過去問

「社労士試験 国民年金法 今のうちに慣れておこう!保険料の追納や滞納のイロハ」過去問・国-53

国民年金の保険料は第1号被保険者の場合、被保険者自身が保険料を納付するので、自身の収入の都合で保険料が納められない可能性があります。

そんな時に、法定免除申請免除の制度があるのですが、そのままだと老齢基礎年金の受給額が減ったままになってしまうので、追納の制度も用意されています。

保険料を追って納付することで、老齢基礎年金の受取額を回復させることができるのですが、納付しないままだと、滞納処分を受けることになります。

社労士試験でも、追納や滞納について出題されていますので見ていくことにしましょう。

最初の問題は、追納ができない人がいるけど誰なのかということが問われていますが、追納できない人とはどういう人なのでしょう。

 

障害基礎年金の受給権者でも追納できる?

(平成24年問5D)

保険料の免除を受けている第1号被保険者が障害基礎年金の受給権を有する場合でも、厚生労働大臣の承認を受け、免除を受けた期間の保険料(承認の日の属する月前10年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部を追納することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

追納の対象外になるのは、障害基礎年金の受給権者ではなく、「老齢基礎年金の受給権者」です。

追納は、法定免除や申請免除などで保険料の納付が免除された期間に対して、老齢基礎年金の受給額を増やすために後から保険料を納付する制度です。

ということは、障害基礎年金の受給権者は法定免除に該当しますから、そういった人に対して、「保険料を免除するけど追納はできないよ」というのも変な話ですよね。

で、追納の対象外になっている「老齢基礎年金の受給権者」については、老齢基礎年金の支給繰下げを行なっている人も追納の対象外になっています。

では、追納ができるとされている期間について見ていくことにしましょう。

法定免除なり申請免除で保険料の納付を免除されているからと言って、何十年も前の免除期間について追納ができるのでしょうか。

 

保険料免除期間のうち、追納できる期間は?

(令和2年問10エ)

令和2年4月2日に64歳に達した者が、平成18年7月から平成28年3月までの期間を保険料全額免除期間として有しており、64歳に達した日に追納の申込みをしたところ、令和2年4月に承認を受けることができた。この場合の追納が可能である期間は、追納の承認を受けた日の属する月前10年以内の期間に限られるので、平成22年4月から平成28年3月までとなる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

追納ができるのは、追納の承認を受けた日の属する月前「10年」以内の期間が対象になっています。

問題文のケースでは、令和2年4月に追納の申し込みをしたということですから、追納できるのは前月の令和2年3月から10年間ということになります。

なので、令和2年(2020年)3月から見て10年前は平成22年(2010年)4月となります。

保険料が免除されているのは「平成18年7月から平成28年3月」までですから「平成22年4月から平成28年3月」までの期間が追納の対象になるので問題文は正解ということになります。

さて、次は追納も叶わず、「滞納」をしてしまった人に対する規定を見ていくことにしましょう。

滞納に関する最初の過去問は、厚生労働大臣に関する論点になります。

 

保険料を滞納している人に対して厚生労働大臣は、、、

(平成24年問5A)

保険料その他国民年金法の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。

 

解説

解答:誤

保険料を滞納している人に対して、厚生労働大臣は督促しなければ「ならない」ではなく、督促することが「できる」としています。

ちなみに、厚生年金法では「督促しなければならない」ことになっているのですが、その違いはなんなのでしょうか。

国民年金の保険料は個人相手ですから、「督促しなければならない」とすると膨大な事務量になるでしょう。

住所がわからない人もいるでしょうし、「督促することができる」しておいた方が都合がいいのでしょうね。

それに比べて厚生年金の場合は、保険料を徴収する相手は事業主ですから、個人と比べて格段に徴収しやすいでしょうね。

では、次は督促をする段階についての過去問を見てみましょう。

下の問題では、督促をするときの「数字」に注目してみましょう。

 

保険料を督促するときのルール

(平成27年問3D)

保険料の督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して5日以上を経過した日でなければならない。

 

解説

解答:誤

督促をするときは、督促状に支払期限を記載するのですが、その日は、督促状を発する日から起算して5日以上ではなく、「10日以上」を経過した日にしなければなりません。

支払期限を、督促状を発送する日を起算日にするということは、相手に督促状が着くのはその翌日以降ということになります。

なので5日ではちょっと急過ぎるかもしれませんね。

さて、最後に「先取特権」についての論点をチェックしておきましょう。

先取特権というのは、お金を回収する権利を持っている人(債権者)が複数いるときに、他の債権者より優先してお金を回収できる権利のことです。

今回の場合、国民年金の保険料を回収できる権利の順位はどうなっているのか、というのが次の問題で問われていますので見てみましょう。

 

先取特権の順位を確認

(平成26年問6E)

国民年金法の規定による徴収金の先取特権の順位は、厚生年金保険法の規定による徴収金とは異なり、国税及び地方税と同順位である。

 

解説

解答:誤

国民年金法の規定による先取特権の順位は、国税及び地方税と同順位ではなく、厚生年金法のそれと同じく、国税及び地方税に次ぐもの、ということになっています。

 

今回のポイント

  • 老齢基礎年金の受給権者は、追納をすることができません。
  • 追納ができるのは、追納の承認を受けた日の属する月前「10年」以内の期間が対象になっています。
  • 保険料を滞納している人に対して、厚生労働大臣は督促することが「できる」としています。
  • 督促をするときは、督促状に支払期限を記載するのですが、その日は、督促状を発する日から起算して「10日以上」を経過した日にしなければなりません。
  • 国民年金法の規定による先取特権の順位は、厚生年金法のそれと同じく、国税及び地方税に次ぐもの、ということになっています。

 

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