過去問

「国民年金法 ここだけは押さえたい!併給調整と損害賠償請求のポイント」過去問・国-44

今回は、併給調整損害賠償請求についての過去問を集めてみました。

どちらも給付が制限されるというお話ですが、特に併給調整は押さえるのがなかなか大変ですよね。

インターネットで調べてみると、併給調整の覚え方についてのサイトがあったりしますので、ご自分に合った覚え方を探すのも良いかもしれませんね。

では最初の問題を見てみましょう。

遺族基礎年金の併給調整についての問題になっています。

 

遺族基礎年金と遺族厚生年金の関係は?

(平成24年問2A)

遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であった者の死亡について同一の支給事由に基づいて支給される厚生年金保険法の年金たる保険給付を受けるときは、その間、その額の5分の2に相当する額が支給される。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:誤

5分の2というような規定はなく、遺族基礎年金と遺族厚生年金は、両方とも全額支給されます。

ちなみに、遺族基礎年金は恥ずかしがり屋なので、遺族厚生年金以外の老齢厚生年金や障害厚生年金とは併給できません。

さて次は障害基礎年金の併給についての問題です。

ポイントは、障害基礎年金と老齢基礎年金の併給ができるのかどうか、ですね。

 

どの年金の併給が可能でしょうか

(平成29年問7E)

障害基礎年金の受給権者が65歳に達し、その時点で老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を有する場合、障害基礎年金と老齢厚生年金の併給か老齢基礎年金と老齢厚生年金の併給かを選択することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

65歳以上の場合、障害基礎年金と老齢厚生年金の併給は可能です。

もちろん、老齢基礎年金と老齢厚生年金の併給もできます。

恥ずかしがり屋の遺族基礎年金と違い、障害基礎年金はオープンな性格なので、老齢厚生年金だけでなく、遺族厚生年金とも併給が可能です。

さて、ここからは損害賠償請求の話になります。

損害賠償請求は、「第三者の行為が原因」での保険給付が問題になってきます。

「第三者の行為が原因」の場合の基本的な考え方は、「受給権者は二重取りはできない」ということですね。

第三者からの損害賠償と保険給付の両方をもらうことはできず、どちらか一方が制限されるということですね。

次の問題は、第三者の行為が原因で障害基礎年金の給付をしたときに、政府は損害賠償の請求をどこまでの範囲でできるのでしょうか。

こういった場合に使う決まり文句があるのです。。。

 

政府が第三者に対して行う損害賠償の範囲は、、、

(平成30年問5ウ)

政府は、障害の直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合において、障害基礎年金の給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

障害の直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合に、障害基礎年金の給付をしたとき、政府は、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得します。

上記の問題は、障害基礎年金の給付の方が第三者の損害賠償よりも早かったようですね。

なので、政府は第三者に対して「価額の限度」で損害賠償請求するわけですね。

次の問題は、第三者の損害賠償の方が早いケースです。

その時、年金給付はどうなるのでしょうか。

 

第三者から損害賠償を受けたら年金額は調整される?

(平成27年問5C)

20歳前傷病による障害基礎年金の受給権者の障害が第三者の行為によって生じた場合に、受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたとき、当該障害基礎年金との調整は行われない。

 

解説

解答:誤

受給権者が第三者から損害賠償を受けた時は、障害基礎年金との調整が行われます。

この場合も、損害賠償の価額の限度で給付が行われないことになります。

では最後に、死亡一時金と損害賠償との関係について確認しましょう。

第三者っから損害賠償を受けた場合、死亡一時金も調整の対象になるのでしょうか?

 

死亡一時金と損害賠償の関係

(平成22年問4B)

死亡一時金については、当該給付の支給事由となった事故について受給権者が損害賠償を受けた場合であっても、その損害賠償額との調整は行われない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

死亡一時金については、第三者から損害賠償を受けた場合でも調整は行われません

死亡一時金は、掛け捨て防止の性格があるのでそういった処置になっているのかもしれませんね。

 

今回のポイント

  • 遺族基礎年金は、遺族厚生年金以外の老齢厚生年金や障害厚生年金とは併給できません。
  • 障害基礎年金は障害厚生年金はもちろん、老齢厚生年金、遺族厚生年金とも併給が可能です。
  • 障害の直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合に、障害基礎年金の給付をしたとき、政府は、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得します。
  • 受給権者が第三者から損害賠償を受けた時は、障害基礎年金との調整が行われます。
  • 死亡一時金については、第三者から損害賠償を受けた場合でも調整は行われません

 

各科目の勉強法の記事をまとめました

労働基準法から一般常識までの全科目の勉強法の記事をまとめましたのでぜひご覧ください

リンク「社労士試験 独学合格法 各科目の勉強方法の記事をまとめました!」

 

科目ごとにまとめて記事を見ることができます!

スマホでご覧になっていただいている場合は、一番下までスクロールすると、科目名が並んでいますのでご覧になりたい科目をタップいただくと、その科目だけの記事を見ることができます。

もしくは、一番右上の三本線(メニューになっています)をタップしていただいて科目名を表示させる方法もあります。

ぜひご活用ください!

関連記事

  1. 「社労士試験 健康保険法 目的」健保-145

  2. 「社労士試験 厚生年金保険法 遺族厚生年金・支給停止」厚年-174

  3. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 国民年金法 遺族基礎年金の支給…

  4. 「社労士試験 厚生年金保険法 厚生年金保険事業」厚年-177

  5. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 徴収法 不服申立て」過去問・徴…

  6. 「社労士試験 雇用保険法 雇用保険法における適用事業の取扱説明書」過去…

  7. 「国民年金法 被保険者の届出に関するポイント」過去問・国-29

  8. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 事業者の講ずべき措置」安衛-9…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。