過去問

「国民年金法 なにかと支給要件の多い寡婦年金の真実とは」過去問・国-40

寡婦年金は、実際に受給されている方がどれだけおられるのかわかりませんが、社労士試験においては出題数が結構多いですので、頻出項目として押さえておく必要はありそうです。

支給要件などが多いので出題しやすいのかもわかりませんね。

どういうことかというと、寡婦年金の支給要件には「夫」と「妻」それぞれに設定されているので論点が多いんですね。

決して複雑なわけではないので少しずつでも確実に押さえておくようにしましょう。

 

事実婚でも寡婦年金は受け取れる?

(平成26年問2D)

寡婦年金の支給対象となる妻は、夫との婚姻関係が10年以上継続していなければならないが、その婚姻関係には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった場合を含まない。

 

解説

解答:誤

寡婦年金の対象となる妻は、「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情」にあったものも含みます。

また、夫との婚姻関係が10年以上継続していなければならない点は正しいです。

ちなみに、死亡した夫の方の要件として、死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間が、

保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算して10年以上あることが必要です。

で、この寡婦年金は夫の掛けた保険料の掛け捨て防止の側面もあって、夫が亡くなった時に遺族である妻に寡婦年金という形で還元する形になっています。

ただ、この寡婦年金を受け取るには期限があって、いつまでも受給できるわけではないのです。

では寡婦年金はいつまで受け取ることができるのでしょうか。

 

寡婦年金はいつまで受け取れる?

(平成24年問4ア)

寡婦年金の受給権者である寡婦が65歳に達したときに老齢基礎年金の受給資格を満たしていなかった場合でも、寡婦年金の受給権は消滅する。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

寡婦年金の受給権65歳に達した時に消滅します。

ほかに寡婦年金が失権する要件としては、

  • 死亡したとき
  • 婚姻をしたとき
  • 養子となったとき(直系血族又は直系姻族の養子となったときを除く)
  • 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したとき

があります。

特に、一番最後の「繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権」と寡婦年金を絡めた問題は、ちょくちょく出題されているので押さえておくようにしましょう。

ではどのような形で出題されているのか、下の問題確認しましょう。

 

妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給してたら、、、

(平成29年問8B)

妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給中に、一定要件を満たした第1号被保険者の夫が死亡した場合、妻には寡婦年金を受給する権利が発生し、繰上げ支給の老齢基礎年金か寡婦年金かのどちらかを受給することができる。

 

解説

解答:誤

妻が繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者である場合は寡婦年金の受給権者になれません

どういうことかというと、先ほど述べたとおり、寡婦年金は亡くなった夫の掛け捨て防止の役割もありますが、寡婦となった妻の生活保障という役割もあります。

なので、妻自身の年金である老齢基礎年金を「繰上げ」という形で受給すると、「老齢基礎年金があるなら寡婦年金は必要ないよね」ということで寡婦年金の受給権は「消滅してしまいます。

ここで気をつけたいのは、繰上げ支給の老齢基礎年金と寡婦年金は、どちらか選択するということではなく、繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得すると、寡婦年金の受給権は「消滅」するということですね。

さて、繰上げ支給の老齢基礎年金みたいに、受給権を取得したら寡婦年金の受給権がなくなるものはあるのでしょうか。

次の問題を見てみましょう。

 

遺族基礎年金の受給権があると寡婦年金は受け取れない?

(平成22年問10D)

夫の死亡により遺族基礎年金の受給権を有していたことのある妻には、寡婦年金は支給されない。

 

解説

解答:誤

「支給されない」わけではなく、遺族基礎年金寡婦年金の両方の受給権がある場合は、どちらの年金を受け取るか「選択」することになります。

両方は受給できないけど、「選ぶ」ことはできるのですね。

先ほどの繰上げ支給の老齢基礎年金とは事情が少し違うようですね。

老齢、遺族とくれば障害基礎年金の場合はどうなのかをチェックしてみましょうか。

障害年金の場合はどう?

(平成27年問2オ)

60歳未満の妻が受給権を有する寡婦年金は、妻が60歳に達した日の属する月の翌月から支給されるが、そのときに妻が障害基礎年金の受給権を有している場合には、寡婦年金の受給権は消滅する。

 

解説

解答:誤

「消滅する」のではなく、こちらも障害基礎年金と寡婦年金との選択をすることになります。

ちなみに、寡婦年金の要件に「障害基礎年金」が関係するのは、「夫」の方です。

つまり、亡くなった「」が、「障害基礎年金の受給権者」だった場合や、「老齢基礎年金を受けたことがある」場合は妻に寡婦年金は支給されないのです。

 

今回のポイント

  • 寡婦年金の対象となる妻は、「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情」にあったものも含み、夫との婚姻関係が10年以上継続していなければなりません。
  • 寡婦年金の受給権65歳に達した時、繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したときなどに消滅します。
  • 遺族基礎年金・障害基礎年金寡婦年金の両方の受給権がある場合は、どちらの年金を受け取るか「選択」することになります。
  • 亡くなった「」が、「障害基礎年金の受給権者」だった場合や、「老齢基礎年金を受けたことがある」場合は妻に寡婦年金は支給されません。

 

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