社労士試験で概算保険料についての出題項目といえば、「納期限」や「延納」、「納付先」といったところでしょうか。
事業には有期事業と継続事業がありますが、今回は有期事業からの視点を中心に見ていきたいと思います。
延納については、押さえる項目が多くて大変と思いますが、一度に覚え切ろうとせず、問題演習とテキスト確認を繰り返しながら定着させるようにしましょう。
それでは最初の過去問です。
有期事業の概算保険料の納期限について見ていくことにしましょう。
有期事業の保険関係が成立したときの概算保険料の納付期限
(平成27年労災問9B)
建設の有期事業を行う事業主は、当該事業に係る労災保険の保険関係が成立した場合には、その成立した日の翌日から起算して20日以内に、概算保険料を概算保険料申告書に添えて、申告・納付しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
有期事業の場合、概算保険料は保険関係が成立した日の翌日から20日以内に納付する必要があります。
「20日以内」とはなかなかタイトなスケジュールですね。
ただ、建設工事といっても数週間で終わってしまうような場合もあるでしょうし、あまり長い期限を設定しても工事が終わってしまうこともあり得そうですから「20日」という期限にしているんですかね。
では、その概算保険料の額はどうやって計算するのでしょうか。
次の過去問で確認してみましょう。
有期事業の概算保険料の計算方法は?
(平成27年労災問9D)
複数年にわたる建設の有期事業の事業主が納付すべき概算保険料の額は、その事業の当該保険関係に係る全期間に使用するすべての労働者に係る賃金総額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)の見込額に、当該事業についての一般保険料率を乗じて算定した額となる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
概算保険料は、
「全期間に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額×一般保険料率」
ということですね。
ちなみに、賃金総額に1000円未満の端数がある時は切り捨てになります。
ただ、建設の有期事業の全期間となると、何年もかけて工事するときの賃金総額は大変な額になりそうですよね。
それを保険関係が成立して20日以内に支払うというのもキツそうです。
そんな時は「延納」という名の分割払いができるわけですが、有期事業の延納の要件は
- 納付すべき概算保険料の額が「75万円以上」のとき or 労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている場合
- 事業の全期間が6月を超えている場合
となっています。
では概算保険料の納期限についてもう1問見ておきましょう。
次は、延納した場合の「期」についての論点も入っていますので一緒にチェックしましょう。
延納をしたとき、概算保険料の納期限はどうなる
(平成22年労災問8C)
保険関係が7月1日に成立し、事業の全期間が6か月を超え、また当該保険年度の納付すべき概算保険料の額が75万円以上である有期事業の事業主が、概算保険料の延納の申請をした場合は、当該保険関係成立の日から11月30日までの期間が最初の期となり、当該最初の期分の概算保険料については、7月21日が納期限となる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
最初の期の概算保険料については保険関係成立の日の翌日から起算して20日以内に納付しなければならないので、7月21日が納期限になります。
で、「期」についての考え方ですが、延納は「3期」に分けることができ、以下のように分けられます。
- 「4月1日から7月31日まで」 → 納期限は「3月31日」
- 「8月1日から11月30日まで」 → 納期限は「10月31日」
- 「12月1日から翌年3月31日まで」 → 納期限は「翌年の1月31日」
ただ、期の途中に保険関係が成立した場合、
- 保険関係成立の日からその日の属する期の末日までの期間が2月を超えるとき → 保険関係成立の日からその日の属する期の末日
- 2月以内のとき → 保険関係成立の日からその日の属する期の次の期の末日までを最初の期 となります。
なので、問題文のように保険関係が7月1日に成立した場合、11月30日までの期間が最初の期になります。
ちなみに、納期限について、労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合、
- 納期限が10月31日のものは11月14日
- 納期限が1月31日のものは2月14日 となります。
それでは、概算保険料を延納したときの金額を実際に計算してみましょう。
延納したときの金額を計算してみましょう
(平成29年労災問10ア)
概算保険料17万円を3期に分けて納付する場合、第1期及び第2期の納付額は各56,667円、第3期の納付額は56,666円である。
解説
解答:誤
計算をしたときに、1円未満の端数が出てきたときは、端数は最初の期分に入れておきます。
つまり、
17万円÷3=56,666円+余り2円
となった時は、余りの2円は第1期の56,666円に組み込むので、第1期に納付する保険料は56,668円となるわけです。
では最後に、一般保険料の納付先についての過去問を確認しておきましょう。
公共職業安定所に一般保険料を納付することができるのか、という論点になっています。
公共職業安定所に保険料を納付できる?
(平成30年雇用問9オ)
雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業の一般保険料については、所轄公共職業安定所は当該一般保険料の納付に関する事務を行うことはできない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
公共職業安定所は、労働基準監督署と違って、一般保険料の納付に関する事務はできません。
なので、日本銀行(銀行や信用金庫、郵便局含む)や所轄の労基署、労働局で納付することになります。
なんで公共職業安定所では納付できないのかというと、受験時代に聞いた話では、公共職業安定所はただでさえ忙しいのに保険料の納付までは手に負えないという話を聞いたことがありますが、真偽は定かではありません。笑
今回のポイント
- 有期事業の場合、概算保険料は保険関係が成立した日の翌日から20日以内に納付する必要があります。
- 概算保険料は、「全期間に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額×一般保険料率」になります。
- 有期事業の延納の要件は
- 納付すべき概算保険料の額が「75万円以上」のとき or 労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている場合
- 事業の全期間が6月を超えている場合
となっています。
- 延納は以下の「3期」に分けることができます。
- 「4月1日から7月31日まで」 → 納期限は「3月31日」
- 「8月1日から11月30日まで」 → 納期限は「10月31日」
- 「12月1日から翌年3月31日まで」 → 納期限は「翌年の1月31日」
- 計算をしたときに、1円未満の端数が出てきたときは、端数は最初の期分に入れておきます。
- 公共職業安定所は、一般保険料の納付に関する事務はできません。
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