社労士試験では、徴収法の印紙保険料について色々な角度から出題されていて、論点も比較的多いので整理に戸惑うことがあるかもしれません。
私は雇用保険印紙というものを実際に手に取ったことがないので、いまいち実感が湧かないのが正直なところですね。
なので、受験勉強では問題演習で間違えながら知識を定着させていきました。
そのとき、間違えるのがイヤだ、怖いといった感情がありましたが、逆にその感情を利用して「この論点はあのとき間違った問題だ」と記憶をたぐり寄せるきっかけにもできるのです。
なので、問題を間違えることに過剰に反応せずに、逆に利用するくらいでいいと思います。
では最初の問題を見てみましょう。
請負事業と印紙保険料についての論点です。
請負事業ということは「一括」の文字が浮かびますが、印紙保険料は誰が納付するのでしょうか。
請負事業の場合、だれが印紙保険料を納付する?
(平成24年雇用問9A)
日雇労働被保険者に係る印紙保険料の納付については、請負事業の一括により元請負人が事業主とされる場合、当該元請負人が、その使用する日雇労働被保険者及び下請負人が使用する日雇労働被保険者に係る印紙保険料を納付しなければならない。
解説
解答:誤り
請負事業で一括される保険関係は、労災保険だけで雇用保険は一括されないので、下請負人が使用する日雇労働被保険者の印紙保険料は、その下請負人が納付することになります。
ちなみに、請負事業の一括は、建設の事業が数次の請負によって行われる場合になります。
で、印紙保険料の納付は、日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙を貼付して消印か納付印の押印をすることになるわけですが、消印のときに使うハンコは何でもいいのでしょうか。
それとも、事前に決めておいてお役所に届出をする必要があるのでしょうか?
印紙の消印に使うハンコの印影は届出がいる?
(令和2年雇用問9D)
事業主は、日雇労働被保険者手帳に貼付した雇用保険印紙の消印に使用すべき認印の印影をあらかじめ所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
事業主は、雇用保険印紙の消印に使用する認印の印影を、あらかじめ所轄公共職業安定所長に届け出る必要があります。
まぁ、本人確認のための事前登録をする印鑑証明みたいなものなのでしょうかね。
で、消印をするのは日雇労働者被保険者手帳にするわけですが、消印するためには事業主は被保険者手帳を日雇労働被保険者から預からないとできませんね。
そこで、被保険者手帳は持ち主である被保険者から「返して」と言われたら返していいのでしょうか。
それとも、、、?
日雇労働被保険者手帳は持ち主に返しちゃダメ?
(令和2年雇用問9C)
印紙保険料の納付は、日雇労働被保険者手帳へ雇用保険印紙を貼付して消印又は納付印の押印によって行うため、事業主は、日雇労働被保険者を使用する場合には、その者の日雇労働被保険者手帳を提出させなければならず、使用期間が終了するまで返還してはならない。
解説
解答:誤り
日雇労働被保険者手帳は、使用期間が終了するまで返還してはならないではなく、被保険者から請求があったときは返還する必要があります。
日雇労働被保険者が被保険者手帳を「返して」という時は、ひょっとすると、その仕事を辞めたいときなのかもしれませんが、
使用期間が終わるまで返してはいけない、なんて規定があったら、仕事を辞めたいのに辞められないことになり、
不当な足留めにつながるかもしれませんね。
さて、事業主は毎月、雇用保険印紙の受払状況をお役所に報告するのですが、
そうは言っても仕事の量はその時々で増えたり減ったりするものなので、
もし日雇労働被保険者を使用しなかった月があったとしたら、報告はナシということでいいのでしょうか。
次の過去問で見てみましょう。
印紙のやり取りがなかった月はお役所へはどうしたら?
(平成24年雇用問9E)
雇用保険印紙購入通帳の交付を受けている事業主は、毎月における雇用保険印紙の受払状況を印紙保険料納付状況報告書によって、所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならないが、日雇労働被保険者を一人も使用せず、印紙の受払いのない月の分に関しては、何ら報告する義務はない。
解説
解答:誤り
もし日雇労働被保険者を1人も使用しなかった月があっても、毎月における雇用保険印紙の受払状況を翌月末日までに、
所轄都道府県労働局歳入徴収官に印紙保険料納付状況報告書によって報告する必要があります。
なので、日雇労働被保険者を使用していてもいなくても、毎月報告はちゃんとしてね、ということですね。
では最後に、印紙保険料を滞納したときの納付方法について確認しましょう。
印紙保険料を滞納すると、認定決定が行われて事業主に通知されるわけですが、納付するときは誰に払うのでしょう。
銀行に行って納付することはできないのでしょうか。
印紙保険料を滞納した時の納付方法は?
(平成28年雇用問9E)
印紙保険料を所轄都道府県労働局歳入徴収官が認定決定したときは、納付すべき印紙保険料については、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいう。)に納付することはできず、所轄都道府県労働局収入官吏に現金で納付しなければならない。
解説
解答:誤り
認定決定された印紙保険料は、日本銀行または所轄都道府県労働局収入官吏に現金で納付します。
ちなみに雇用保険印紙では納付できません。
印紙保険料の認定決定は、「納入告知書」で行われて、
追徴金(ペナルティ)の額は、納付すべき額の100分の25となっていますので合わせて押さえておきましょう。
今回のポイント
- 請負事業で一括される保険関係は、労災保険だけで雇用保険は一括されないので、下請負人が使用する日雇労働被保険者の印紙保険料は、その下請負人が納付することになります。
- 事業主は、雇用保険印紙の消印に使用する認印の印影を、あらかじめ所轄公共職業安定所長に届け出る必要があります。
- 日雇労働被保険者手帳は、使用期間が終了するまで返還してはならないではなく、被保険者から請求があったときは返還する必要があります。
- もし日雇労働被保険者を1人も使用しなかった月があっても、毎月における雇用保険印紙の受払状況を翌月末日までに、所轄都道府県労働局歳入徴収官に印紙保険料納付状況報告書によって報告する必要があります。
- 認定決定された印紙保険料は、日本銀行または所轄都道府県労働局収入官吏に現金で納付します。
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