健康保険では、原則は現物給付で保険証を提示した上で自己負担分のみ費用を支払うことになっていますが、
ケガや病気をして、すぐに病院に行きたいのに近くに保険医療機関がなかったりしたときに、
やむを得ず、保険医療機関ではないところで治療を受けたりして、その費用を全額自己負担することになった場合に療養費の出番になるわけです。
これはあくまでも、「やむを得ない事情」であることが前提ですが、療養費の考え方を知っておくと問題を解くときのヒントになったりしますので理解しておきたいですね。
それでは過去問の方に入っていきましょう。
最初の問題は、療養費の対象になるものにはどんなものがあるのか、ということが問われています。
さて、それはどのような決まりになっているのでしょうか?
訪問看護療養費が療養費に?
(令和元年問2C)
保険者は、訪問看護療養費の支給を行うことが困難であると認めるときは、療養費を支給することができる
解説
解答:誤り
訪問看護療養費は、療養費の対象外です。
療養費の対象になっているのは、
- 療養の給付
- 入院時食事療養費
- 入院時生活療養費
- 保険外併用療養費療養費
となっています。
療養費は近くに保険医療機関がない場合などに支給されるものですが、
訪問看護療養費の場合、事前にかかりつけの医師などに相談の上、訪問看護ステーションにつないでもらったりして、周到に準備をしますから、
訪問看護療養費は現物給付で十分対応できるよね、ということですね。
さて、次は事業主が資格取得届の手続きをしていない場合に保険医療機関で診察を受けた場合に療養費の対象になるのか見てみましょう。
事業主が被保険者の資格取得の届出をしていなかった場合にも?
(平成24年問9B)
事業主が被保険者資格取得届の届出を怠った場合においては、その間に保険医療機関で受診しても被保険者の身分を証明し得ない状態であるので、療養費の対象となる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
保険医療機関で受診した時点では、保険証がないので健康保険の被保険者かどうかわかりません。
なので、いったん全額自己負担しておいて、後から療養費の支給を受けるわけですね。
たとえば、転職したばかりで被保険者証が届く前に保険医療機関にかかった場合などが該当しそうですね。
では、次は柔道整復師と療養費の関係について見てみましょう。
たとえば接骨院などで柔道整復師の施術を受ける場合は、骨折や脱臼など限られた症状のみ保険適用となります。
で、保険適用を受けるためには、所定の手順を踏む必要があるのですが、それはどんなことでしょうか。
柔道整復師の施術を療養費として支給を受けるために必要なこと
(平成25年問4A)
被保険者が脱臼又は骨折について柔道整復師の施術を受け、療養費の支給を受けるためには、応急手当の場合を除いて医師の同意を得る必要があり、また応急手当後の施術は医師の同意が必要である。医師の同意は患者が医師から受けることもでき、また施術者が医師から得ることもできるが、いずれの場合も医師の同意は患者を診察したうえで、書面または口頭により与えられることを要する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
柔道整復師の施術で療養費の支給を受けるためには、「医師の同意」が必要で、医師が患者を診察した上で書面か口頭で同意を得ることになります。
医師の同意は患者が医師から得てもいいですし、柔道整復師が直接得ることもできます。
応急手当の場合は、事前に医師の同意を得ることができないので必要ありませんが、応急手当の後に施術を受ける場合は医師の同意が必要です。
ということで、次は治療行為ではなく、「モノ」に療養費が適用されるのか確認しましょう。
下の問題ではコルセットが論点になっていますので見ておきますね。
コルセットは療養費の対象?
(平成24年問9A)
療養上必要のあるコルセットは、療養の給付として支給すべき治療材料の範囲に属するため、法第87条に基づく療養費により支給することとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
療養上必要のあるコルセットについては、療養の給付にもある「薬剤または治療材料の支給」の治療材料に当たるので、療養費の対象となります。
ただし、眼鏡や補聴器、人工肛門受便器は対象外です。
それでは最後に、海外でケガなどをして療養費を受けようとする時の手続きについて見ておきましょう。
海外で治療を受けるということは、証拠書類が外国語で記載されている場合がありますから、その際の手続き方法となります。
海外でケガや病気をした場合の療養費の手続き方法
(令和2年問8E)
被保険者が海外にいるときに発生した保険事故に係る療養費等に関する申請手続等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付することとされており、添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載させることとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
海外でケガなどをして療養費の申請をするときは、海外の病院などで治療をしたという証拠書類を添付する必要がありますが、
外国語で記載されている場合は日本語の翻訳文を添付しなければなりません。
で、その翻訳文には翻訳者の氏名や住所を記載することになっています。
今回のポイント
- 療養費の対象になっているのは、
- 療養の給付
- 入院時食事療養費
- 入院時生活療養費
- 保険外併用療養費療養費
となっています。
-
事業主が被保険者資格取得届の届出を怠った場合に、その間に保険医療機関で受診したときは療養費の対象となります。
- 柔道整復師の施術で療養費の支給を受けるためには、「医師の同意」が必要で、医師が患者を診察した上で書面か口頭で同意を得ることになります。
- 療養上必要のあるコルセットについては、療養の給付にもある「薬剤または治療材料の支給」の治療材料に当たるので、療養費の対象となります。
- 海外でケガなどをして療養費の申請をするときは、海外の病院などで治療をしたという証拠書類を添付する必要がありますが、外国語で記載されている場合は日本語の翻訳文を添付しなければなりません。
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