このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、労災保険法の「通勤」について見ていきたいと思います。
一般的に通勤というと家と会社の往復と考えられますが、労災保険法に当てはめると、その他にも色々と要件がありますので確認していきますね。
それでは過去問に進みましょう。
最初の問題は、通勤の範囲がテーマになっています。
先ほど述べたように家と会社の往復だけなのかどうか問題文を読んでみましょう。
通勤の範囲
(平成25年問4エ)
労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復を合理的な経路及び方法により行うことのみが通勤に該当する。
解説
解答:誤り
労災保険法でいうところの「通勤」には問題文のケースだけではありません。
通勤には、
- 住居と就業の場所との間の往復
- 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
- 第1号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動
の3つがあります。
「2」はたとえば兼業をしていて、最初の仕事場から次の仕事場へ移動する場合が考えられます。
「3」は、単身赴任をしているケースですね。
たとえば、家族が住んでいる家と単身赴任先の住居の移動が該当します。
でも、これだけでは「通勤」の要素を満たしていません。
もう一つ、大切なことがありますので、下の問題で確認しましょう。
移動の途中の災害はすべて通勤災害?
(平成29年問5C)
移動の途中の災害であれば、業務の性質を有する場合であっても、通勤災害と認められる。
解説
解答:誤り
問題文のように、業務の性質を有している場合は通勤災害とは認められません。
通勤は、労働者が、就業に関し所定の移動を合理的な経路及び方法により行うことをいいますが、業務の性質を有するものは除かれます。
なので、たとえば家から直行して現場に向かう場合、その移動が業務の性質を有していると通勤ではなく、移動中に災害に遭うと業務災害となります。
さて、通勤についての要件として「合理的な経路及び方法」とありますが、
この「合理的」というのがどういう意味なのか見てみましょう。
通勤と認められるための「合理的な経路」とは?
(平成29年問5D)
通勤災害における合理的な経路とは、住居等と就業の場所等との間を往復する場合の最短距離の唯一の経路を指す。
解説
解答:誤り
通勤災害の要件の一つである「合理的」な経路は、最短最速の唯一の経路のことではなく、
一般に労働者が用いるものと認められる経路や手段をいいます。
なので、たとえば家を出て、子どもを保育所に預けてから会社に向かう経路も対象になり得ます。
でも、もしその合理的な経路から外れた場合、通勤はどのように判断されるのでしょうか。
次の問題を読んでみましょう。
合理的な経路を逸脱した場合は?
(平成28年問5オ)
労災保険法第7条に規定する通勤の途中で合理的経路を逸脱した場合でも、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱の間も含め同条の通勤とする。
解説
解答:誤り
原則として、移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合、その逸脱または中断の間及びその後の移動は、通勤とはなりません。
ただし、「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合」は、逸脱または中断の間を除いて通勤となります。
なので、逸脱した経路から復帰した場合は、復帰した部分から後は通勤として認められます。
では最後に、「通勤」について取り扱った事例問題を見てみましょう。
帰り道に美容院へ行っても大丈夫?
(平成27年問3E)
会社からの退勤の途中で美容院に立ち寄った場合、髪のセットを終えて直ちに合理的な経路に復した後についても、通勤に該当しない。
解説
解答:誤り
問題文の場合は、通勤に該当します。
先ほどの「日常生活上必要な行為」には、「日用品の購入その他これに準ずる行為」があり、美容院に立ち寄る行為はそれに含まれることになっています。
なので、髪のセットを終えて直ちにに合理的な経路に復した後については通勤に該当します。
ただ、髪のセットを終えた後に、喫茶店に立ち寄って休憩などをした場合は、「直ちにに合理的な経路に復して」いないので、通勤から外れる可能性が上がります。
ちなみに、「日常生活上必要な行為」には他に、病院などで診察を受けたり、配偶者などの介護も対象になります。
今回のポイント
- 通勤には、
- 住居と就業の場所との間の往復
- 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
- 第1号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動
の3つがあります。
- また、通勤は、労働者が、就業に関し所定の移動を合理的な経路及び方法により行うことをいいますが、業務の性質を有するものは除かれます。
- 「合理的」な経路は、最短最速の唯一の経路のことではなく、一般に労働者が用いるものと認められる経路や手段をいいます。
- 原則として、移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合、その逸脱または中断の間及びその後の移動は、通勤とはなりませんが、「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合」は、逸脱または中断の間を除いて通勤となります。
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