を示す証明書を提示しつつ事業場に立ち入り質問をさせたにもかかわらず、事業主が当該職員の質問に対し虚偽の陳述をした場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

行政庁の職員が質問したことに対し、事業主が虚偽の陳述をしたり、検査を拒否したり避けたり(忌避)した場合、

6月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。

 

今回のポイント

  • 所轄都道府県労働局長や所轄労働基準監督署長は、派遣事業主に対して労災保険法の施行に関し必要な報告、文書の提出または出頭を命ずることができます。
  • 保険給付に関して必要があると認めるとき、行政庁は、保険給付を受ける者に対して指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができます。
  • 保険給付を受ける者の診療を担当した医師その他の者に対して、その行った診療に関する事項について報告を命ずることができます。
  • 適用事業の事業場で立入検査をする職員は、身分を示す証明書を携帯したうえ、提示する必要があります。
  • 行政庁の職員が質問したことに対し、事業主が虚偽の陳述をしたり、検査を拒否したり避けたり(忌避)した場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。

 

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