雇用保険法での日雇さんの場合、「日雇労働被保険者」という名前ですが、健康保険法では「日雇特例被保険者」という名称になっている時点ですでにややこしいですね。苦笑
給付面についても、一般の被保険者とは違う面が多いので、比較しながら押さえていくようにすると、復習にもなりますからオススメです。
ただ、日雇特例被保険者についての論点は、決して頻出というわけではありませんので、あまり時間をかけすぎず、バランスを見ながら勉強を進めていくようにしましょう。
それでは最初の問題に進みますね。
日雇特例被保険者の保険料に関することが問われていますので確認していきましょう。
日雇特例被保険者にかかる保険料の徴収を行うのはだれ?
(令和元年問6C)
日雇特例被保険者の保険の保険者の業務のうち、日雇特例被保険者手帳の交付、日雇特例被保険者に係る保険料の徴収及び日雇拠出金の徴収並びにこれらに附帯する業務は、全国健康保険協会が行う。
解説
解答:誤
日雇特例被保険者の保険者は全国健康保険協会ですが、
保険者の業務のうち、
- 日雇特例被保険者手帳の交付
- 日雇特例被保険者にかかる保険料の徴収
- 日雇拠出金の徴収並びにこれらに附帯する業務
は全国健康保険協会ではなく、厚生労働大臣が行います。
ちなみに、一般の被保険者の場合、健康保険組合の組合員でない被保険者の保険者も、全国健康保険協会ですが、
- 被保険者の資格の取得および喪失の確認
- 標準報酬月額および標準賞与額の決定
- 保険料の徴収並びにこれらに付帯する業務
は厚生労働大臣が行います。
なんか二つとも似ていますね。笑
資格に関することや保険料の徴収といった重要なものは厚生労働大臣ががっちり握っている、という感じでしょうか。
とはいっても、全国健康保険協会の業務は多岐にわたっているでしょうから、色々と大変なこともあると思います。
そこで次の問題は、全国健康保険協会が市町村に助っ人を頼むことができるのかが論点になっていますので確認しましょう。
全国健康保険協会は日雇特例被保険者に関する仕事を市町村に委託できる?
(平成29年問1E)
全国健康保険協会は、市町村(特別区を含む。)に対し、政令で定めるところにより、日雇特例被保険者の保険に係る保険者の事務のうち全国健康保険協会が行うものの一部を委託することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
日雇特例被保険者に関する事務のうち、本来は全国健康保険協会が行うものの一部を市町村に委託することができます。
やはり何といっても、市町村の方が住民のことをよく把握しているでしょうから、お願いできるところは任せたいでしょうね。
さて、いよいよ日雇特例被保険者に関する給付について見ていくことにしましょう。
下の問題は、日雇特例被保険者が療養の給付を受けるための要件が問われています。
日雇特例被保険者が療養の給付を受けるための要件とは
(令和2年問7A)
日雇特例被保険者が療養の給付を受けるには、これを受ける日において当該日の属する月の前2か月間に通算して26日分以上又は当該日の属する月の前6か月間に通算して78日分以上の保険料が納付されていなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、日雇特例被保険者が療養の給付を受けるためには、療養の給付を受ける日の属する
- 月の前2か月間に通算して26日分以上の保険料、または
- 月の前6か月間に通算して78日分以上の保険料
を納付している必要があります。
78日分というのは、26日分を単純に3倍しただけですので、どちらかの要件を押さえていれば丸暗記していなくても知識を引っ張り出すことができますね。
次は傷病手当金について見ておきましょう。
日雇特例被保険者の傷病手当金の支給期間については、一般の被保険者よりも短く設定されています。
では、どれだけの違いがあるのか下の問題で確認しましょう。
一般被保険者と日雇特例被保険者の傷病手当金の支給期間の違い
(平成27年問9E)
同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関する傷病手当金の支給期間は、その支給を始めた日から起算して1年6か月を超えないものとされているが、日雇特例被保険者の場合には、厚生労働大臣が指定する疾病を除き、その支給を始めた日から起算して6か月を超えないものとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
一般の被保険者の傷病手当金の支給期間は、支給を始めた日から1年6か月を超えないものとされていますが、
日雇特例被保険者の場合、6か月を超えないものとされています。
ちなみに、日雇特例被保険者の傷病手当金の額は、
- 月の前2月間に通算して26日分以上の保険料が納付されている場合
→ 前2月間で標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものの45分の1に相当する金額 - 前6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されている場合
→前6月間で標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものの45分の1に相当する金額
のどちらか高い方になります。
では最後に、日雇特例被保険者の出産育児一時金についての過去問をチェックしておきましょう。
こちらも「数字」が論点になっていますので、そこを意識して問題文を読んでみましょう。
日雇特例被保険者が出産育児一時金を受け取るためには
(平成23年問4C)
日雇特例被保険者が出産した場合、その出産の日の属する月の前6か月間に通算して26日分以上の保険料がその者について納付されているときは、出産育児一時金として、政令で定める金額が支給される。
解説
解答:誤
日雇特例被保険者の出産育児一時金が支給されるためには、出産の日の属する月の前6か月間ではなく、「前4か月間」に通算して26日分以上の保険料がその者について納付されていることが必要です。
療養の給付が「月の前2か月間に通算して26日分以上の保険料」であることから比較すると、
その倍の期間で26日分以上の保険料を納付していればいいことになりますね。
出産前の身重な身体ですから、無理をしないよう長めの猶予期間を設けているんでしょうね。
今回のポイント
- 日雇特例被保険者の保険者は全国健康保険協会ですが、保険者の業務のうち、
- 日雇特例被保険者手帳の交付
- 日雇特例被保険者にかかる保険料の徴収
- 日雇拠出金の徴収並びにこれらに附帯する業務
は全国健康保険協会ではなく、厚生労働大臣が行います。
- 日雇特例被保険者に関する事務のうち、本来は全国健康保険協会が行うものの一部を市町村に委託することができます。
- 日雇特例被保険者が療養の給付を受けるためには、療養の給付を受ける日の属する
- 月の前2か月間に通算して26日分以上の保険料、または
- 月の前6か月間に通算して78日分以上の保険料
を納付している必要があります。
- 一般の被保険者の傷病手当金の支給期間は、支給を始めた日から1年6か月を超えないものとされていますが、日雇特例被保険者の場合、6か月を超えないものとされています。
- 日雇特例被保険者の出産育児一時金が支給されるためには、出産の日の属する月の「前4か月間」に通算して26日分以上の保険料がその者について納付されていることが必要です。
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