「社労士試験 労災保険法 過去問で読み解く労災保険における傷病(補償)年金の位置付け」過去問・労災-51

傷病(補償)年金の位置付けは、まだ治療中だけど、傷病等級に該当するほどの状態なので年金という形で生活費の補償をするものです。

なので、休業(補償)給付と介護(補償)給付の「中間」のイメージですかね。

また、傷病(補償)年金は、他の給付と取り扱いが違うところがあるので要注意ですので順番に見ていくことにしましょう。

では、最初の問題を見てみましょうね。

傷病補償年金の支給要件が論点になっていますが、注目するところは「数字」です。

 

傷病補償年金の支給要件

(平成30年問2A)

傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年を経過した日において次の①、②のいずれにも該当するとき、又は同日後次の①、②のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。
① 当該負傷又は疾病が治っていないこと。
② 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。

 

解説

解答:誤

傷病補償年金は、療養開始後「1年」ではなく、「1年6か月」を経過した日において、または1年6か月を経過した日後に次のいずれにも該当するときに、支給されます。

  • 負傷又は疾病が治っていないこと
  • 負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること

傷病年金についても同様で、療養開始後1年6か月が要件になっています。

で、傷病(補償)年金は、負傷や傷病が治っていなくて傷病等級に該当している間、支給されることになっているので、もし「治ゆ」したときは障害(補償)給付に切り替わる可能性があります。

では、傷病(補償)年金の支給手続きを次の問題で確認しましょう。

他の保険給付とは進め方が少し違うようです。

 

傷病補償年金の支給手続きとは

(平成29年問2A)

所轄労働基準監督署長は、業務上の事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者が療養開始後1年6か月経過した日において治っていないときは、同日以降1か月以内に、当該労働者から「傷病の状態等に関する届」に医師又は歯科医師の診断書等の傷病の状態の立証に関し必要な資料を添えて提出させるものとしている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

傷病(補償)年金については、労働者は、請求書を提出するのではなく、傷病の状態等に関する届を提出するだけで、支給するかどうかは労基署長が決定します。

その届は、療養の開始後1年6箇月を経過した日において治っていないときに、同日以後1箇月以内に提出することになっています。

ちなみに、傷病(補償)年金の支給とはならず、引き続き休業(補償)年金を支給することになった場合は、

毎年1月1日から同月末日までのいずれかの日を含む休業(補償)給付の請求者を提出するときに、

「傷病の状態等に関する届」も提出させて傷病(補償)年金を支給するか決定することになっています。

で、この傷病(補償)年金は、いわゆる生活費の補償になるわけですが、他の給付と併給できるのかを次の問題で確認しておきましょう。

 

傷病補償年金は併給できる?

(平成24年問3C)

療養補償給付は、傷病補償年金と併給される場合がある。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

傷病補償年金は、療養補償給付と併給できます。

傷病補償年金は、まだケガや病気が治っていない状態なので、治療を続けている状態ですよね。

療養補償給付と併給できないということになれば、生活費の補償はするけど治療はするなと言っているのと同じですから大変なことになります。

なので、傷病補償年金と療養補償給付の併給は可能なんですね。

では次のケースではなくどうでしょう。

下の過去問をご覧ください。

 

傷病補償年金は併給できる? その2

(平成27年問7ウ)

傷病補償年金は、休業補償給付と併給されることはない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、傷病補償年金は、休業補償給付との併給はなされません。

休業補償給付は、傷病補償年金の同じく生活費の補償という位置付けなので、同じ種類の給付は行われないんですね。

では、傷病補償年金のメリットは何かというと、請求の手間が格段に楽なんですね。

休業補償給付は、一般的には毎月請求するのですが、

傷病補償年金は「年金」なので、一年に一回の定期報告書で済むわけです(傷病等級に変更があれば別ですが)。

なので、傷病等級に該当するほど状態の場合は年金の形を取っているんですね。

さて、傷病(補償)年金といえば「打切補償」が関係してくるわけですが、どのような要件を満たせば打切補償が認められて労基法上の解雇制限が解除されるのでしょうか。

 

傷病補償年金と打切補償

(令和2年問6B)

業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に限り、その日において、使用者は労働基準法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされ、当該労働者について労働基準法第19条第1項の規定によって課せられた解雇制限は解除される。

 

解説

解答:誤

打切補償は、療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に「限り」ではなく、

療養開始後3年を経過した後に傷病補償年金を受けることになったときでも大丈夫です。

まとめると、打切補償は、

  • 療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合
  • 療養開始後3年を経過した日後において傷病補償年金を受けることとなった場合

打切補償を支払ったものとみなされます

ちなみに打切補償は、業務災害に適用されるもので、通勤災害は対象外であることに注意しましょう。

 

今回のポイント

  • 傷病補償年金は、療養開始後「1年」ではなく、「1年6か月」を経過した日において、または1年6か月を経過した日後に次のいずれにも該当するときに、支給されます。
    • 負傷又は疾病が治っていないこと
    • 負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること
  • 傷病(補償)年金については、労働者は、傷病の状態等に関する届を提出し、支給するかどうかは労基署長が決定します。
  • 傷病補償年金は、療養補償給付と併給できます。
  • 問題文のとおりで、傷病補償年金は、休業補償給付との併給はなされません。
  • 打切補償は、
    • 療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合
    • 療養開始後3年を経過した日後において傷病補償年金を受けることとなった場合

    に打切補償を支払ったものとみなされます。

 

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