「社労士試験 労基法 もう一度復習!妊産婦のイロハ」過去問・労基-51

妊産婦」については、令和2年度の社労士試験で大問で出題されましたね。

令和2年度の試験では、「これを大問で出すの?」みたいな問題が目立ったような気がします。

こういうところが社労士試験の怖いところですね。

ただ、勉強を進めるうえで「基本を大切にする」ことには変わりありませんので大丈夫です!

では最初の問題を見てみましょう。

妊産婦はそもそもどういった人のことを言うのか、が論点になっています。

 

労基法上の「妊産婦」の定義

(平成25年問4ウ)

労働基準法では、「妊産婦」は、「妊娠中の女性及び産後6か月を経過しない女性」とされている。

 

解説

解答:誤

労働基準法上の「妊産婦」とは、「妊娠中の女性」および「産後6か月」ではなく「産後1年を経過しない女性」のことです。

ではまず、「妊娠中の女性」と「業務」についての過去問を見てみましょう。

妊娠中の女性が請求した場合、使用者は他の軽易な業務に転換させなければなりませんが、

下の問題のケースはどうなるのでしょうか。

 

妊娠中の女性と「軽易な業務」

(平成26年問6D)

使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。ただし、その者について医師が他の軽易な業務に転換させなくても支障がないと認めた場合には、他の軽易な業務に転換させなくても差し支えない。

 

解説

解答:誤

「医師が他の軽易な業務に転換させなくても〜」のくだりが誤りでそのような規定はありません。

「使用者は、妊娠中の女性請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。」の部分は正しいです。

妊産婦で医師が出て来るのは、産後の業務についてですね。

使用者は産後8週間を経過しない女性を就業させることはできませんが、産後6週間を経過した女性が請求した場合、医師が支障がないと認めた業務に就かせることができます

このように、他の論点とすり替えて出題されることが多いのでしっかりと抑えるようにしましょう。

次の論点は、「身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務」です。

男性でもなかなか大変な機械なので女性ではなおさら大変かもしれません。

では女性はこのような機械を扱うことは安衛法で禁じられているのでしょうか。

 

女性と「著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務」の関係

(令和2年問3B)

使用者は、女性を、さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務に就かせてはならない。

 

解説

解答:誤

身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務」は、「女性」ではなく「妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性」を就かせることができません。

つまり、妊産婦以外の女性であれば大丈夫ということですね。

「すべての女性」に禁じられているのは、重量物・有害物取扱業務、坑内掘削業務です。

これは「申出」は関係ありません。

こういった、色々な条件が重なっている論点を押さえるときは、簡単でいいので表を「自分で」作ってみることです。

テキストなど他人が作ったものを眺めていてもなかなか覚えることはできません。

テキストに載っているのを見ながらでも構いませんから自分の手を動かす、もしくは口に出すなどのアウトプットを重視するといいと思います。

さて、次は産後休業についてですが、下の問題では出産の定義が論点になっているので見てみましょう。

 

流産でも産後休業を与える義務がある?

(平成25年問4イ)

使用者は、妊娠100日目の女性が流産した場合については、労働基準法第65条に規定する産後休業を与える必要はない。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、使用者は産後休業を与える必要があります。

出産の定義は、妊娠4カ月以上の分娩で、生産だけではなく、死産も含みます。

(1ヶ月は4週(28日)での計算になります)

なので流産であっても産後休業を与える必要が出てくることがあるんですね。

ちなみに、産前休業は6週以内(多胎妊娠:14週)に出産予定の女性が「請求」したとき、産後休業は産後8週間まで(請求なし)の間に与える必要があります。

では最後に、妊産婦と時間外労働の関係について見ておきましょう。

次の過去問では妊産婦に対して時間外労働がどんな場合にNGなのかが問われています。

 

時間外労働をさせてはならない妊産婦とは

(平成29年問7D)

使用者は、すべての妊産婦について、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならない。

 

解説

解答:誤

時間外労働休日労働深夜業については、「すべての妊産婦」ではなく、「妊産婦が請求した場合」がNGとなります。

あくまで「請求」の手続きが必要ということですね。

ちなみに、女性であっても管理監督者など(法41条該当者)の場合は、労働時間や休憩時間、休日の規定の対象外になるので深夜を除いては上記の規定は当てはまりません。

 

今回のポイント

  • 労働基準法上の「妊産婦」とは、「妊娠中の女性」および「産後1年を経過しない女性」のことです。
  • 「使用者は、妊娠中の女性請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければなりません。
  • 身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務」は、「妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性」を就かせることができません。
  • 出産の定義は、妊娠4カ月以上の分娩で、生産だけではなく、死産も含みますので、所定の要件に該当すれば、使用者は産後休業を与える必要があります。
  • 時間外労働休日労働深夜業については、「妊産婦が請求した場合」がNGとなります。

 

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