過去問

「社労士試験 徴収法 概算保険料の延納の克服方法とは」過去問・徴-55

社労士試験の受験勉強をしていて、徴収法の「延納」は苦手イメージが正直ありました。

継続事業と有期事業の違いを押さえることもそうですが、計算問題が出たらどうしようという不安があったのも要因の一つですね。

はい、私は数字が苦手です。苦笑

なので、受験勉強をしているときは、数字に少しでもお近づきになろうと、買い物をしたときに暗算でお釣りを計算するとか、

割り勘の計算などを計算機を使わずにやってみるなど、計算を生活の中に取り入れようとしていましたね。

苦手だと思う相手には、できるだけコンタクトを取るというのも克服の方法の一つですね。

それでは、最初の問題に入っていきましょう。

この問題は、概算保険料の延納要件について問われています。

どのような状態であれば延納ができるのか、確認していきましょう。

 

概算保険料を延納するための要件

(平成29年労災問10オ)

労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている事業についての事業主は、納付すべき概算保険料の額が20万円(労災保険に係る保険関係又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、10万円)以上(当該保険年度において10月1日以降に保険関係が成立したものを除く。)となる場合であれば、労働保険徴収法に定める申請をすることにより、その概算保険料を延納することができる。

 

解説

解答:誤り

労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている場合、概算保険料の額に関係なく概算保険料を延納することができます

これは、継続事業や有期事業の区別はありません。

ただ、概算保険料の額や保険関係が成立する時期については、継続事業と有期事業で違いがありますから整理しておきましょう。

「継続事業」

  • 納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については20万円)以上(もしくは労働保険事務組合に委託)
  • 保険年度において9月30日までに保険関係が成立したもの

 

「有期事業」

  • 概算保険料の額が75万円以上(もしくは労働保険事務組合に委託)
  • 事業の全期間が6か月を超えている

それでは、上記を踏まえたうえで下の問題を読んでみましょう。

延納のタイムリミットについての視点を少し変えてあるだけで、言っていることは同じです。

 

延納のタイムリミットとは

(令和元年労災問8E)

政府は、厚生労働省令で定めるところにより、事業主の申請に基づき、その者が労働保険徴収法第15条の規定により納付すべき概算保険料を延納させることができるが、有期事業以外の事業にあっては、当該保険年度において9月1日以降に保険関係が成立した事業はその対象から除かれる。

 

解説

解答:誤り

当該保険年度において9月1日以降ではなく、「10月1日」以降に保険関係が成立した継続事業は延納をすることができません。

このように、一つの論点から別の切り口で出題されるのが社労士試験なわけですが、単に要件を知っているだけではなく、

要件を使いこなせるようになれれば合格にグッと近づくことができます。

それにはやはり反復して触れることが大切ですね。

繰り返し勉強することで「知識」が醸成されて「知恵」に変化するのでコツコツ勉強していきましょう。

では、先ほどと同じ論点を使って、もう一つの論点を加えた過去問を見てみましょう。

問題文を読んだときに2つの論点を思い出すことができるかがポイントになります。

 

延納のタイムリミット その2

(平成29年労災問10ウ)

継続事業(一括有期事業を含む。)の概算保険料については、平成29年10月1日に保険関係が成立したときは、その延納はできないので、平成29年11月20日までに当該概算保険料を納付しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

この問題文には、2つの論点が入っています。

1つ目は「延納のタイムリミット」で、

2つ目は「保険関係が成立したときの概算保険料の納付期限」ですね。

整理しますと、

  1. 「延納のタイムリミット」→9月30日まで(10月1日以降は延納できない)
  2. 「保険関係が成立したときの概算保険料の納付期限」 → 年度の途中で継続事業の保険関係が成立 → 保険関係が成立した日から50日以内

ということになります。

では、延納ができる回数とそれぞれの納付期限について見ていくことにしましょう。

次の問題のポイントは、「いつ保険関係が成立したのか」です。

 

延納ができる回数と納付期限

(令和2年雇用問8A)

概算保険料について延納できる要件を満たす継続事業の事業主が、7月1日に保険関係が成立した事業について保険料の延納を希望する場合、2回に分けて納付することができ、最初の期分の納付期限は8月20日となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

延納の回数としては最大で3回となっており、4ヶ月ごとに区切られています。

  • 第1期 → 4月〜7月
  • 第2期 → 8月〜11月
  • 第3期 →12月〜翌3月

たとえば、第1期は「4月〜7月」になるわけですが、4〜5月の間に保険関係が成立した場合は、第1期は独立した期として取り扱われますが、

6〜7月に保険関係が成立した場合は、次の期と合体します。

で、一番最初に支払う概算保険料は、保険関係が成立してから50日以内に支払うことになります。

問題文の場合ですと、7月1日に保険関係が成立しているので、

8月20日までに第1期と第2期が合体した11月末までの概算保険料を支払うことになります。

延納の2回目の支払いは、12〜翌3月末までの分を翌1月31日までに支払います。

では最後に、有期事業で延納した場合の概算保険料の納付期限について見ておきましょう。

延納の場合、継続事業と有期事業で概算保険料の納付期限はほとんど同じですが、第1期(4〜7月)は要注意です。

 

有期事業で延納した時の納付期限

(平成27年雇用問9E)

概算保険料について延納が認められている有期事業(一括有期事業を除く。)の事業主の4月1日から7月31日までの期分の概算保険料の納期限は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合であっても、3月31日とされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

有期事業の場合(一括有期事業は除きます)、4〜7月末までの概算保険料の納期限は「3月31日」となっています。

継続事業の場合は7月10日まででしたね。

継続事業は6月1日から40日以内に確定保険料の精算もするから、ということですね。

 

今回のポイント

  • 労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている場合、概算保険料の額に関係なく概算保険料を延納することができます。(継続事業でも有期事業でもそうです)
  • 継続事業の場合、当該保険年度において「10月1日」以降に保険関係が成立したものは延納をすることができません。
  • 延納の回数としては最大で3回となっており、4ヶ月ごとに区切られています。
    • 第1期 → 4月〜7月
    • 第2期 → 8月〜11月
    • 第3期 →12月〜翌3月
  • 有期事業の場合(一括有期事業は除きます)、4〜7月末までの概算保険料の納期限は「3月31日」となっています。

 

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