過去問

「健康保険法 ややこしい高額療養費をまるっと説明します!」過去問・健保-45

受験勉強をしていて、高額療養費はとにかくイヤでしたね。

計算式を覚えなきゃというプレッシャーもそうですし(平成28年の選択式で出ましたよね)、電卓を使わずに計算をしないといけないというのが、徴収法と並んで脅威でした。

これを克服するには、とにかく回数を稼いで慣れることでしたね。

1日1分でもいいのでテキストを開いて該当箇所を読んでいると次第に苦手意識がなくなってきます。

これは年金科目でも言えますので試してみてくださいね。

それでは高額療養費の過去問を見ていきましょう。

 

高額療養費における歯科との関係

(平成27年問3E)

同一の月に同一の保険医療機関において内科及び歯科をそれぞれ通院で受診したとき、高額療養費の算定上、1つの病院で受けた療養とみなされる。

 

解説

解答:誤

高額療養費を適用するときは、「歯科」と「歯科以外」は別々の病院で療養を受けたものとみなされ、別々に計算されることになります。

今でも不思議なんですけど、どうして歯科は仲間外れにされるんでしょうね。。。

では、そもそも高額療養費に入れてくれないものもあるのでしょうか。

次の過去問で確認してみましょう。

 

生活療養も高額療養費の対象になる?

(平成27年問4イ)

高額療養費の支給要件、支給額等は、療養に必要な費用の負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して政令で定められているが、入院時生活療養費に係る生活療養標準負担額は高額療養費の算定対象とならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

高額療養費は、食事療養や生活療養は対象外なので、問題文のように「入院時生活療養費に係る生活療養標準負担額」も高額療養費の算定対象にはならないのです。

まあ、高額療養費は治療に関する療養費が高額になった時に支給してくれるもののようですね。

さて、あまり考えたくないことですが、もし転職をしたタイミングで大けがなどをして高額療養費のお世話になるようなことがあったらどうなるのでしょう。

たとえば、これまで協会けんぽ(全国健康保険協会)に入っていたのに、転職して健康保険組合が保険者の会社に移った場合は高額療養費も通算してくれるのでしょうか。。。

 

もし保険者が変わったらどうなる?

(平成29年問8B)

全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者が適用事業所を退職したことにより被保険者資格を喪失し、その同月に、他の適用事業所に就職したため組合管掌健康保険の被保険者となった場合、同一の病院で受けた療養の給付であったとしても、それぞれの管掌者ごとにその月の高額療養費の支給要件の判定が行われる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

高額療養費は、ひと月単位で計算するのですが、保険者が変わった時は、それぞれの保険者ごとに計算されることになります。

なので、高額療養費の多数回該当の時は、高額療養費の支給回数は通算されないことになります。

この多数回該当は、12月以内に3回以上高額療養費が支給されたら4回目からの算定の基準額が下がる仕組みでしたが、保険者が変わると通算されずリセットされるということですね。

ただ、転職前と転職後の会社がどちらも全国健康保険協会だった場合は通算されるので大丈夫です。

ではこの高額療養費、夫婦両方がお世話になった場合、世帯で合算して計算してくれたりするのでしょうか。

そうしてくれると随分と助かるでしょうが、世帯合算の制度はあるのでしょうか?

 

世帯での合算はできるのか

(平成30年問2B)

高額療養費の算定における世帯合算は、被保険者及びその被扶養者を単位として行われるものであり、夫婦がともに被保険者である場合は、原則としてその夫婦間では行われないが、夫婦がともに70歳以上の被保険者であれば、世帯合算が行われる。

 

解説

解答:誤

高額療養費の算定被保険者や被扶養者を単位にして行われるのが原則で70歳以上であっても変わりません。

ただ、「自己負担額」を「世帯で合算」して限度額を超えて所定の要件に該当した場合は高額療養費の対象になったりしますので、お手持ちのテキストで確認してみてくださいね。

さあ、それでは高額療養費を実際に計算してみましょう。

こういったものは、イヤですが「習うより慣れろ」みたいなところもありますので、ちょっとやってみましょう。

 

実際に計算してみましょう

(平成25年問2A)

標準報酬月額560,000円の被保険者(50歳)の被扶養者(45歳)が、同一の月における入院療養(食事療養及び生活療養を除き、同一の医療機関における入院である。)に係る1か月の一部負担金の額として210,000円を支払った場合、高額療養費算定基準額は84,430円である。なお、当該世帯は、入院療養があった月以前12か月以内に高額療養費の支給を受けたことはない。

 

解説

解答:誤

高額療養費を計算するには、一部負担金の額ではなく、「医療費」をもとに計算します。

なので、まず医療費を求めるのですが、問題文の人は45歳なので自己負担割合は「3割」です。

ということは、医療費は以下のように計算します。

医療費:21万円÷3×10=70万円

となりますね。

でいよいよ高額療養費の計算ですが、計算方法は所得の区分によって違いがありましたね。

問題文では、標準報酬月額が56万円ということですので、

高額療養費算定基準額=「167,400+(医療費)-558,000)×1%」

の計算式を使います。

これに先ほど計算した医療費70万円を代入(?)します。

すると、

167,400+(700,000-558,000)×1%」=168,820円

ということになり、高額療養費算定基準額は問題文の84,430円ではなく、168,820円ということになります。

ちなみに、こういった計算練習は、同じ問題を何回解いても大丈夫です。

つまり、剣道で言う「型」を何度も練習することになるので、常に新しい問題を解かなければ実力がつかない、と言うことではないので安心してくださいね。

 

今回のポイント

  • 高額療養費を適用するときは、「歯科」と「歯科以外」は別々の病院で療養を受けたものとみなされ、別々に計算されることになります。
  • 高額療養費は、食事療養や生活療養は対象外です。
  • 高額療養費は、ひと月単位で計算するのですが、保険者が変わった時は、それぞれの保険者ごとに計算されます。
  • 高額療養費の算定被保険者や被扶養者を単位にして行われます。

 

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