過去問

「社労士試験 国民年金法 過去問から読み解く保険料免除のポイント」過去問・国-52

今回は、保険料の免除についての過去問を集めてみました。

ひとくちに保険料免除と言っても、法定免除や申請免除、学生納付特例や保険料納付猶予制度もありますので、それぞれの要件を押さえるのは大変ですよね。

収入要件もありますし、なかなか手強い項目ですが、丁寧に一つ一つ自分のものにしていきましょうね。

では最初の問題に進みましょう。

論点としては、法定免除で保険料が免除になる期間について問われていますので見ていきましょう。

 

保険料が法定免除になるのは、いつからいつまで?

(平成26年問8E」)

第1号被保険者(産前産後期間の保険料免除及び保険料の一部免除を受ける者を除く。)が、生活保護法による生活扶助を受けるに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月からこれに該当しなくなる日の属する月の前月までの期間に係る保険料は、既に納付されたものを除き、納付することを要しない。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:誤

第1号被保険者が、生活保護法による「生活扶助」を受けることになった場合、その月の翌月ではなく「その前月から」、

生活扶助に該当しなくなる前月ではなく「その月まで」の期間にかかる保険料は納付しなくて良いことになっています。

法定免除は、生活保護法による生活扶助のほか、所定の要件を満たした障害基礎年金や障害厚生年金の受給権者も対象です。

ちなみに、生活保護法の扶助の種類には、生活扶助のほか、住宅扶助や医療扶助などいろいろとありますが、法定免除になるのは「生活扶助」だけです。

で、問題文に「産前産後期間の保険料」について記載がありますが、産前産後期間の保険料は免除されますが、

法定免除と違い、保険料納付済期間として取り扱われるので、法定免除や申請免除とは区別されています。

さて、次は法定免除の要件に該当した時の手続きについて見ていきましょう。

下の問題では「数字」が論点になっています。

 

法定免除になった時の手続き方法

(令和2年問10オ)

第1号被保険者が、生活保護法による生活扶助を受けるようになると、保険料の法定免除事由に該当し、既に保険料が納付されたものを除き、法定免除事由に該当した日の属する月の前月から保険料が免除になり、当該被保険者は、法定免除事由に該当した日から14日以内に所定の事項を記載した届書を市町村に提出しなければならない。ただし、厚生労働大臣が法定免除事由に該当するに至ったことを確認したときは、この限りでない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、法定免除に該当した日から「14日以内」に市町村長へ届け出る必要がありますが、厚生労働大臣がその件について確認した時は不要です。

ここで言葉の言い回しについての確認ですが、法定免除の場合は「届出」、申請免除のときは「申請です。

「法定」というだけあって、法定免除に該当しさえすれば、申請→承認のプロセスを踏まなくても保険料の納付が免除になるということですね。

では次は申請免除について見ていきましょう。

申請免除の要件は、「収入」など色々ありますが、下の問題では全額免除についての収入要件が問われていますので確認しましょう。

 

申請免除の事例問題

(平成26年問6B)

夫のみに所得がある夫婦(夫42歳、妻38歳であり、ともに第1号被保険者)と3人の子(13歳、10歳、5歳)の5人世帯において、夫の前年の所得(1月から6月までの月分の保険料については前々年の所得とする。)が197万円以下であれば、申請により当該夫婦の保険料は全額免除される。なお、法定免除の事由には該当しないものとする。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

申請による全額免除に該当するための収入の計算式は、

『(扶養親族等の数 + 1) × 35万円 + 22万円』となっています。

問題文の場合、妻と子供3人ですから、扶養親族は合計4人となり、『(4+1)×35万円 + 22万円 = 197万円』と計算されるので正しい問題文ということになります。

さて、次は「学生納付特例」です。

これは文字どおり、学生の間は保険料を免除するよ、ということなのですが、学生であれば誰でも免除になるわけではなく、やはり該当するには要件があるようです。

それがどんな要件なのか次の問題で見てみましょう。

 

学生納付特例を受けるための要件

(平成28年問1エ)

前年の所得(1月から3月までの月分の保険料については、前々年の所得。以下本問において同じ。)がその者の扶養親族等の有無及び数に応じ一定額以下の学生である第1号被保険者については、その者の世帯主又は配偶者の前年の所得にかかわらず、国民年金法第90条の3の規定による学生納付特例の適用を受けることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

学生納付特例の収入要件は、、世帯主や配偶者の所得は関係なく、本人のみの収入だけで判断され、金額は半額免除と同じ要件になっています。

ちなみに、学生納付特例に該当する要件は、収入以外にも生活保護法による生活扶助「以外」の扶助を受けるときなど、全額申請免除などの要件と同じです。

では、次の問題の場合はどうでしょう。

学生納付特例に年齢要件はあるのでしょうか。

 

学生納付特例に年齢要件?

(令和元年問3C)

学生納付特例による保険料免除の対象となる期間は、被保険者が30歳に達する日の属する月の前月までの期間に限られる。

 

解説

解答:誤

学生納付特例年齢要件はありません

年齢を論点にするなら、「保険料納付猶予制度」ですね。

  • 平成17年4月〜平成28年6月までの間で、30歳到達月の前月までの期間
  • 平成28年7月〜平成37年6月までの間で、50歳到達月の前月までの期間

について保険料を納付することを要しないというものです。

この学生納付特例と保険料納付猶予制度の要件を混同しないようにしたいですね。

 

今回のポイント

  • 第1号被保険者が、生活保護法による「生活扶助」を受けることになった場合、「その前月から」生活扶助に該当しなくなる「その月まで」の期間にかかる保険料を納付しなくて良いことになっています。
  • 法定免除は、生活保護法による生活扶助のほか、所定の要件を満たした障害基礎年金や障害厚生年金の受給権者も対象です。
  • 法定免除に該当した日から「14日以内」に市町村長へ届け出る必要がありますが、厚生労働大臣がその件について確認した時は不要です。
  • 申請による全額免除に該当するための収入の計算式は、『(扶養親族等の数 + 1) × 35万円 + 22万円』となっています。
  • 学生納付特例の収入要件は、、世帯主や配偶者の所得は関係なく、本人のみの収入だけで判断されます。
  • 学生納付特例年齢要件はありませんが、保険料納付猶予制度と混同しないようにしましょう。

 

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