面接指導と一口に言っても、長時間労働をしている一般の労働者や、新技術や新商品などの研究開発業務をしている労働者、
いわゆる高度プロフェッショナル制度によって働いている労働者によって、面接指導についての要件が少しずつ異なっています。
今回の記事をきっかけにお手持ちのテキストなどであらためてチェックされると良いと思います。
では最初の問題に入っていきましょう。
1問目は、長時間労働をしている一般の労働者に対する面接指導の要件が論点になっています。
どのように定められているのか見ていくことにしましょう。
面接指導の実施要件とは
(平成25年問8A)
事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者であって、法定の除外事由に該当しないものに対し、労働安全衛生規則で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
一般の労働者の面接指導の対象になるのは、
- 休憩時間を除いて1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における、その超えた時間が1月当たり80時間を超え かつ
- 疲労の蓄積が認められる労働者
となります。
ちなみに、この「80時間」という数字は、休日労働の時間も含まれます。
で、80時間を超えた労働者に対して事業者は、その超えた時間に関する情報を通知する必要があります。
そこで、労働者が申出を行うことで面接指導をすることになり、事業者が行う面接指導を受けなければならないわけですが、
事業者が指定した医師の面接指導を受けたくない場合はどうするのでしょうか。
下の問題で確認しましょう。
もし労働者が事業者の指定した医師の面接指導を希望しなかったら?
(平成25年問8C)
面接指導の対象となる労働者が、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う法定の面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出した場合においても、事業者が行う面接指導を必ず受けなければならない。
解説
解答:誤り
問題文の場合、必ずしも事業者が行う面接指導を受ける必要はありません。
事業者が指定する面接指導を希望しない場合、他の医師による面接指導を受けて、
その結果を証明する書面を事業者に提出することも可能です。
それでは、少し視点を変えて、派遣労働者の場合の面接指導について見てみましょう。
派遣労働者が雇用契約を結んでいるのは派遣元ですが、指揮命令を受けて実際に働いているのは派遣先です。
ということは、残業も派遣先で行っていることになりますが、面接指導を行うのは派遣先と派遣元のどちらなのでしょうか。
派遣労働者に対する面接指導を実施する義務があるのは?
(平成27年問9E)
派遣就業のために派遣され就業している労働者に対して労働安全衛生法第66条の8第1項に基づき行う医師による面接指導については、当該労働者が派遣され就業している派遣先事業場の事業者にその実施義務が課せられている。
解説
解答:誤り
派遣労働者に対して面接指導の実施義務があるのは、派遣先ではなく派遣元です。
労基法の36協定は派遣元がしますので、そもそも時間外労働をさせているのは派遣元ということになります。
ただ、労働時間の管理については直接できないのが問題ですが、
労働者派遣法で始業時間や就業時間、休憩時間については派遣先が派遣元に通知することになっていますので、
それを基に面接指導を行うことになりますね。
さて、面接指導を行うのは通常の労働者ばかりではありません。
新たな技術、商品または役務の研究開発にかかる業務を行なっている人、高度プロフェッショナル制度によって働いている人も対象になっています。
ただ、通常の労働者とは要件が違うところがあります。
次の問題では研究開発業務についての面接指導が論点になっていますので見てみましょう。
研究開発業務に従事している場合の面接指導
(令和2年問8B)
事業者は、研究開発に係る業務に従事する労働者については、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超えた場合は、労働者からの申出の有無にかかわらず面接指導を行わなければならない。
解説
解答:誤り
研究開発業務の場合の面接指導は、
休憩時間を除いて1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における、その超えた時間が1月当たり80時間ではなく、「100時間」となります。
一般の労働者の面接指導との引っかけですね。
また、一般の労働者の場合は、労働者の申出によって面接指導が行われますが、研究開発業務の面接指導は、労働者の申出の有無に関わらずしなければならないところも違います。
これは高度プロフェッショナル制度の面接指導も同じですが、研究開発業務の面接指導と違うところは、
高度プロフェッショナル制度の面接指導の場合、法定労働時間(週40時間)を超えた労働時間で見るのではなく、
「健康管理時間」が40時間を超えた時間が1月当たり100時間という考え方になりますので、お手持ちのテキストで確認なさってみてくださいね。
では最後に、実施した面接指導の記録の保存期間について見ておきましょう。
面接指導の結果の記録保存は何年?
(平成25年問8B)
事業者は、面接指導の結果に基づき、法定の事項を記載した当該面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
事業者は、面接指導の結果について記録を作成して5年間保存する必要があります。
この「5年」という数字は、健康診断と同じですので一緒に押さえておきましょう。
今回のポイント
- 一般の労働者の面接指導の対象になるのは、
- 休憩時間を除いて1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における、その超えた時間が1月当たり80時間を超え かつ
- 疲労の蓄積が認められる労働者
となります。
- 事業者が指定する面接指導を希望しない場合、他の医師による面接指導を受けて、その結果を証明する書面を事業者に提出することも可能です。
- 派遣労働者に対して面接指導の実施義務があるのは、派遣元です。
- 研究開発業務の場合の面接指導は、休憩時間を除いて1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における、その超えた時間が1月当たり「100時間」を超えたときに行います。
- 事業者は、面接指導の結果について記録を作成して5年間保存する必要があります。
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