「社労士試験 労基法 賃金の支払に関する原則について覚えていますか?」過去問・労基-60

労働基準法の第24条には、「賃金の支払」について規定されているのですが、いわゆる「賃金支払5原則」と呼ばれるものになります。

賃金支払5原則というのは、

  1. 通貨払の原則
  2. 直接払の原則
  3. 全額払の原則
  4. 毎月1回以上払の原則
  5. 一定期日払の原則

になるわけですが、社労士試験では実によく出題されていますので、重要事項と言ってもいいでしょう。

それだけ賃金に関することは社労士にとって切っても切り離せない関係ということなんでしょうね。

今回はこの賃金に関して、「賃金の支払」(24条)と「非常時払」(25条)について取り扱った過去問を集めましたので見ていくことにしましょう。

1問目は、賃金の額についての端数処理についての問題です。

これは賃金支払5原則の中の、「全額払」の原則の例外にあたるものですのでどのようなことが問われているのでしょうか。

 

賃金の額についての端数処理

(平成24年問1A)

1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に生じた千円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、労働基準法第24条違反としては取り扱わないこととされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

1ヶ月賃金支払額1000円未満の端数が出た場合は、その端数の額については翌月に繰越しても24条の全額払の原則に違反しません。

切り捨てるわけではなく、「繰り越す」というところが注意点ですね

また、この処理ができるのは、「1ヶ月」の賃金支払額ということで、日払いや週払いには適用されないということになりますね。

次は、残業代などの割増賃金端数処理について見ていきましょう。

問題文では、お金ではなく、時間外労働の「時間数」が論点になっています。

 

割増賃金の計算時における端数処理方法

(平成28年問3C)

1か月における時間外労働の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる事務処理方法は、労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

こちらも、賃金支払5原則のうち、「全額払」の原則の例外となります。

時間外労働に関する端数処理については、要件が3つあるのですが、「時間」に関する端数処理は1つだけです。

時間に関する端数処理では、「1ヶ月」における時間外労働の合計時間で1時間未満の端数がある時は、

30分未満切り捨て、30分以上を1時間に繰り上げすることが認められています。

この「1ヶ月」というスパンに注意しておきましょう。

過去に、「1ヶ月」を「1日」とすり替えて出題されたことがありますので、読み飛ばしに要注意です。

では、割増賃金を計算するときの端数処理についてまとめておきましょう。

  1.  1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数合計1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
  2. 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
  3. 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額1円未満の端数が生じた場合、「2」と同様に処理すること

については、24条(賃金の支払)や37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)について違反にはなりません。

では、次に「毎月1回以上払」・「一定期日払」の原則について取り上げた過去問を見てみましょう。

問題文では、年俸制の場合の賃金の支払の仕方について問われています。

 

年俸制の場合の賃金支払方法

(平成30年問6C)

労働基準法では、年俸制をとる労働者についても、賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないが、各月の支払いを一定額とする(各月で等分して支払う)ことは求められていない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

年俸制であっても、毎月1回以上一定の期日に賃金を支払うことになりますので、1年の終わりにまとめて支払うことは認められません。

ただ、各月について一定の額にしなければならないというところまでは求められていません。

たとえば、年俸が1400万円だったとして、それを14等分し、100万円ずつに分けます。

毎月の支払は100万円として、6月と12月に賞与がわりで100万円上乗せして支払うこともできるわけですね。

年俸制の場合、この賞与がわりの賃金は、通常の賞与と違って、臨時の賃金にはあたらず通常の賃金になりますので、

割増賃金の計算にも参入されることになります。

さて、「通貨払」の原則を取り扱った問題にうつりましょう。

「通貨」というのは、「現金」と読み替えるとイメージしやすいですが、

賃金を現金で渡すのが原則ということなので、労基法上、お給料は現金で手渡しで支給するのが基本になっています。

ただ、労働者の同意を得れば銀行振込による支給も認められています。

この令和の時代においては、お給料の支払いは銀行振込になっているところの方が多いですが、

昭和22年に作られた労働基準法では、手渡しが原則になっているんですね。

また、通貨払の原則で気をつけなければならないのは、

ある手続きを取れば通貨以外の方法でも賃金の支給ができるのですが、

それはどのような方法になるでしょうか?

 

通貨以外で賃金を支払う方法

(平成25年問7ウ)改正

いわゆる通貨払の原則は強行的な規制であるため、労働協約に別段の定めがある場合にも、賃金を通貨以外のもので支払うことは許されない。

 

解説

解答:誤り

労働協約」または「確実な支払方法」がある場合は、通貨払の例外として賃金を通過以外で支払うことができます

たとえば、「労働協約」で通勤用の定期券を現物で支給する場合がそれにあたります。

先ほど述べた、賃金の銀行振込については「確実な支払方法」が該当します。

注意するべきは、この通貨払の原則の例外は、「労働協約」であって、労使協定ではないということですね。

労使協定がからんでくるのは、「全額払」の原則で、労使協定があれば賃金から社宅や労働組合などの費用を天引きすることができます。

混同しないようにしたいところですね。

では最後に、「非常時払」について触れておきましょう。

これは賃金支払5原則を扱った法24条ではなく、法25条でのお話になります。

この非常時払の規定があることで、「一定期日払」の原則から外れてもいいことになっていますので見てみましょう。

 

非常時払いのルール

(平成26年問4A)

労働基準法第24条第2項に従って賃金の支払期日が定められている場合、労働者が疾病等非常の場合の費用に充てるため、既に提供した労働に対する賃金を請求する場合であっても、使用者は、支払期日前には、当該賃金を支払う義務を負わない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、給料日前であっても使用者は賃金を支払う義務があります。

非常時払とは、労働者が「出産」、「疾病」、「災害」などの非常時が発生したときの費用に使うために請求した場合、

賃金支払日前のタイミングであっても、すでに働いた分の賃金を使用者は支払う必要があります。

この非常時は、労働者本人だけでなく、労働者の収入によって生計を維持する者も対象になっています。

たとえば、労働者の奥さんが出産した時も該当するわけですね。

 

今回のポイント

  • 1ヶ月賃金支払額1000円未満の端数が出た場合は、その端数の額については翌月に繰越しても24条の全額払の原則に違反しません。
  • 割増賃金を計算するときの端数処理についてまとめておきましょう。
    1.  1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数合計1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
    2. 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
    3. 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額1円未満の端数が生じた場合、「2」と同様に処理すること

    については、24条(賃金の支払)や37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)について違反にはなりません。

  • 年俸制であっても、毎月1回以上一定の期日に賃金を支払うことになりますので、1年の終わりにまとめて支払うことは認められませんが、各月について一定の額にしなければならないというところまでは求められていません。
  • 労働協約」または「確実な支払方法」がある場合は、通貨払の例外として賃金を通過以外で支払うことができます
  • 非常時払とは、労働者が「出産」、「疾病」、「災害」などの非常時が発生したときの費用に使うために請求した場合、賃金支払日前のタイミングであっても、すでに働いた分の賃金を使用者は支払う必要があります。

 

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