過去問

「労災保険法 これを読めば分かる!社会復帰促進等事業の考え方」過去問・労災-36

社会復帰促進等事業についての論点は、どちらかというと掴みどころがなくフワッとしているイメージがありませんか?

なので、勉強するにしてもついつい丸暗記していまいがちになります。汗

でも、ここだけに労力を割くわけにはいかないので、ある程度、「制度の趣旨を理解しておいて正解を出す」ことにも慣れておきたいところですね。

社会復帰促進等事業は基本的に、

  1. 社会復帰促進事業・・・療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営など
  2. 被災労働者等援護事業・・・被災労働者の療養生活の援護や介護の援護、遺族の就学の援護、資金の貸付けによる援護など
  3. 安全衛生・労働条件等確保事業・・・業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営や、賃金の支払の確保を図るために必要な事業など

になりますが、まずは3つの柱の趣旨を押さえておき、具体的な事業内容を覚えるのは、テキストの通読のときに確認する程度で良いと思います。

では早速、最初の問題に移りたいと思いますが、先ほど述べたとおり、「社会復帰」を「促進」する事業と考えた時に、一番ふさわしくないものはどれか見てみましょう。

 

社会復帰促進等事業としてなじまないものは?

(令和元年問7)

政府が労災保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について行う社会復帰促進等事業として誤っているものは、次のうちどれか。

A 被災労働者に係る葬祭料の給付

B 被災労働者の受ける介護の援護

C 被災労働者の遺族の就学の援護

D 被災労働者の遺族が必要とする資金の貸付けによる援護

E 業務災害の防止に関する活動に対する援助

 

解説

解答:A

Aの「被災労働者に係る葬祭料の給付」は、社会復帰促進等事業にはありません。

正解肢の選び方としては、「介護」や「就学の援護」などの他の選択肢と比べて、葬祭料の給付はごく一時的で限定的なものというイメージになりませんか?

もし、社会復帰促進等事業の中身を知らなくても、消去法でなんとか正解に辿り着けそうな気がしますがいかがでしょうか。

では、社会復帰促進等事業の中身についてもう少し問題を見てみましょう。

 

健康診断に関する施設の運営も社会復帰促進等事業?

(平成26年問4B)

政府が行うことができる社会復帰促進等事業には、健康診断に関する施設の運営を図るために必要な事業が含まれる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、「健康診断に関する施設の運営」は、社会復帰促進等事業に含まれます

一見、「健康診断」と「社会復帰促進」を見比べるとあまり関係がなさそうですが、先に述べた三本柱の一つに「安全衛生・労働条件等確保事業」がありました。

それを思い出すことができると、健康診断に関する施設の運営もなんとなく関係するのではないかと考えることができます。

ではもう一問、同じ考え方で確認しましょう。

 

業務災害の防止に関する活動も社会復帰促進等事業?

(平成26年問4C)

政府が行うことができる社会復帰促進等事業には、業務災害の防止に関する活動に対する援助を図るために必要な事業が含まれる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

業務災害の防止に関する活動に対する援助」は、社会復帰促進等事業に含まれます

これも、三本柱の一つである「安全衛生・労働条件等確保事業」に含まれます。

社会復帰を促進するということは、すでに業務災害や通勤災害が起こってしまっています。

それらを未然に防いで、災害を起こさない事業があっても不思議ではありません。

というように「こじつけ」でもなんでも構いませんので、できるだけ丸暗記しなくても済むように理解していきましょう。

さて、次の問題は社会復帰促進等事業に関連する組織についてになりますが、その名称が何なのかを確認しておきましょう。

 

社会復帰促進等事業に関連している独立行政法人の名前は?

(平成29年問3イ)

政府は、社会復帰促進等事業のうち、事業場における災害の予防に係る事項並びに労働者の健康の保持増進に係る事項及び職業性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査及び研究を、独立行政法人労働者健康安全機構に行わせる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

政府は、社会復帰促進等事業のうち、事業場における災害の予防などの調査や研究を独立行政法人労働者健康安全機構に行わせています。

社労士試験に出てくる独立行政法人がもう一つありましたね。

年金を担保にして融資する「福祉医療機構」でした。

これと混同しないようにしておきたいところですね。

では最後に、特別支給金と社会復帰促進等事業との関連を論点にした問題を確認しましょう。

 

特別支給金は保険給付ではなかった??

(平成22年問2A)

特別支給金は、保険給付ではなく、その支給は社会復帰促進等事業として行われるものであり、その支給事由、支給内容、支給手続等は、労働者災害補償保険特別支給金支給規則に定めるところによる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

特別支給金は、保険給付ではなく、社会復帰促進等事業の2つ目の柱である、被災労働者等援護事業として行われています。

そういえば、保険給付は譲渡や差押え、担保が禁止されていますが、特別支給金にはそんな規定はなかったですよね。

このように関連づければ理解の一助になりやすいのではないでしょうか。

 

今回のポイント

  • 社会復帰促進等事業は、基本的に、
    1. 社会復帰促進事業・・・療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営など
    2. 被災労働者等援護事業・・・被災労働者の療養生活の援護や介護の援護、遺族の就学の援護、資金の貸付けによる援護など
    3. 安全衛生・労働条件等確保事業・・・業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営や、賃金の支払の確保を図るために必要な事業など

    の3つの柱に分かれています。

  • 政府は、社会復帰促進等事業のうち、事業場における災害の予防などの調査や研究を独立行政法人労働者健康安全機構に行わせています。
  • 特別支給金は、保険給付ではなく、社会復帰促進等事業の2つ目の柱である、被災労働者等援護事業として行われています。

 

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