「労基法 社労士試験に重要な労働時間についての考え方」過去問・労基-46

労働基準法で「労働時間」というのは、労働時間のカウントの仕方から変形労働時間制の考え方まで多くの論点がありますので、社労士試験においても、非常に重要なテーマと言うことができますね。

今回は、労働時間の計算方法に関連した過去問を集めてみました。

どういったものかというと、労働時間にあたるもの、あたらないもの、労働時間を計算する時の起算日などについての論点になります。

それでは早速見ていくことにしましょう。

最初の問題は、労働時間になるにはどういった基準があるのか、そういった問題になります。

労働時間になるかどうかの基準は?

(平成28年問4A)

労働基準法第32条の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働時間になるかどうかの基準は、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれているかどうか客観的に定まります。

なので、就業規則とか労働契約書に書いているか書いていないかで労働時間が決まるのではなく、使用者の指揮命令下にあるのかどうかは客観的に判断されるものということですね。

では、どういったケースが労働時間となるのでしょう。

次の過去問は、運転手さんのお話になりまして、2名交互に運転業務をしているのですが、運転をしていない助手席に座っている人が仮眠している場合、その時間は労働時間になるのでしょうか?

 

助手席で仮眠していても労働時間?

(令和2年問6A)

運転手が2名乗り込んで、1名が往路を全部運転し、もう1名が復路を全部運転することとする場合に、運転しない者が助手席で休息し又は仮眠している時間は労働時間に当たる。

 

解説

解答:正

問題文の場合は、労働時間に当たります。

問題文のように、たとえ帰り道は運転しないとしても、その車(トラック?)に乗らなければならない以上、もう片方の運転手に何かあった場合は交代しなければならないでしょうし、タイヤがパンクしたら交換しなければならないでしょう。

そういう意味では使用者の指揮命令下にあると言えますので、「手待ち時間」である仮眠時間も労働時間と判断されます。

ちなみに、この運転手と労働時間についての問題は、「平成30年問1イ」でも出題されていますので問題文をご紹介しましょう。

「貨物自動車に運転手が二人乗り込んで交替で運転に当たる場合において、運転しない者については、助手席において仮眠している間は労働時間としないことが認められている。」→正

このような問題が繰り返し出題されているということは、労働時間の考え方として重要視されているのでしょうね。

では、労働時間についてちょっと視点を変えてみましょう。

次の問題は、会社が行う研修が労働時間になるかどうかという論点になっています。

この研修時間が労働時間になるかどうかについても、ある基準によって判断されるようです。

 

会社の研修時間が労働時間になるかどうかの判断

(平成26年問5B)

労働者が使用者の実施する教育、研修に参加する時間を労働基準法上の労働時間とみるべきか否かについては、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いの有無や、教育・研修の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより本人の業務に具体的な支障が生ずるか否か等の観点から、実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断すべきものである。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、たとえば会社が行う研修が労働時間になるかどうかは、「実質的に見て出席の強制があるかどうか」によって判断されます。

なので、問題文のように、研修に参加しなかったときに、就業規則で不利益な取扱いをされるだとか、業務との関連性が強いために仕事に支障が出るような場合は、その研修時間は労働時間となる可能性が高くなります

逆に、自由参加の要素が強くなれば労働時間とはならなくなります。

あくまで実態で判断するということですね。

さて、労働時間を考える上で大切になるのは、「1日に8時間」、「1週間に40時間」という労働時間の上限ですね。

たとえば、1週間の労働時間を計算するうえで、起算日をどこに持ってくればいいのか、というのは気になりますね。

40時間を数える時のスタートとなる曜日ですね。

はたして労基法でこの起算日は規定されているのでしょうか。

 

1週間の起算日は何曜日?

(平成30年問1オ)

労働基準法第32条第1項は、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」と定めているが、ここにいう1週間は、例えば、日曜から土曜までと限定されたものではなく、何曜から始まる1週間とするかについては、就業規則等で別に定めることが認められている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

1週間の労働時間の起算日は、会社ごとに就業規則などで自由に設定することができますが、特に決まりがないときは、日曜日を第一日目にします。

これは、西洋の宗教上の考え方が影響しているようですね。

もともと日曜日とか月曜日という曜日の習慣は、西洋のものですからそれにならったのかもしれません。

ちなみに「1日」の始まりは、原則としては「午前零時から午後12時」までのいわゆる暦日で見ます。

では最後に、複数の会社で労働した時の労働時間についての考え方について確認しましょう。

これからの時代、政府が推奨していることもあり、副業やダブルワークなどがますます盛んになりそうですので、

2つの会社に所属して勤務することは珍しくなくなりそうですね。

なので、それぞれの労働時間をどのように取り扱うのか見ておきましょう。

 

2つの会社で仕事した時の労働時間の計算方法

(平成26年問5A)

労働基準法上の労働時間に関する規定の適用につき、労働時間は、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も、通算される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労基法上の労働時間については、同じ事業主で違った事業場(場所)で働くのはもちろん、違う会社で働く時も労働時間は通算されます。

なので、通算した1日の労働時間が8時間を超えるようであれば、どちらかの事業主が時間外の割増賃金を支払うことになります。

社労士試験には直接関係ないかもしれませんが、時間外割増賃金の考え方について厚生労働省からガイドラインが出ていますのでリンクを貼っておきます。

ご興味のある方はご自由にご参考になさってくださいね。

 

参考記事:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 Q&A

 

今回のポイント

  • 労働時間になるかどうかの基準は、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれているかどうか客観的に定まります。
  • たとえ仮眠していても、使用者の指揮命令下にあるのであれば、手待ち時間であっても、その時間は労働時間になります。
  • 会社が行う研修が労働時間になるかどうかは、「実質的に見て出席の強制があるかどうか」によって判断されます。
  • 1週間の労働時間の起算日は、会社ごとに就業規則などで自由に設定することができますが、特に決まりがないときは、日曜日を第一日目にします。
  • 労基法上の労働時間については、同じ事業主で違った事業場(場所)で働くのはもちろん、違う会社で働く時も労働時間は通算されます。

 

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