「社労士試験 健康保険法 ややこしい給付制限の取扱マニュアル」過去問・健保-50

給付制限」は、健康保険法だけでなく他の法律でも出てくる厄介な存在ですよね。

不正行為の内容によって「支給しない」、「全部または一部を支給しない」などが違ってきますもんね。

ですが、不正行為の傾向によっておおよそ内容が決まっていますので、横断的に押さえるのもいいですね。

たとえば「故意」の場合は「支給しない」とか、「重大な過失」の時は「全部または一部」など、最初は感覚で掴むと良いとおもいます。

それでは最初の問題を見てみましょう。

給付制限によく出てくる「全部又は一部」の意図です。

「全部又は一部」と聞くと、情状酌量で加減することがあるのかな、と思うのは私だけでしょうか。

 

給付制限の「全部又は一部」の意味

(平成25年問4E)

偽りその他不正行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者はその者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができるが、その場合の「全部又は一部」とは、偽りその他不正行為によって受けた分が保険給付の一部であることが考えられるので、全部又は一部とされたものであって、偽りその他不正行為によって受けた分はすべて徴収することができるという趣旨である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

「全部又は一部」の「一部」は、不正して得た保険給付の一部を徴収するという意味ではなく、支給された保険給付で不正に得た保険給付が一部分だったとすれば、その一部分の全額を徴収するよ、ということですね。

そういう意味では、正当に得た保険給付まで徴収するということではない、ということになりますかね。

で、これは通達からの出題ですが、その通達には、「全部又は一部」の「一部」は情状酌量によって「一部」徴収しても良いという意味か?という問に対して、上記の回答になっています。

こちらの通達のリンクを貼っておきますのでご自由にご参考になさってください。

通達内の(問4)が今回の論点になっていますが、他の問いも面白いのでお時間のある時にご覧になっても良いかもです。

 

参考記事;健康保険法の一部を改正する法律の疑義について(抄) 昭和三二年九月二日 保険発第一二三号

 

さて、次は「被扶養者」に関する問題です。

給付制限は「被保険者」に対して規定されているのですが、「被扶養者」についてどうなっているのかを見てみましょう。

 

被扶養者へも給付制限がある??

(平成28年問6A)

健康保険法第116条では、被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行われないと規定されているが、被扶養者に係る保険給付についてはこの規定が準用されない。

 

解説

解答:誤

被扶養者については、第116条の規定が準用されます。

被扶養者については以下のように規定されています。

 

『法122条
第116条、第117条、第118条第1項及び第119条の規定は、被保険者の被扶養者について準用する。この場合において、これらの規定中「保険給付」とあるのは、「当該被扶養者に係る保険給付」と読み替えるものとする。』

 

第116条というのは、問題文にある「自己の故意の犯罪行為」による給付制限で、第117条は「闘争、泥酔又は著しい不行跡」、

第118条1項が「少年院や刑事施設への収容」、最後の第119条が「療養の指示に従わない」ときの給付制限になっていますので、

被保険者に対する給付制限が被扶養者にも適用されることがよく分かりますね。

では、先ほど出ました「闘争、泥酔又は著しい不行跡」について、給付制限がどんな内容になっているのか確認しておきましょう。

 

「闘争や泥酔、著しい不行跡」に対する給付制限の内容

(平成23年問3E)

被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その給付の全部について行わないものとする。

 

解説

解答:誤

闘争、泥酔又は著しい不行跡」の場合の給付制限は、「全部」ではなく、「全部又は一部」を行わないことができる、とされています。

ちなみに、先ほどの問題にあった、第116条というの「自己の故意の犯罪行為」により、または「故意に」給付事由を生じさせた時は、保険給付を「行わない」ということになっています。

これは、第118条1項の「少年院や刑事施設への収容」の場合も同様です(傷病手当金や出産手当金は別途規定ありますが)。

では残りの第119条「療養の指示に従わない」場合の給付制限を次の問題で確認しましょう。

 

療養の指示に従わなかった場合の給付制限に注意

(令和2年問6D)

保険者は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに診療担当者より受けた診断書、意見書等により一般に療養の指示と認められる事実があったにもかかわらず、これに従わないため、療養上の障害を生じ著しく給付費の増加をもたらすと認められる場合には、保険給付の一部を行わないことができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、「療養の指示に従わない」ときの給付制限は、保険給付の「一部」を行わないことができる、となっています。

ここで注意したいのは、「全部または一部」ではなく、「一部となっているところですね。

これについては、他の法律(たとえば国民年金法など)と比較してみると良いですね。

ちなみに、通達では給付制限の期間は、おおむね10日間を基準にするように指示されています。

では最後に、保険給付を不正受給したり不正受給しようとしたものに対してもう一つの給付制限が用意されているようです。

傷病手当金や出産手当金がからんでくるのですが、次の問題では「数字」を意識してみましょう。

 

不正受給のその後、、、

(平成27年問2E)

保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りでない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

不正受給の際には、傷病手当金や出産手当金について、「6か月以内」の期間を定めて「全部または一部」を支給しないことを決定することができます。

ただし、不正行為から1年経っている場合は対象外となっています。

ここで注意したいのは、給付が制限されるのが「傷病手当金や出産手当金」なのですが、こちらの給付名を入れ替えて出題されたことがありますので、しっかり押さえたいですね。

その問題がこちらになります。

(平成21年問10B)

「保険者は、偽りその他不正の行為により療養の給付を受け、又は受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき療養の給付(×)の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りではない。」

「療養の給付」がバツですね。

今回のポイント

  • 「全部又は一部」の「一部」は、不正して得た保険給付の一部を徴収するという意味ではなく、支給された保険給付で不正に得た保険給付が一部分だったとすれば、その一部分の全額を徴収するよ、ということになります。
  • 被扶養者への給付制限については、被保険者の規定を準用することになっています。
  • 闘争、泥酔又は著しい不行跡」の場合の給付制限は、「全部又は一部」を行わないことができるとされています。
  • 療養の指示に従わない」ときの給付制限は、保険給付の「一部」を行わないことができる、となっています。
  • 不正受給の際には、傷病手当金や出産手当金について、「6か月以内」の期間を定めて「全部または一部」を支給しないことを決定することができますが、不正行為から1年経っている場合は対象外となっています。

 

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