過去問

「健康保険法 さっと読んで理解できる療養の給付の仕組み」健保-40

今回は、療養の給付について一部負担金や、そもそも療養の給付の対象なるものならないものといった論点の過去問を集めてみました。

一部負担金については、一般的には3割負担と言われていますが、それを減額や免除したりする規定もあったりしますし、療養の給付についても〇〇は療養の給付の対象になるけど△△は対象外といった形で問われていますので一つ一つ確認しましょう。

最初の過去問は、一部負担金の減額や免除の規定についての問題になります。

 

災害などで診療費などを支払うのが難しいときは

(平成23年問6E)

保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対して、次の措置を採ることができる。①一部負担金を減額すること、②一部負担金の支払を免除すること、③保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

災害など特別な事情がある時は、一部負担金の取り扱いについては下記のような規定があります。

  1.  一部負担金の減額
  2. 一部負担金の支払免除
  3. 保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接徴収することにして、その徴収の猶予

なるほど、被保険者について上記のような規定があるのはわかりましたが、

診察をした保険医療機関や薬などを出した保険薬局は、減額や免除されたお金をどのようにして回収するのでしょうか。

どのような仕組みになっているのか次の問題で確認しましょう。

 

保険医療機関は減免した分のお金をどこに請求する?

(令和元年問3C)

保険者から一部負担金等の徴収猶予又は減免の措置を受けた被保険者が、その証明書を提出して保険医療機関で療養の給付を受けた場合、保険医療機関は徴収猶予又は減免された一部負担金等相当額については、審査支払機関に請求することとされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、不足している一部負担金相当額を保険医療機関は、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金)請求することになっています。

これは通達が出ており、下にリンクを貼っておきますのでご自由にご参考になさってくださいね。

ちなみに、前の問題で「災害」の文言が出ていましたが、どんな災害が対象になっているのかも書いてあるので、お時間のある時にご覧になってください。

 

参考記事:政府管掌健康保険及び船員保険における一部負担金等の徴収猶予及び減免の取扱いについて〔船員保険法)平成18年11月15日 庁保発第1115001号

 

では次は療養の給付の対象になるかどうかについて問われている問題を見てみましょう。

最初に出てくるのは「精密検査」についてです。

定期健康診断の結果に基づいて精密検査を行なった時に、療養の給付の対象になるにはどんな条件があるのでしょうか。

 

精密検査が療養の給付になる条件とは

(平成28年問3B)

定期的健康診査の結果、疾病の疑いがあると診断された被保険者が精密検査を行った場合、その精密検査が定期的健康診査の一環として予め計画されたものでなくとも、当該精密検査は療養の給付の対象とはならない。

 

解説

解答:誤

問題文のケースの精密検査は療養の給付の対象となります。

キーワードは、問題文にある「定期健康診断の一環として予め計画されたもの」の部分です。

一般的に、定期健康診断は健康保険の適用外です。

(生活習慣病予防健診などで一部負担している場合はありますが)

なので、精密検査が定期健康診断の一環として行われる場合は療養の給付の対象外となり、

逆に定期健康診断の一環として計画されたものではないのであれば、療養の給付の対象となるわけですね。

では療養の給付の対象となるかどうかについて2問目の問題を確認しましょう。

この問題は、「人工妊娠中絶」が対象になるのかどうかが論点になっています。

 

人工妊娠中絶は療養の給付の対象?

(平成28年問7A)

被保険者が単に経済的理由により人工妊娠中絶術を受けた場合は、療養の給付の対象とならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、「単に経済的理由」による場合の人工妊娠中絶術は、療養の給付の対象とはなりません。

こちらも通達が出ておりまして、

「健康保険による分娩費は、母体を保護する目的のために、分娩の事実にもとづいて支給される」

というスタンスに立っているので自分の意思で中絶を決めて行う人工妊娠中絶術については、単に不行跡又は経済的理由によるものについては、療養の給付は認められないのだそうです。

こちらも下にリンクを貼っておきますのでご興味のある方はどうぞ。

 

参考記事:人工流産に伴う分娩費並びに出産手当金支給に関する件 昭和二七年六月一六日 保文発第二四二七号

 

さて最後の問題です。

今度は、健康保険証についての過去問なのですが、病院に行って診察を受ける風景をご想像いただいて、

病院で健康保険証を見せて診察を受けた後、処方箋を薬局に持っていった時に、また保険証を提出するようなことはなかったですか?

なんで2回も出すのかと疑問に思いません、、、か?

 

保険薬局にも保険証の提出は必要?

(平成27年問6B)

保険薬局から薬剤の支給を受けようとする40歳の被保険者が、保険医療機関において保険医が交付した処方せんを当該保険薬局に提出した場合であっても、当該保険薬局から被保険者証の提出を求められたときは、被保険者証もあわせて提出しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

保険薬局から被保険者証の提出を求められたときは処方箋と一緒に提出する必要があるのですね。

 

今回のポイント

  • 災害など特別な事情がある時、一部負担金の取り扱いについては下記のような規定があります。
    1.  一部負担金の減額
    2. 一部負担金の支払免除
    3. 保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接徴収することにして、その徴収の猶予
  • 問題文のとおりで、不足している一部負担金相当額を保険医療機関は、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金)に請求することになっています。
  • 精密検査が定期健康診断の一環として計画されたものではないのであれば、療養の給付の対象となります。
  • 「単に経済的理由」による場合の人工妊娠中絶術は、療養の給付の対象とはなりません。
  • 保険薬局から被保険者証の提出を求められたときは処方箋と一緒に提出する必要があります。

 

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