過去問

「社労士試験 雇用保険法 整理しくにい不正行為による給付制限の勉強法」過去問・雇−49

雇用保険の給付制限には、離職理由(自己都合退職など)による給付制限や就職拒否、訓練などの受講拒否による給付制限もあったりしますが、

今回は不正行為による給付制限の過去問を集めてみました。

論点としては、数字に関するものや、受給資格に関するものなどがあり整理しにくいものがありますので、

問題演習をした後に、都度テキストで確認することで、頭の中で体系的に整理しておくといいですね。

最初の問題は、基本手当の不正受給に関するものです。

基本手当がどのように給付制限されるのか見ていきましょう。

 

不正行為で基本手当の給付制限を受ける期間

(平成25年問6B)

偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けようとした者には、やむを得ない理由がある場合を除き、当該基本手当の支給を受けようとした日から起算して1か月間に限り、基本手当を支給しない。

 

解説

解答:誤

不正行為基本手当の支給を受けようとした場合、「1か月間に限り」ではなく、

支給を受け、または受けようとした日以後基本手当は支給されません。

また、「やむを得ない理由がある場合を除き」というのもポイントですね。

やむを得ない理由というのがどんなものが該当するのかわかりませんが。笑

ちなみに、上記の取り扱いは、基本手当だけではなく、基本手当が属している求職者給付と就職促進給付に適用されます。

先ほどの基本手当のように、具体的な手当名で出題されることもありますから、

個別の手当名で出題された時は、それがどの給付に属しているのかを思い出せるようにしておきましょう。

なので、普段から求職者給付や就職促進給付にはどんなものがあるのか押えておくことが必要になりますね。

次は、給付制限を受けたとして、その効力がどこまで及ぶのかを見てみましょう。

 

基本手当を止められても再就職したらオッケー?

(令和2年問5B)

不正な行為により基本手当の支給を受けようとしたことを理由として基本手当の支給停止処分を受けた場合であっても、その後再就職し新たに受給資格を取得したときには、当該新たに取得した受給資格に基づく基本手当を受けることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

不正行為で基本手当といった求職者給付や就職促進給付が給付制限になっても、

再就職して新しい受給資格を手にすると給付制限がリセットされ、

新しく取得した受給資格に基づいた所定の要件を満たすとまた基本手当を受給することができます。

なので、再就職して受給資格を新たに取得したら過去の不正は問わないよ、ということですね。

では次のケースはどうでしょう。

高年齢雇用継続基本給付金(雇用継続給付)と基本手当(求職者給付)との間に不正行為による給付制限があるのか、というのが次の過去問の論点になっています。

 

高年齢雇用継続基本給付金で給付制限を受けても離職すればいいの?

(令和2年問5E)

偽りその他不正の行為により高年齢雇用継続基本給付金の給付制限を受けた者は、当該被保険者がその後離職した場合に当初の不正の行為を理由とした基本手当の給付制限を受けない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

まずは規定の方を確認してみましょう。

 

『(給付制限)法61条の3
偽りその他不正の行為により次の各号に掲げる失業等給付の支給を受け、又は受けようとした者には、

当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、当該各号に定める高年齢雇用継続給付を支給しない

ただし、やむを得ない理由がある場合には、当該高年齢雇用継続給付の全部又は一部を支給することができる。

 高年齢雇用継続基本給付金
 高年齢再就職給付金又は当該給付金に係る受給資格に基づく求職者給付若しくは就職促進給付 高年齢再就職給付金』

 

規定を見ていると、高年齢雇用継続基本給付金を不正受給したら給付制限を受けるのは高年齢雇用継続給付と書いてあり、

基本手当(求職者給付)の支給を制限するとは書いていません。

なので、問題文のケースでは基本手当の給付制限は行われなんですね。

さて、次は日雇労働求職者給付金の不正受給による給付制限をチェックしましょう。

この論点では数字に注目ですね。

 

日雇労働求職者給付金の給付制限期間は?

(平成25年問6E)

日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が、偽りその他不正の行為により就職促進給付の支給を受けたときは、やむを得ない理由がある場合を除き、その支給を受けた月及びその月の翌月から1か月間に限り、日雇労働求職者給付金を支給しない。

 

解説

解答:誤

日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が、

不正行為で日雇労働求職者給付金のような求職者給付就職促進給付を受けたり、受けようとしたときは、

その月翌月から「1か月間」ではなく、「3か月間」は日雇労働求職者給付金が支給されないことになります。

ただ、こちらもやむを得ない理由があるときは日雇労働求職者給付金の全部または一部を支給することができます。

では最後に、失業等給付から独立した育児休業給付金の不正受給時の給付制限について確認しましょう。

たとえば私(父)が育児休業給付金で不正受給した場合、妻(母)の育児休業給付金も給付制限の対象になるのでしょうか??

 

育児休業給付金で給付制限を受けた時の配偶者への影響

(平成26年問7E)

偽りその他不正な行為により育児休業給付金の支給停止処分を受けた者の配偶者が子を養育するための休業をしたときは、他の要件を満たす限り育児休業給付金が支給される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

育児休業給付金支給停止処分を受けても、処分を受けた人の配偶者にも給付制限が及ぶわけではありません

配偶者は配偶者の会社で別個に雇用保険に入っているわけですから、そちらまで給付制限をくらってはたまったものではないでしょうね。笑

 

今回のポイント

  • 不正行為基本手当の支給を受けようとした場合、「支給を受け、または受けようとした日以後基本手当は支給されません。
  • 不正行為で基本手当といった求職者給付や就職促進給付が給付制限になっても、再就職して新しい受給資格を手にすると給付制限がリセットされ、新しく取得した受給資格に基づいた所定の要件を満たすとまた基本手当を受給することができます。
  • 高年齢雇用継続基本給付金を不正受給したら給付制限を受けるのは高年齢雇用継続給付です。
  • 日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が、不正行為で日雇労働求職者給付金のような求職者給付就職促進給付を受けたり、受けようとしたときは、その月翌月から3か月間」は日雇労働求職者給付金が支給されないことになります。
  • 育児休業給付金支給停止処分を受けても、処分を受けた人の配偶者にも給付制限が及ぶわけではありません

 

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