今回の労働一般は、令和2年度の統計調査を取り扱った問題を見ていきたいと思います。
統計調査の名前は、「平成30年若年者雇用実態調査」で、どういった調査かというと、
『事業所における若年労働者の雇用状況、若年労働者の就業に関する意識など若年者の雇用実態について、
事業所側、労働者側の双方から把握することにより、
若年者の雇用に関する諸問題に的確に対応した施策の立案等に資することを目的とする。』
となっていますので、頭の片隅におきながら問題文を読んでいただければと思います。
社労士試験の本試験では調査の目的まで書いてくれているわけではありませんが、
調査名を読んだ時に、どうしてこのような調査を行うんだろう、というイメージをしてみるのも良いかもしれませんね。
それでは問題に入っていきましょう。
令和2年問1 問題文
我が国の若年労働者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、本問は、「平成30年若年者雇用実態調査(厚生労働省)」を参照して おり、当該調査による用語及び統計等を利用している。この調査では、15歳から34歳を若年労働者としている。
選択肢Aでは、事業所側から見たもので、若年正社員を採用するうえで何をポイントにしたのかが問われていますので見ていきますね。
採用選考で重視したこととは?
(選択肢A)
若年正社員の採用選考をした事業所のうち、採用選考に当たり重視した点(複数回答)についてみると、「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」、「コミュニケーション能力」、「マナー・社会常識」が上位3つを占めている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
採用選考にあたって重視したポイントは、
- 職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神
- コミュニケーション能力
- マナー・社会常識
となっています。
これは、新卒と中途採用のどちらも同じ結果になっています。
若年正社員に求めるのは、まずは仕事に対する「やる気」ということになるんですね。
で、仕事は1人ではできませんから「コミュニケーション能力」もないと困るね、ということなのでしょう。
次の問題は、若年労働者を採用したあと、どのように育てていくのかがテーマになっています。
正社員とそれ以外の労働者について考え方が違うようですので、自分ならどうするか意識しながら読んでみましょう。
若年労働者をどのように育成する?
選択肢B
若年労働者の育成方針についてみると、若年正社員については、「長期的な教育訓練等で人材を育成」する事業所割合が最も高く、正社員以外の若年労働者については、「短期的に研修等で人材を育成」する事業所割合が最も高くなっている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
若年労働者の育成方針として、
- 若年正社員 → 長期的な教育訓練
- 正社員以外 → 短期的に研修
がそれぞれ一番になっています。
正社員に対しては、ゆくゆくは会社の中心メンバーになって欲しい、
という思いからコツコツ育てていこうという意識が見えますね。
一方、正社員以外の若年労働者については、正社員の補助という位置付けになっているのか、
研修はそこそこに即戦力として働いて欲しいというのがあるのかもしれませんね。
ちなみに、具体的な育成方法については、どちらも「OJT」がダントツになっています。
そんな中、こちらの調査によると、過去1年間に自己都合で退職した若年労働者がいる事業所の割合が約50%います。
そのうち、約30%が正社員となっています。
一度会社に入ってもらったからには、すぐに辞められては会社にとっても大切な。
では若年労働者が会社を辞めないようにするために、どのような取り組みをしているのかを見てみましょう。
若年労働者が会社に定着するための対策とは
選択肢C
若年労働者の定着のために事業所が実施している対策別事業所割合(複数回答)をみると、「職場での意思疎通の向上」、「本人の能力・適性にあった配置」、「採用前の詳細な説明・情報提供」が上位3つを占めている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
若年労働者の定着のための対策として、
- 職場での意思疎通の向上
- 本人の能力・適性にあった配置
- 採用前の詳細な説明・情報提供
これも、正社員とそれ以外の労働者ともに同じ結果になっています。
「意思疎通」は、一番手軽で確実な対策でしょうからトップに来るのも納得できますね。
「配置」についても、そこそこの規模の企業であれば対応ができそうです。
個人的に注目したのは、「採用前の説明・情報提供」ですね。
「こんなはずじゃなかった」と言われて会社を去られるのは、いかにももったいない感じがしますね。
なので、早い段階で丁寧な対応をしておくことが大切になってくるのかもしれません。
ここで、すべての労働者の中で若年労働者がどのくらいの割合を占めているのかを確認しましょう。
若年労働者に占める正社員の割合は?
選択肢D
全労働者に占める若年労働者の割合は約3割となっており、若年労働者の約半分がいわゆる正社員である。
解説
解答:誤り
全労働者に占める若年労働者の割合は約3割というのは正解ですが、
若年労働者のうち、どれくらい正社員がいるのかというと、約半分ではなく、「約6割」です。
この6割というのは、私の感覚からすると少ないと感じました。
若年労働者が正社員になる一番大きなイベントが「新卒採用」と思っていますので、
割合としてはもう少し高いのかな、と思ってました。
となると、考えられるのが、学校を卒業して正社員以外で就職をしたケースと、正社員として入社したけど退職して、派遣社員やアルバイトとして転職したケースですかね。
このように、出てきた数字について自分なりの感想を持っておくと、記憶の片隅に残ってくれるのでアウトプットしやすいですからお試しいただけばと思います。
ということで、最後の問題では、最初に就職した会社を辞めずにいる若年労働者がどれくらいいるのかが論点になっていますので読んでみましょう。
最初に就職した会社を辞めずに働いている人の割合
選択肢E
最終学校卒業後に初めて勤務した会社で現在も働いている若年労働者の割合は約半数となっている。
解説
解答:正
問題文のとおりで、学校を卒業して初めて入社した会社で働き続けている人は「約半数」です。
別の言い方をすると、半分の人が辞めているということになるんですね。
ちなみに、初めて勤務した会社をやめた理由としては、
- 「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が 30.3%
- 「人間関係がよくなかった」が 26.9%
- 「賃金の条件がよくなかった」が 23.4%
- 「仕事が自分に合わない」が 20.1%
となっているそうです。
先ほどの問題で、若年労働者を定着させるのに、「採用前の説明」の取り組みがありましたが、
「労働時間・休日・休暇の条件」を話しておくと良いのかもしれませんね。苦笑
今回のポイント
- 統計調査では、調査名を読んだ時に、どうしてこのような調査を行うんだろう、というイメージをしてみるのも良いです。
- 出てきた数字について自分なりの感想を持っておくと、記憶の片隅に残ってくれるのでアウトプットしやすいですからオススメです。
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今日1日の勉強で「あ、楽しいかも」と思える瞬間がありましたらメモをしておきましょう。
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