「社労士試験 安衛法 事例問題を使って安全衛生管理体制の要件を押さえる!」過去問・安衛-25

安衛法の安全衛生管理体制は、社労士試験で頻出の項目ですが、知識として使えるまでに定着させるのは大変ですよね。

選任要件などを覚えたとしても、問題文を読んだときに、スッと頭の中の引き出しから必要な知識を引っ張り出すのはなかなかに難しいです。

ただ、頭の中から必要な知識を出してくる「練習」を積むことで見たことのない問題でも対応できるようになりますので大丈夫です。

今回は、安全衛生管理体制の事例問題(平成29年問9)を取り上げてみました。

どのように問題文から必要な知識を引き出せばいいのかを一緒に見て行くことにしましょう。

 

問題文「平成29年問9」

次に示す業態をとる株式会社についての安全衛生管理に関する記述のうち、 正しいものはどれか。

なお、衛生管理者及び産業医については、選任の特例 (労働安全衛生規則第 8 条及び同規則第 13 条第 3 項)を考えないものとする。

X市に「本社」を置き、人事、総務等の管理業務と営業活動を行っている。使用する労働者数は常時 40 人

Y市に「工場」を置き、食料品を製造している。
工場は 24 時間フル操業で、1 グループ150人で構成する4つのグループ計600人の労働者が、1日を3つに区分した時間帯にそれぞれ順次交替で就業するいわゆる4直3交替で、業務に従事している。したがって、この600人の労働者は全て、1月に4 回以上輪番で深夜業に従事している。なお、労働基準法第 36 条第 1 項ただし書きに規定する健康上特に有害な業務に従事する者はいない。

Z市に 2 店舗を置き、自社製品を小売りしている。
「Z1店舗」 使用する労働者数 常時 15 人
「Z2店舗」 使用する労働者数 常時 15 人(ただし、この事業場のみ、うち 12 人は 1 日 4 時間労働の短時間労働者)

 

選択肢(A)事業場の考え方に注意

X市にある本社には、総括安全衛生管理者、衛生管理者及び産業医を選任しなければならない。

 

解答

解説:誤

本社に総括安全衛生管理者や衛生管理者、産業医を選任する必要はありません。

安衛法での安全衛生管理は「事業場ごとに総括安全衛生管理者などの選任要件を当てはめることになっています。

なので、本社については、使用する労働者数は常時40人ということなので、

「40人」という数字と、人事総務という「管理業務」の業種で総括安全衛生管理者などの選任が必要か考えていきます。

総括安全衛生管理者の場合、業種によって常時使用する労働者の数が変わってきますが、

「管理業務→その他の業種」ということになるので、選任のための使用労働者数は「常時1000人以上」ですから、問題文の場合は選任に必要はありません。

衛生管理者については、業種に関わらず常時50人以上」が要件ですので選任の必要なしですね。

最後に産業医ですが、こちらも業種を問わず常時50人以上」が選任要件ですのでこちらも必要なしです。

つまり、問題文のケースでは、総括安全衛生管理者や衛生管理者、産業医を選任する必要がないということになりますね。

次の問題は産業医についての論点になっています。

産業医の場合、上記の「常時50人以上」の他にも選任要件がありますので、そちらを見ていくことにしましょう。

 

選択肢(B)専属の産業医を選任する基準とは

Y市にある工場には、安全委員会及び衛生委員会を設置しなければならず、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができるが、産業医については、その工場に専属の者を選任しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

Y市の工場では、600人の労働者がおり、そのすべてが「深夜業」に従事しているのがポイントですね。

この問題の一番の論点は「産業医の専属」の要件ですが、一つ一つ見ていきましょう。

まず、安全委員会」は、林業、建設業などは「常時50人以上」、製造業、運送業などは「常時100人以上」が設置要件になっています。

問題文の場合、工場なので「製造業」にあたり、「常時100人以上」が設置要件になりますから、Y市の工場は設置義務がありますね。

次に、衛生委員会」ですが、業種に関わらず常時50人以上の労働者を使用する事業場が設置対象になります。

で、安全委員会と衛生委員会の両方を設置しなければならないときは、まとめて安全衛生委員会を設置することができます。

ということで問題文の前半は正解ですね。

次に、問題文の後半にある「産業医の専属」ですが、専属の要件は、

  • 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
  • 所定の有害業務常時500人以上の労働者を従事させる事業場

ということになっています。

産業医の場合の「有害業務」には坑内労働などの業務がありますが、「深夜業」も有害業務になっています。

Y市の工場の場合は600人の労働者がいて深夜業もしているということになるので、専属の産業医を置く必要があります。

ということで、この問題文は正解ということになりますね。

では選択肢(C)に進みましょう。

(C)の問題文の論点は「衛生管理者」について問われています。

衛生管理者の選任の人数に関する要件などを見ていきましょう。

 

選択肢(C)衛生管理者に衛生工学衛生管理者免許が必要なケースとは

Y市にある工場には衛生管理者を3人選任しなければならないが、そのうち少なくとも1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない。

 

解説

解答:誤

衛生管理者は、先ほど述べたとおり、業種に関わらず常時使用する労働者が50人以上」が選任要件になっていますが、

事業場で常時働いている労働者数によって衛生管理者の設置人数が変わってきます。

Y市の工場の労働者数は600人ということですから、衛生管理者の必要数は「3人」であることは正しいです。

で、衛生工学衛生管理者の免許を持った衛生管理者がどんな場合に必要なのかというと、

  • 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、かつ
  • 坑内労働その他衛生工学的な措置を必要とする有害な業務常時30人以上の労働者を従事させる場合

です。

上記の条件に該当する場合は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者の免許を受けた人を選任しなければなりません。

では問題文を見てみましょう。

Y市の工場は「健康上特に有害な業務に従事する者はいない」ということなので、

衛生工学衛生管理者の免許を持った衛生管理者は必要ないということですね。

さて、次の問題は、衛生推進者についての論点です。

衛生管理者がからんでいますが、ヒントは先ほどすでに出ていますので確認してみましょう。

 

選択肢(D)本社の威力??

X市にある本社に衛生管理者が選任されていれば、Z市にあるZ1店舗には衛生推進者を選任しなくてもよい。

 

解説

解答:誤

衛生推進者について、問題文のような規定はありません。

選択肢(A)でも述べたように、安全衛生管理は「事業場」ごとに判断されます。

なので、本社に衛生管理者が選任されているからといってZ1店舗に衛生推進者を選任しなくていいわけではありません。

で、衛生推進者の選任要件は、安全管理者を選任するべき業種以外で、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場となっています。

さて、最後は、「常時使用する労働者」についての問題になっています。

先ほどから、「常時使用する労働者が◯◯人」という表現が出てきましたが、「常時使用する」とはどういうことなのかを確認しておきましょう。

 

選択肢(E)「常時使用する労働者」の考え方

Z市にあるZ2店舗には衛生推進者の選任義務はない。

 

解説

解答:誤

Z市のZ2店舗に衛生推進者を選任する義務はありますので誤りです。

衛生推進者の選任要件は先ほど述べたとおり、「常時10人以上50人未満を使用する労働者」ですが、

Z2店舗で使用する労働者数は、常時15人となっていますが、15人中12人は1日4時間労働の短時間労働者ということになっています。

この短時間労働者も、常時使用する労働者に含まれますので、Z2店舗の常時使用する労働者は「15人」となり、衛生推進者を選任する必要があります。

ただ、安全管理者を置くべき業種以外の業種が衛生推進者の選任要件になっていますが、

安全管理者を置く業種が何なのか判断できませんよね?

正直、安全管理者を置く業種で代表的なのは、建設業や運送業、製造業などになりますが、

それ以外のを全部覚えるのは大変だと思います。

なので、もし本試験場で迷ったときは、

「安全管理者は、ケガしそうな業種」

かどうかで判断するのもテです。

いかがでしょうか?

 

今回のポイント

  • 安衛法での安全衛生管理は「事業場ごとに総括安全衛生管理者などの選任要件を当てはめることになっています。
  • 産業医の専属」の要件は、
    • 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
    • 所定の有害業務常時500人以上の労働者を従事させる事業場

    ということになっています。

  • 衛生工学衛生管理者の免許を持った衛生管理者がどんな場合に必要なのかというと、
    • 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、かつ
    • 坑内労働その他衛生工学的な措置を必要とする有害な業務常時30人以上の労働者を従事させる場合

    です。

  • 衛生推進者の選任要件は、安全管理者を選任するべき業種以外で、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場となっています。
  • 短時間労働者も、「常時使用する労働者に含まれます

 

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