健康保険法で全国健康保険協会について社労士試験ではちょくちょく出題されていますが、
保険の話ではなく、組織についての知識が問われていますので、「社労士に関係あるのかな?」と思いながら受験勉強していました。
組織の名前とか、決算をいつまでにやらなきゃいけないだとかちょっと異質な感じもしますが、気分転換のつもりで取り組むといいかもしれませんね。苦笑
それでは最初の問題を見てみましょう。
都道府県ごとの状況に合わせた運営をするために意見を聴く組織はどこになるのでしょうか。
全国健康保険協会が意見を聴く、支部ごとに設けられている組織とは
(平成26年問1D)
全国健康保険協会は、都道府県ごとの実情に応じた業務の適正な運営に資するため、支部ごとに運営委員会を設け、当該支部における業務の実施について運営委員会の意見を聴くものとする。
解説
解答:誤
全国健康保険協会が都道府県ごとの実情に応じた運営をするために意見を聴くのは、運営委員会ではなく「評議会」です。
運営委員会は、全国健康保険協会に一つしかなく、委員も9人ですが、評議会は支部ごとに置かれているので、都道府県ごとの実情を知るにはうってつけですね。
なので、全国保険協会は支部における業務の実施について評議会の意見を聴くことになっているのですね。
次は、全国健康保険協会の本体について見てみましょう。
全国健康保険協会には理事長や理事、監事といった役員がいるわけですが、こういった方々は一般の企業の偉い方が就任されている場合もあります。
となると、全国健康保険協会の運営をしていくと、業界の利益にも関わってくる内容の決定もしなければならないこともありそうです。
もし、理事長と理事の間で利益が異なる場合はどのように協会を運営していくのでしょうか。。。
もし、理事長と理事の間で利益が食い違うときは、、、
(令和元年問1A)
全国健康保険協会(以下本問において「協会」という。)と協会の理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は代表権を有しない。この場合には、協会の監事が協会を代表することとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
全国健康保険協会と理事長または理事との利益が異なってくる事項の場合は、監事が協会を代表することになっています。
できるだけ公正な運営をしようという姿勢のあらわれですね。
ちなみに、いまどんな方々が全国健康保険協会の役員をなさっているのか、下にリンクを貼っておきますので、ご興味のある方はご覧になってくださいね。
参考記事:全国健康保険協会 役員名簿
さて、全国健康保険協会は、健康保険という「事業」をしているわけで、お金の出入りの額も相当なものになります。
協会のお金のことに関して、社労士試験では、協会は毎事業年度の決算を翌事業年度の5月31日までに完結し、
決算完結後2ヶ月以内に厚生労働大臣に提出する、といったことも出題されていたりします。
では、事業年度ごとの業績の評価や公表をする役割はだれがしているのか次の問題で見てみましょう。
全国健康保険協会の業績について評価をして公表するのはだれ?
(平成23年問7E)
全国健康保険協会の理事長は全国健康保険協会の業績について事業年度ごとに評価を行い、当該評価の結果を遅滞なく、厚生労働大臣に対して通知するとともに、これを公表しなければならない。
解説
解答:誤
毎事業年度ごとの業績の評価は、協会の理事長ではなく、「厚生労働大臣」が評価を行い、協会に対してその結果を通知して公表することになっています。
最後は厚生労働大臣がビシッと締める!って感じでしょうか。笑
で、事業を運営をしているといろいろとお金が必要になってきそうですが、全国健康保険協会には、何かあった時のために「準備金」を用意しておくことになっています。
その準備金の額がどれほど必要なのか下の過去問で確認しましょう。
全国健康保険協会が準備金として積み立てる金額
(平成28年問1オ)
全国健康保険協会は、毎事業年度において、当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額の1事業年度当たりの平均額の3分の1に相当する額までは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならない。なお、保険給付に要した費用の額は、前期高齢者納付金(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)を含み、国庫補助の額を除くものとする。
解説
解答:誤
全国健康保険協会は、毎事業年度末にその年度の剰余金の額を準備金として積み立てる必要があるのですが、
その額は、保険給付に要した費用の額の平均額(その年度と前の年度の2年間の額を平均化)の3分の1ではなく
「12分の1」の額を準備金に充てるわけです。
保険給付の1ヶ月分は手持ちで持っときなさいよ、ということですね。
とはいっても、いつでも現金が手元にあるとは限りません。
時にはお金を借りて資金を調達することもあるでしょう。
全国健康保険協会がお金を借りる時にもルールがあるようですので、最後にチェックしておきましょう。
お金を借りたらいつ返す??
(令和2年問7B)
全国健康保険協会の短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならないが、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、厚生労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。この借り換えた短期借入金は、1年以内に償還しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
まず、全国健康保険協会は厚生労働大臣の認可を受けないと短期借入金をすることができません。
で、その短期借入金は基本的にその年度内に返す必要があるのですが、どうしても返せない時は、これも厚生労働大臣の認可を受けて借り換えることができます。
ただ、この借り換えた短期借入金も1年以内に返さなければなりません。
利息が増えて手に負えなくなる前にちゃんと返しなさいということなんですかね。苦笑
今回のポイント
- 全国健康保険協会が都道府県ごとの実情に応じた運営をするために意見を聴くのは「評議会」です。
- 全国健康保険協会と理事長または理事との利益が異なってくる事項の場合は、監事が協会を代表することになっています。
- 毎事業年度ごとの業績の評価は、「厚生労働大臣」が行い、協会に対してその結果を通知して公表することになっています。
- 全国健康保険協会は、毎事業年度末にその年度の剰余金の額を準備金として積み立てる必要があるのですが、その額は、保険給付に要した費用の額の平均額(その年度と前の年度の2年間の額を平均化)の「12分の1」の額を準備金に充てます。
- まず、全国健康保険協会は厚生労働大臣の認可を受けて短期借入金をすることになり、その短期借入金は基本的にその年度内に返す必要があるのですが、どうしても返せない時は、これも厚生労働大臣の認可を受けて借り換えることができます。ただ、この借り換えた短期借入金も1年以内に返さなければなりません。
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