このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、雇用保険法における「賃金」の定義について見てみたいと思います。
それぞれの法律で賃金や報酬についての定義がありますので、共通点や違う点などについて横断的に確認できる時間を作っても良いかもしれませんね。
ここでは、住宅の供与や、健康保険法の傷病手当金に対する付加給付などがテーマになっていますので確認していきましょう。
住宅の供与は賃金になる?
(平成26年問3オ)
事業主が労働の対償として労働者に住居を供与する場合、その住居の利益は賃金日額の算定対象に含まない。
解説
解答:誤り
原則として、「賃金」は、労働の対償として事業主が労働者に支払うものです。
食事や被服、住居の利益のような通貨以外のもので支払われるものも労働の対償となるものは賃金となります。
したがって、問題文には「労働の対償として労働者に住居を供与する」とあるので賃金日額の算定対象に含まれます。
では、次に健康保険法の傷病手当金と賃金の関係について見てみましょう。
下の問題では、傷病手当金に付加して事業主が支給するお金がテーマになっていますので確認しましょう。
傷病手当金に付加して支給される場合の取り扱い
(平成30年問3A)
健康保険法第99条の規定に基づく傷病手当金が支給された場合において、その傷病手当金に付加して事業主から支給される給付額は、賃金と認められる。
解説
解答:誤り
問題文の場合、賃金とは認められません。
まず、健康保険法に基づく傷病手当金は、賃金とはなりません。
また、傷病手当金に付加して事業主から支給されるお金は、労働の対償というより恩恵的な給付になるので、こちらも賃金とはなりません。
こちらは業務取扱要領にある論点ですので、リンクを貼っておきますね。(99ページに記載があります)
参考記事:業務取扱要領
それでは最後に、退職にまつわるお金について見てみましょう。
1ヶ月分のお給料が支給されたにも関わらず、その月の途中で退職した場合に、退職日後のお給料に相当する分のお金は雇用保険上の賃金となるのでしょうか。
退職日以後の分にあたるお金は賃金になる?
(平成30年問3C)
月給者が1月分の給与を全額支払われて当該月の中途で退職する場合、退職日の翌日以後の分に相当する金額は賃金日額の算定の基礎に算入される。
解説
解答:誤り
問題文の場合、賃金とはなりません。
退職日の翌日以後の給与に相当する分のお金は、労働していない部分のお金になるので、労働の対償とはいえず、賃金日額の算定には入りません。
こちらも上記の取扱要領の100ページに記載があります。
今回のポイント
- 「賃金」は、労働の対償として事業主が労働者に支払うものですので、食事や被服、住居の利益のような通貨以外のものでも労働の対償となるものは賃金となります。
- 健康保険法に基づく傷病手当金は、賃金とはならず、傷病手当金に付加して事業主から支給されるお金も、労働の対償というより恩恵的な給付になるので、こちらも賃金とはなりません。
- 退職日の翌日以後の給与に相当する分のお金は、労働していない部分のお金になるので、労働の対償とはいえず、賃金日額の算定には入りません。
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